五章「キノコもの申す」
21. あいまいな日本の私たち
『あいまいな日本の私たち及び日本語について』
世田谷在住キノコちゃん
アメリカやヨーロッパ辺りの人たちや、或いは日本国内でも、日本人たちは自らの主張をはっきりさせないで、あいまいに濁す傾向にあると、そうはっきり主張され続けている。
それには、和の精神なり沈黙の美徳なりと、言いわけは多々あろうて。だがまあ、言いわけである。反論ではない。反論できないの。
和か? 沈黙でもって受け入れるの?
否。ノー。
日本に生まれ育ってここに死ぬつもりの当方、歴とした日本人なのよ。ここではっきり言うわ。主張するわ。
私たちは和を尊び沈黙に美を求むことは事実。
だが主張する。私たちははっきりと主張できるし、何事においてあいまいに済まさない精神をも併せ持っているのだと。
ぼんやりとしたままに留めるのも一興、否寧ろ、ぼんやりとしたその極みにこそはっきりとした主張の裏付けがあるのだ。
ここのところを解さない日本国外人、乃至は日本国内人のボケナスのあいまいな主張に過ぎないのである。
あいまいにしか主張できないなどと、あいまいな理屈でもって攻撃されたところで比丘ともしない。それが我ら日本の、私たちなのであるのよ。
日本の言語は日本語を土台にして世界のあらゆる語の和を持って沈黙に値する融合を目指してきた。まだ目指し続けている。まだまだ、だまだま。きゃは。
ふー、かくして日本の言語は、はっきりと主張をもできる武具であろう。茶器でもあろう。お米であろう。お米ないなら麦くえー。ぷしゅけー。
――とかなんとかって、この前飲み会でアタシ酔っぱらって管巻いてたよって、飲み友から飲んでもほどほどにしなよって忠告られて、や~ん、アタシぜんぜん覚えてないしぃーとか言ったら叩かれた。二発叩かれたよお。
そーいうときの叩き方って、ぱっこーんとかって感じでぇ、あんま痛くないのよねえ。本気では叩いてないもんねー。
きゃは。アタシ今夜もまた酔ってんのよお。
――カチッ
と更新完了。ふ~~、疲れたー。
『おいキノコ、何やってんだ?』
『あーお兄ちゃん、勝手に入ってくんなっつーの!』
『いやあ、邪魔しちゃ悪いと思ってな』
二つ年上のアタシのお兄ちゃんは、いつもぶらぶらしてて、ウザくてクサい。
『で、なんか用?』
『いや別に。それよりお前今ブラウザの画面最小化したろ? もしかしてエロサイトとか見てたのか?』
『そんなわけないでしょ! ブログよブログ!』
『ブログか。ちょっと見せてみろよ』
『イヤよ』
『ちょっとくらいいいじゃないかぁ。ブログは人に見てもらうものなんだろ?』
ぶらぶらして暇だからいつもこうなの。あーヤダヤダ。
『あのねえ、アタシのブログ確かに公開してるけど、でも身内には見られたくないのよ。そういうのってあるでしょ』
特にお兄ちゃんにはね。どうせ下らないだとか、面白味に欠けるだとか文句ばっかなんだから。
『見られたくないって、お前のおっぱいの写真とか?』
『だからなんでそうなるのよ!』
『するんだろ。その巨乳のアップ写真ばっかアップ』
『しないわよっ!』
『わかったわかった。だからそんなキンキン声を出すな』
『もー。それよりお兄ちゃんクサいわよ。お風呂入ってよぉ!』
『入ってほしいのか? そうかあ、それじゃさっそく入ろっか』
『一人で!』
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