第4話「見学のまえに・・・」

「おはようございます」

「おはようございます、先生」


大きな門をくぐり抜けながら桜は優雅に挨拶をしていく。

桜は、自分の教室へと向かいながらぼんやりと昨日のことを思い出す。


(情報収集の件、大丈夫かしら・・・?)


昨日、結と颯が早苗様と優様の情報とかを集めてくれると言っていたが、やはり、自分の目で見てみたい気持ちもあった。


あの2人じゃ心配だし桜自身も情報を集めておきたい。でもそれは桜の仕事じゃないし・・・。桜がもんもんと考えていると、気が付けばもう自分の教室の目の前だった。

自分の席へつき、カバンから教科書を取り出していく。


桜は不安だのどうだの言っていたが本音を言ってしまえば…

(優様と早苗様を見てみたい)

この1言につきるのだった。


そのまま、流れるように時は過ぎていき、4時間目の後半で桜はやっと、決心した。


ー早苗様と優様を少しでもいいから見てみようとー


4時間目が終わり、それぞれがお弁当や食堂へいくなか3人組の少女たちが桜に近づいていく。


「鈴倉さん」


そう、2人の先頭にたち、1人の少女がくるんとした目で桜を遠慮がちに見つめる。


「一緒にお弁当食べませんか?」


桜にいつも一緒にお弁当を食べようと誘ってくれるメンバーたちだ。いつも、桜はそういう面倒な友情関係を築くのがいやでいつもにこやかに「ごめんなさい」

とのらりくらりとかわしている。

だがなぜかいつも懲りずに誘ってくるので少し面倒に思っていたが今日は違った。この3人に早苗様と優様のことを聞きたかった。


「ええ、私で良ければ喜んで」


そう、にっこりと微笑みを浮かべるのだった。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

「えー!ほんと?」


「いがいー」


「それな」


3人が楽しそうにワイワイ話すのを見ながら桜はのんびりとお弁当を食べていた。


「桜さんのお弁当、豪華ー」


そう、桜に話しかけてくれたのは最初に

『お弁当、一緒に食べませんか?』

と訪ねてきた少女ー木下 舞だ。

リーダーシップがあり、気配りもできる愛らしい少女。


「ほんとだぁ。美味しそうー」


桜のお弁当をひょいと覗き込んできたのは

おっとりとした感じボブの笹倉 雪。

運動神経は悪いが頭は良い優等生。


「まじだ。これとかちょー可愛い!」


桜のお弁当をパシャリと写真に収めてきた、ポニーテールの少女は、朝日 美優。

クラスのおしゃれ番長。しかし、行き過ぎたファッションで生徒指導室の常連さんでもある。


そんな個性満開の3人にいろいろといわれている桜のお弁当は

ーお寿司ー

普通、どこの学校でもお弁当に寿司を持ってくる人はいないだろう。

・・・桜以外は

ちなみに美優が可愛いと言っていたものはデザートの砂糖菓子。

様々な色の砂糖菓子がきれいに並べられ、1つの大きな月を生み出している。

3人がパシャパシャと「可愛いぃー」とか「これ、家でつくれるかな?」

などときゃっと騒いでいる。

桜は今がチャンスだー。そう思いあの2人の話を切り出す。


「そういえば・・・この前、坂木優さん?と姫川早苗さんのことを友人から聞いたのです

 けれど・・どんな方達何ですか?」


我ながら上出来な切り出し方だと桜は自己満足していると、あぁ、と3人が反応を示す。


「早苗ちゃんねー。可愛いよ!」


「うん。すっごく頭いいし、運動神経も抜群ー」 


「まじでそれな!悪い噂とかきいたことないわー」


「清楚だよねぇ」


そう、3人が早苗様の話をし始める。しばらく聞いてみると、早苗様は運動神経抜群・成績も優秀・コミュニケーション能力が高いということがわかった。


しかし、桜がいくら耳を澄ませても優様の話はでてこない。しびれを切らし、桜は訪ねてみる。


「坂木優さんはどんな方何ですか?」


その反応は先程とは打って変わって微妙な空気がその場を流れた。


「優・・・ね」


「なんかーこうねぇー」


「・・・・うん」


「たぶん、直接見てみた方がいいかも」


「うん」


「それな」


「たぶん、放課後は視聴覚室にいると思うから・・・覗いてみたらいいと思う」


「気をつけてね・・・」


そう、戦争にでもあうかのように神妙な顔でいうのだった。
















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今日から私は悪役令嬢~お金のためなら何なりと!~ @mkwarbimochi

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