今日から私は悪役令嬢～お金のためなら何なりと！～

第3話 「まずは・・・情報収集？」

「ごめんなさい。影が薄いからかお話されている声が　

　聞こえないわ」

「おあいにく様。俺も悪女の声はよく聞こえ

　ないようだ」

颯や桜がやいやいやと言い合っているとドアがぎいっ

と開く。

「やぁ、みんな仲良くしているか？」

颯爽と東条が入ってくる。その瞬間に桜は思考がプツンと切り替わり、憎まれ口をたたいていた顔を瞬時に穏やかな微笑みを浮かばせる。

「はい。皆様とても良い方々で親しくさせていただい　

　ております」

「そうか。それは何よりだ」

「ええ、とても楽しくお話し差せていただいておりま

　すわ」

「おお！結構結構」

颯たちは桜が実際とは真反対のことをいいだすからみんなあぜんと桜の顔を見る。桜としては東条とは財閥上の関係でそれなりにいい面をしておかなければいけない関係だ。桜は颯たちが余計なことをいわないようにニコリと威嚇していく。

そんな桜達を知ってか知らなくてか東条がニンマリと笑う。

「そうしたらお次は作戦会議だ！」

「「作戦会議？」」

「ああ、そうだ！しっかりと作戦をたてなければでき

　ることもできん！」

「はぁ」

「ここは好きに使っていいからな」

「・・・・ということでしっかりと作戦をたててくれ！

　あ、たてたら俺に提出してくれよ」

言うだけ言って東条はさっさと去っていったのだった。

ぽかんとしている皆の中で桜が最初に口を開いた。

「ああ、作戦立てろって、無理よむりー」

いきなり､桜の敬語がタメ口になり、凛としていた声がきだるげなものにかわる。

その様子に皆がまたまた、ぽかんとしていると颯が口を開いた。

「あ、やっと、本性表した。化け物が」

「あーごめんなさい。なにいってるのか理解できないわー」

「おーさっすが生粋の悪女、おそろしー」

「ちょっとなにいってるのかわからないわ」

桜と颯がまたもやバチバチとにらみ合っていると我に帰った結が間に入ってくる。

「べ、別に桜様は、悪女なんかじゃありません！」

その言葉に桜は便乗して、そーだそーだと颯を睨む。

そんな3人の様子をじーっとみていた航が

「そろそろ、作戦会議はじめようよー！」

と切り出す。その声に全員がはっと反応し、それぞれがいそいそとイスに座る。

「えーっと、作戦ってどんな感じのだっけなー」

「んーまずは情報がないと作戦のたてようがないわねー」

「だったら、まずは情報収集だね！」

「俺、明日､早速優様に近づいてみるわー」

「うちも明日、早速情報集めます！」

「じゃぁ、2人ともよろしくな！」

「はい！」

結がにっこりと笑う。

「じゃぁ、情報収集の結果を聞きたいからここで明日

　あうかー」

「そうね。何でも好きに使っていいっていわれたし・・・」

方針がだいたい決まったところで、結がそういえば・・・と桜と颯を交互にみてにっこりと笑う。

「すっかり､桜様と颯なかよくなってますねー」

「「はぁ！？」」

結の言葉に颯と桜の声がぴったりとあう。

「ほら、仲良しじゃないですか♪」

「こいつとだけは仲良くない！」　　

「それはこちらのせりふよ！誰が仲良くできるもの

　ですか！」　

バチバチとまたにらみ合う2人をみて、あわあわと結が2人をみる。

「あ、うち、何か失言しちゃいましたか？」

「んー、そうかも・・・」

「ごめんなさぁい！！」

結の声が部屋に響いていくのだった。