第2話「こんばんは」
桜が東条から依頼を引き受けた次の日の夜。
この日、これから共に2人を結びつける仲間たちとの対面が東条の自宅で行われた。
「ふぅ」
桜は仲間がいる扉をゆっくりと開けた。
-最初が大事よ、最初が・・・まぁ、失敗しないけど-
桜がそう思いながらゆっくりと扉をあけ、口を開く。
「こんばんは、皆様。鈴倉財閥の鈴倉桜と申します」
そう、軽く頭を下げる。桜が頭をあげると・・・
「ふぁぁ!やっと女子きたー!男子ばっかでむちゃくちゃ気まずかったんだよぉーー!」
そう、少女に猪の勢いで飛びつかれた。
「あら」
桜の目が少し見開く。そんなこともかまわず、桜に飛びついた少女は続ける。
「聞いてー!男子みーんな黙ってるんだよ!気まずす
ぎで死ぬかと思ったーー!」
すると、何かのスイッチが切り替わったかのように少女ははっとなり、バッと桜から離れて今度は頭をバッと下げた。その姿は、これから殺される少女のように小刻みにふるえていた。
ー殺したりしないのにー
と少し不思議に思いながら黙って少女を見つめる。
「ご、ごめんなさい!思わず女子が来て舞い上がっち
ゃって・・・ 」
慌てて頭を下げた少女に桜は優雅に少女に微笑みかける。
「大丈夫ですよ。それよりお名前を伺っても?」
少し、戸惑いを見せるも、ぎこちなく少女は言葉を返す。
「は、はい!うちの名前は浅宮結と申します!」
「これからよろしくね」
桜がそう微笑みかけるとぱぁぁっと笑顔の表情を表し、食い入るように桜を見つめた。
「・・・桜さん。いえっ桜様!よろしくお願いしま
す!」
と謎に桜に心酔するだった。
桜は結から視線をはずし、残りの男子2人へと視線を移す。
片方は少し金髪が混ざった茶色の髪の毛をもつイケメンともう片方はメガネがよく似合うこちらもイケメンがいた。
2人ともイケメンだが、決定的にオーラが違った。
金髪イケメンは華やかなオーラでメガネイケメンは・・・失礼だが謎に地味だった。
「ひどいなぁ!結は!」
金髪イケメンと結はすでに挨拶済みのようだ。金髪イケメンと結が挨拶済みならばメガネイケメンとも挨拶済みだろう。金髪イケメンは桜に目を移し、にっこりと笑いかける。
「こんばんは!月雪航だ!桜!これから共に頑張ろ う!」
航は出会って数秒でもう名前呼びだ。おそらくこの人、懐っこさから絶対モテているだろう。桜が1人で推察しているとメガネイケメンが立ち上がった。
「こんばんは。新風颯です。よろしくお願いします」
とぺこりと頭を下げた。
ー地味だなぁこいつ。イケメンなのにもったいない
もっと航くらい人懐っこい性格だったらバカみたいにモテただろうに・・・ おかわいそうー。
桜は半分哀れみのみ目を颯に向ける。
「何だよ?」
「あ、いえ、何でもありませんわ。おかまいなく。
そんなことより、皆様、役割を伝えあいましょ う?」
桜は慌てて颯から目をそらし、作り笑いの表情で結や航に微笑みかける。
恋応援団の団員は全員で5人。あまり増やすとあとあと、めんどう何だそうだ。そしてその5人にはそれぞれ、役割があるのだ。
「それでは、私から。私は、悪役令嬢役を勤めさして
いただきます。」
ぺこりと頭を下げるとわぁぁっと結と航が拍手を。颯は、少し拍手をした。
「そんじゃぁ、次はうちの番だね!」
結は、バッと立ち上がり、満面の笑みで話す。
「うちは悪役令嬢の取り巻き兼全体的な情報収集をつとめます!」
一通りまた、拍手が終わると航が待ってましたといいたげな顔で笑いかける。
「俺はー優様の恋敵を勤める役割だ!」
航はどうだ!とどや顔を向けて来る。桜は半分呆れながら拍手を航におくる。
ーんじゃぁ、お次は・・・ーと颯に視線を向ける。
「優様の取り巻き兼優様の情報収集を勤める。よろし
くな」
とさらーと終わらせる。桜は思わず
「あ、だから地味だったのね」
と納得してしまった。
ー優様と引けを取らない容姿を持ちつつもどこか地味。そんな颯なら優様のいるグループに入っても目立つことはなく、違和感もないだろう。東条・・・なかなか良い人選だなー
桜が一人で納得していると、颯が顔をしかめる。
「なんかいったか?」
はっとなり、桜が慌てて笑みを作る。
「いえ、なにもいっていませんわ」
「そうか」
桜はホッとおおごとにならずに済み、一人でホッとしていると
「お前、性格悪いな。本物の悪役令嬢じゃん」
ピキっと桜の頭の音がなる。頭を落ち着かせて颯に微笑みかける。
「あら、何かおっしゃって?」
「いや、何も」
「あら、そうですか。地味男さん」
今度は颯がピキっと頭の音をたたせる。そして、颯がにっこりと笑う。
「こちらこそ、悪女さん?」
お互いがにこにこと笑いあいながらーこいつとはあわないなーと両者黙ってみているとー
「桜様は、悪女じゃないよ!天使だよ!」
と結が熱く颯に講義し、航は、あわゎゎとおろおろしている。
その状況にこれからやっていけるのかと、火種をまいた張本人が
ー5千万、もらえるのかしら?ー
と頭を抱えるのだった。
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