第6話 勇者団の初陣
とうとう初陣の日が来てしまった。
俺は色々とスキルの効果を確認したり、カッツェ侯爵にねだって装備を揃えてもらった。
ブカブカのスーツじゃ戦えないからね、このスーツや色々もちこんでしまったスマホなどは【無限収納】に格納しておいた。
装備は今の体格でも扱える長さの槍に短刀、鎧は革鎧だ。
革鎧はそのままでは少し動きづらかったので、短刀で腕周りを加工し、更に【元素魔法】で軽量化と硬化を施してみた、気持ち程度だが強化することができた。
でないといざという時に自分の格闘適性が活かせないからね。
槍と短刀もそれなりに強化しておいたが、正直効果はいまいちなので基本は魔法になるだろう。
装備をしてステータスを確認したらこうなった。
***
ジル・イツカ 男 ヒューマン 15歳
称号:
『ハッカー』『賢神の勇者』
スキル:
【言語理解】【肉体強化】【格闘適性】【自己再生】【ハッキング】【元素魔法】【高速処理思考】【無限収納】
ステータス:
肉体:万全
精神;異常なし
攻撃:15(+1)
防御:6(+2)
弱点:特になし
***
騎士たちと訓練することで防御の数値が1つだけ上がっていた、表示通りレベルなどはなく、鍛錬すれば数値は上がるようだが、肉体的な数値のみで例えば魔法などは攻撃力として数値には表れないようだ、そうなるとこのステータスを信じるのは危険ということになる。
また、疲労が溜まると魔法もスキルも使えななくなるので無駄撃ちもできず、よく考える必要がある。
カッツェ侯爵によると、今回は勇者のみでモンスターと戦うらしく、騎士団は来ずに数名が同行するだけらしい。
斥候は傭兵ギルドで雇った者がするらしい。
もう不安しかない条件だ。
勇者団は一番ステータスが高いガルドという脳筋が率いるという事で、自分はやはり最後列に回された。
まあ、その方が戦局も見えるし都合がいい、なんせここからは命懸けだ、リスクは低いほうがいい。
いざとなったら逃げてやる。
初陣前に王城の庭園に集められた勇者は全員で34名、皆自分よりステータスが高い。
その中でガラハドを見つけたが、トウモロコシのヒゲで作った様な残念な金髪カツラをしていた(笑)、ざまぁ。
初陣前に国王から挨拶があると言うので、皆で適当に整列して待っていると、これまた如何にも王様な格好をしたオッサンが出て来た。
「勇者の皆よ、余がこのアトク国の国王サイードである。今この世界はモンスターの危機に立たされており、勇者の協力なしに立ちいかない状況になっておる。
この国だけではなく、各国で勇者を召喚しており、皆が奮闘してくれれば、必ずや脅威は去るであろう。
脅威が去った後は、勇者の皆にはそれぞれ地位と名誉を約束する!
皆の奮闘を期待しておる」
国王は好き勝手言うとサッサと居なくなった。
その後、宰相と名乗る、ジジイが出て来て説明を始めた。
「勇者達よ、今回は初陣という事もあり、王都から1日ほど離れた地域でモンスターの討伐を行なって頂く。
その地域のモンスターは王国の騎士達では倍以上の人数でやっと討伐できる強さである。
勇者の力をもってすれば討伐は容易いと思っておるが、モンスターの数は100体ほどという事じゃ。
勇者達には討伐後、この王城に帰ってもらうことになる。
何か聞きたいことがあるかの?」
おいおい、そんなのが僅か1日の距離にいるなんて、ホントこの国大丈夫なんだろうか?
「イヤよ!私はライルと離れるなんて1日でもイヤよ!」
「まだまだ英気を養うまで休んでいません、後10日は休みたいんですが」
女勇者とダルそうな感じのダメ勇者が声を上げている。
君らそれ質問じゃないよね?
と思っていると宰相が若干キレ気味に話しだした。
「ライル卿はそこな女勇者様に同行させよう!
また王都近くの脅威の為、これ以上日程は伸ばせられん!」
「ヒィ~ッ!」
ライル卿とやらの悲鳴が聞こえた。
女勇者は何を勘違いしたのか悲鳴をあげた騎士にウインクをしている。
無駄飯喰らいにならない様にこれ以上伸ばせないのは当然だろう、ライル卿とやらは災難だろうが、頑張った自分の身は守ってもらいたいものだ。
他に誰も質問しないので、俺が質問する事にした。
「モンスターの種類や数、分布とかわかりますか?あと地形がわかる様な地図があると良いんですが、見せてもらえますか?」
「それについては、現地で雇っている斥候に聞いて欲しい」
マジかこのジジイ、敵の数も地形も現地までお預けかよ。
戦術も何も考えられないじゃないか。
ここでリーダー格のガルドが声を上げた。
「我々勇者団にかかれば、モンスターなどはすぐに壊滅だ!森にいるモンスター全てを到着後3日で全滅させてくれる!」
この檄を聞き、他の勇者もオオーッ!と声と拳をを挙げる。
盛り上がっているところを悪いが聞いてみよう。
「作戦は団長としてガルド様が出されるという事で宜しいでしょうか?
また、この中で回復魔法を使える勇者はどれくらい居ますか?」
「作戦は団長であるワシが出す。皆は指示に従ってくれれば良い」
回復魔法を使える勇者は、自分を合わせて5名だった。
一気に不安が募ってくる。
「今回は初陣となります。せめて後衛の支援部隊は付かないんでしょうか?」
「我々勇者に後衛なぞ不要!
貴様は何を言っているのだ!
誰も怪我なぞせんし、後衛の食糧等余計な経費がかかるわ!」
いやいや、準備は万端にしないと、アンタ達は俺と違ってモンスターの情報も調べてないでしょうが!
「さぁすがはガルド団長!貴公を団長に選んで正解でした!
何卒この国をお救いくださいませ!」
宰相がヨイショする、俺は当然他の勇者や騎士から、軟弱者扱いされた。
やっぱりこの世界はもう詰んでいるんじゃないだろうか?
***
本作とコラボした内容の『上司と部下の変愛について』連載開始してます、ニヤリとできる作品なので是非ともご一読ください。
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