第16話 再び夢の中へ
手紙によれば、
夢工場は破壊された為に
全世界に夢が届けられていないこと、
その為に夢が見られないこと、
夢が見られないと
眠れなくなってしまうことについて書かれていた。
「脳には海馬と呼ばれる部分があります。
そこで、夢を見るのでございます。
夢工場でできた夢を配達員は海馬に運びます。
夢は、人の記憶を整理するために見るもの。
夢を見なくなるということは、
記憶が整理されないで頭の中が
いっぱいになってしまいます。
頭が休むことができずに、
眠れなくなってしまうのです。
今、そちらの世界では寝不足による被害が
出ていることでしょう。」
夢工場の破壊と、夢を見なくなったことと、
みんなが眠れなくなったことが繋がった。
夢にそんな大事な役割があると知らなかった。
「こちらの夢の世界では、
夢を配達できなくなった為に
大量の配達員が失業。
夢が製造されないため、
悪夢もなくなり、
食べる物がなくなったバク騎士団が大暴れ。
夢の世界の農作物に被害が出ています。
暴動がおこるようになりました。
その怒りの矛先は、夢工場を破壊し、
混乱を招いた全ての元凶であるご主人様に
むけられているのです。
ご主人様は命を狙われています。」
トウマは殴られたような衝撃が走った。
レムは関係ない。
どうしてレムが命を狙われなければならないのか。
「僕が行かなきゃ。」
自分に言い聞かせるようにトウマは言葉を発した。
手紙の続きを読む。
「夢への行き方ですが、
現在夢が配達されていないため、
トウマ様も夢を見ることができず、
こちらに来ることができないと思います。
しかし世界中でたったお一人、
今も夢を見続けている方がおります。
アリス様です。
ご主人様の偏食が役にたちました。
ご主人様がアリス様の夢を予約をしていた為に
盗まれずにすんだのでございます。
夢へ入る唯一の入り口、
それはアリス様の夢です。
アリス様の夢から夢の世界に入るには
注意があります。
人の夢に入ることは危険が伴うのです。
アリス様が目をさます前に
事件を解決して現実世界に戻らないと、
夢の世界から出られなくなってしまいます。
もし、危険を犯してまで夢の世界にきてくださり、
ご主人様の潔白を証明してくださると
決心してくださるのなら、
同封した紐をトウマ様の体に結んでください。
その紐は、
ガギがパケジに変装した時に持っていた葉巻を
裂いて紐にしたものです。
ガギの能力を利用して
アリス様の夢の中に入るのでございます。
ご主人様も反省しております。
あの時、
トウマ様が工場に行くのを止めてればよかったと。
トウマ様を苦しめる結果になってしまったことを
悔やんでます。
トウマ様にもし会えるのなら
詫びたいと申しています。」
トウマはアリスの親に話して、
アリスのお家に泊まることになった。
転校してきて初めてお泊りしたいと言ってくれた友人。
アリスの家族は快く承諾してくれた。
トウマは電話でお母さんに話した。
もう戻れないかもしれない。
「お母さん、ありがとう。」
最後にそう言って電話を切る。
アリスの枕元にある目覚まし時計は
7時にセットされている。
でも、目覚ましが鳴る前に起きる可能性だってある。
今は、夜の9時。
トウマは左手首に紐を巻きつけて結んだ。
すると、トウマの足元から竜巻が発生し、
トウマは竜巻にまきこまれてグルグルと回る。
回りながらアリスの鼻の穴へ吸い込まれていった。
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