第13話 警察署前の戦い

 トウマは工場に潜入した。

 話の通り、簡単に入ることができた。


 大きな門を開けて中に入ると、

 回転寿司のようだった。


 ベルトコンベアーがずらっと並んでいる。

 漫画の吹き出しのような形の夢が

 乗って運ばれている。

 回っている機械音が響いている。


 工場は広かった。

 野球場ぐらいの大きさはあるだろう。

 工場の中心には巨大な球体の機械がある。

 そこから無数にレーンが伸びている。

 そのレーン一つ一つに個人名が記載されていた。


 そのレーンの間をすり抜けて歩く。


 

 警察署に残されたレムは、

 警官たちとにらみ合っていた。


「諸君の上司、パケジ警部に

 私を美食家と呼ぶように伝えてくれたまえ。」


 レムはパケジから夢ドロボーと言われたことを

 気にしていた。


「来たまえ。相手をしてしんぜよう。」


 レムが指を動かして警官たちを挑発する。

 一人、二人、三人、四人と次々にレムに飛びかかる。


 レムは、フィギュアスケートのように

 素早く華麗に攻撃をかわす。


 警官たちは複数で襲いかかったものだから、

 お互いぶつかったり、つまずいたりして

 みんなのびてしまった。


 レムは肩をすくめる。

「やれやれ。

 もう少し注意深く物事を

 見ることをお勧めするよ。」

 

 レムは足元に倒れている警官を

 一人ずつ起こしてあげた。


 全員を助け終わると静かに言う。


「さて、諸君の本物の上司はどちらにおいでかな?」


 警察署にいたパケジが偽物だと主張するレムの意見に

 半信半疑だった警察だが、パケジ捜索にむかう。


 数時間後、

 本物のパケジが

 偽パケジが乗っていたパトカーのボンネットから

 口をガムテープでふさがれ、

 両手両足を縛られた状態で見つかる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る