第10話 パケジ警部とレム
茶色いレンガの東京駅のような建物。
夢の世界の警察署。
中に入ると、待合室に通された。
待合室のソファーには
パケジが貧乏ゆすりをしながら
座っていた。
「わが友、パケジ警部。
ご機嫌いかがかな?」
ハグをしようと近づくレムを蹴り飛ばす。
蹴られたように見えたが、
華麗なバク宙でかわしていた。
どうやら友達だと思っているのは
レムの一方的なものらしい。
ガギに逃げられて以来、
パケジは虫の居所が悪い。
「友達じゃない!宿敵だ!
夢ドロボーが何の用だ?」
「失敬な。美食家と呼んでくれたまえ。」
レムは首をかしげる。
「おや、少しおやつれになられたのでは?
しっかり召し上がらないといけませんね。」
「誰のせいだ?誰の!」
殴りかかるパケジの脇を
レムはすりぬける。
その時にすりとった葉巻を
まじまじと見つめる。
「いつもより甘さの香りがきつい。
葉巻をかえたのかと思いましたが、
前と同じ銘柄ですね。
吸い過ぎは体に障ります。
禁煙なさっては?」
「いい加減にしろ!」
こんな調子で10分ほど
追いかけっこをすると、
息をきらしたパケジが
用件をきいてきた。
「はぁ、はぁ…何しに来た?」
トウマが理由を話す。
パケジは話を聞き終わると、
申し訳なさそうな顔をした。
「外してやりたいのは山々だが、
あいにく鍵が手元にないのだよ。」
面目ないと言ってパケジは頭をさげた。
ガギは鍵を持ったまま逃走しているという。
「そこでだ。
一つ名案があるのだが、
トウマ君の協力が必要だ。
手伝ってくれるか?」
パケジはトウマの鼻にぶつかりそうな位、
顔を近づけた。
葉巻のにおいに、
ほのかに甘ったるい匂いが混じっている。
気持ち悪かった。
「僕にできるでしょうか?」
「お前さんにしかできないことだよ。」
そう言って、1枚のガムを渡した。
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