第8話 新しい展開
現実世界の夜。
トウマはまた同じ夢を見ることが怖くて眠れない。
「寝たくない。寝たくないよぅ。」
横になったら寝てしまうだろう。
トウマは部屋の電気をつけたまま、
体操をしてみた。
体を動かしていれば寝ないですむかもしれない。
夜の11時をまわっていた。
「いつまで起きてるの?早く寝なさい。」
お母さんが入ってきて部屋の電気を消す。
トウマが布団に入るまで見張るつもりだ。
しかたなく布団に入る。
「寝たくないよ。」
「また怖い夢を見るから?ただの夢よ。大丈夫。」
そう言うと、お母さんはトウマのそばに横になった。
「毎日同じ怖い夢なんだ。」
「お母さんだったら、
いつもと違うことをするな。
いつものトウマなら
やらないようなことをやってみるの。
そうしたら違う夢になるんじゃない?」
お母さんはそう言うと、
寝かしつけるように布団の上から
とんとんとリズムよくたたいた。
夢を見ないアリスが羨ましかった。
「夢なんて見なきゃいいのに。」
とんとんとん…。
心地よいリズムで眠くなる。
暗い。監獄があって、
檻の中に電気椅子が置いてある。
軍需工場?
古ぼけた看板に書かれている。
壺。壺。壺。
「まただ。」
倉庫だろうか。ほの暗い場所だ。
そこらじゅうに茶色い大きな壺が並ぶ。
トウマと同じくらいの大きい壺だ。
お母さんの言葉を思い出す。
いつもと違うこと、何をする?
ピエロだ。
追ってくる。
「逃げなきゃ。」
躓く。
そこには巨大な蛇が
とぐろを巻いている。
蛇がトウマの右腕に絡みつく。
蛇が手錠になる。
ズザザッ ズザザザッ
ピエロが足をひきずって歩いて近づいてくる。
ここで場所が崖の上に変わる。
これ以上先には行けない。
目の前にピエロが立っている。
「いつもと違うことをやる。」
トウマは自分に言い聞かせた。
ピエロは笑っていた。
ナイフを見せると、ふりかぶる。
トウマは目を瞑って息を吸い込む。
「やあああああ!!!!」
トウマは崖の下に飛び降りた。
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