第7話

Z Life 7


 遠くにいても臭いで解る。

 確実ではないが単体なのか複数なのかもなんとなく解るようになっている。


 生き残っている人間達は新世界だと言い無秩序から秩序を作ろうとしている。結局、人間は同じ方向にか進めないのである。

 リーダーを作りルールを作り、破った者を排除する。

 この目の前を歩く“わたなべ”と言う男は多数決で決まったリーダーだが、独裁的な考えで権力を牛耳っている為に俺に住民達が暗殺を依頼してきた。

「レンさん…俺は皆を幸せにしたいんだ」

「…」

「皆苦しんできて疲れはてている」

「…」

「だから、俺が頑張らなきゃいけないんだ」

「…」

俺は振り返ろうとするわたなべの足を撃った。

 倒れて叫ぶわたなべの両足をさらに撃った。

「あんたの暗殺を頼まれたんだよ…このまま奴等に食われてくれ」

「置いていかないでくれ!」

俺は来た方向へ歩いた。

 雑木林には木漏れ日が入り込んで居心地の良い山である。

 死ぬには良い場所だ。


 車で真奈美が待っている。

「おかえり」

「ただいま」

「終わったの?」

「終わったよ」

「…人間ってくだらないよね…」

「だな…物は貰ってきた?」

「うん!二、三ヶ月は暮らせるね」

後部座席に大量のダンボールに入った食糧と水が積まれていた。


 腐った奴等の頭を破壊しても、人間を殺しても何にも思わなくなっている。



 三ヶ月後ー。

 変わり果てた真奈美の姿をみて…人間は罪だな…神がいるとしたら人間は駄作だ。

 罪は罰を受けなければならない。

 その罰が目の前の奴等に変わり果てた真奈美である。

 俺達は“わたなべ”を殺して俺達は野生化しようと言っていた。

 だが、長阪のジェイマートの辺りで略奪者に襲撃されて車と物資を失った。徒歩で移動しているうちに奴等にか困れた。そして、真奈美は噛まれてしまった。俺は真奈美を縛って変わり果てている。


 涙が溢れてくる。でも、もう遅い…。真奈美を連れて歩く…でも…辛い。生きている真奈美を知っているから虚ろな真奈美を連れて歩くのが辛い…。

「突然過ぎるだろ…少しは時間をくれよ…」

俺は真奈美を二度と殺した。

 渇いた赤松を組んで真奈美を置いて火を放った。


 煙になっていく真奈美の臭いを嗅ぎながらレミントンをくわえて撃ったー。


 銃弾が脳天を貫く感触を確かめながら…無。


 何かが弾けた。

 弾けた方向を見ると地獄の門が開いている。


「あぁ…だからか…地獄の門が開いたから奴等が歩き始めたのか…」


おわり

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ゼットライフ 門前払 勝無 @kaburemono

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