第3話
Z life 3
たのしい野草ー。
「楽しくないわい!こっちは必死じゃ!」
本に突っ込みを入れた。
大武川の河原で食べられる野草探しをしている。
タラの芽とかワラビは解るがその他の食べ物はよくわからない…。まだこの辺りは畑があるからなんかしらは手にはいる。水もあるしかなり恵まれている。
適当に食べられそうな草と野菜を炒めて食べる。土鍋で米を炊いて味噌汁も作る昔よりもちゃんとした飯を食べているー。
一日中ここにいるから部屋も綺麗に片付いている。
太陽光パネルが設置してあり単独の電気が来ているからお湯はケトルで沸かせる。民家から少し離れていて奴等もあまり来ない…。
窓から外を眺めながらコーヒーを飲んでいると一匹近づいてくるのが解った。
双眼鏡で見てみると若い女の子の奴であった。通学路だったのか…。
俺は実験を思い付いた。
ロープとガムテープを使って女の子を捕まえた。口と手首をガムテープで巻いて腰をロープで縛った。
その女の子を連れて奴等が居そうな所へ向かった。
玄関へ立たせて、少し離れた位置から石を投げてガラスを割った。
中からは数匹出てきたがしばらくウロウロしてから家の中へ入っていった。女の子には見向きもしなかった。
「これは使えるな」
俺は詰所のシャッターの前の電柱へ女の子を繋いで、その日は布団で爆睡した。
次の朝ー。
女の子は電柱にグルグル巻き付いていて身動き取れなくなっていた。
「バカ犬みたいだな…」
俺は詰所からなるべく近場を散策し始めた。
女の子を連れていくと奴等が寄ってこないから楽に散策出来た。漬物や保存食がたくさん手に入った。
「この子に名前をつけてあげよう!頼れる相棒…何が良いかな」
俺はたくあんを食べながら考えた。
「アンディウォーホールがいたから、キースへリングだな~!キースだ」
キースの頭をポンポンして部屋に帰った。
相変わらず川原にて野草探しをしている。
キースは道路脇のガードレールに繋いでいる。
なんだか解らないが取り敢えず野草を集めていると、無数のエンジン音が聴こえてきた。俺はその場に伏せて遣り過ごそうとした。
エンジンの爆音に混ざって銃声が数発鳴った。
エンジン音が遠くに行くのを確認してからキースの元へ向かうと、キースは蜂の巣にされていた。
「…ごめんよ」
既に死んでいるのに、二回目の死を迎えたキースが可哀想になった。
元人間狩りをしている連中が悪いわけじゃないが、俺の安住を邪魔する奴は許さないー。
このしばらくはキースによって安心感を与えられた。そのキースを蜂の巣にした連中は許さないのである。
俺は久しぶりに銃を車に積んだ。ガソリンをペットボトルに小分けして、ロープも積んだ。
国道脇の畑道を走ると遠くに煙が見えた。
バイカー達のキャンプであった。見晴らしのよい広場にバイクと車を円のようにして真ん中にキャンプを設営している。
俺は夜になるまで待った。
真っ暗闇の中、俺は音を経てないで、囲いにされているバイクのエンジンの辺りにガソリンペットボトルを蓋を開けて置いていった。ある程度の距離を取ってからペットボトルに向けて撃った。
一瞬辺りが光ってからボンッ!っと爆発、バイクのタンクに引火して更にバイクが炎上しながら爆発した。闇の中でバイクが跳ぶのが見えた。
移動しながら銃を撃った。
何人かに当たるのを炎の明かりの中に見た。ガソリンペットボトルを炎に向かって投げながら敵達が怯んでいる所に銃弾を浴びせた。バイクを焼いて、車も焼いた。
俺はガソリンペットボトルを全部投げ終えると、森の中へ逃げ込んだ。岡の上まで来て敵達の動きを見た。敵達は思ってもいない攻撃をされて動揺していた。炎を消そうとする奴、暗闇に向かって銃を撃つ奴、怪我人を抱き締めている奴、死んだ奴はそのうち生き返る。
まだ動く車とバイクに生き残り達が群がって散り散りに逃げ出して行った。
俺はキースの仇が討てたからニヤついた。
腐った奴等が徘徊する世界になったというのに俺は目の前で起きている残酷な出来事を他人事のように見ている。自分が大事にしていたオモチャを壊されると頭に血が登ってケンカになるところが、今は殺してしまう。罪悪感は無いー。
昨夜、殺した人間の丸焦げになった死体を見ても何とも思わない…。生活のために捕まえた一匹を壊された復讐が四人の人間を殺した。
俺は詰所を避難場所として、しばらくは放浪することにした。
この新しい世界を見て回ろうと思ったのだー。
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