新たな病院ライフ

痛みの原因、やっぱりあった

 退院の手続きをしている時から、なんだか痛みが再燃してきました。

 歩くだけで内臓に響くような痛みが走る。特に切ったところあたりがずんずんと重苦しく痛む。これが結構つらかったです。でももう帰るって連絡しちゃったし、長女の愚痴がものすごくたまっていると言うので結局そのまま帰りました。


 私手術なんて初めてだし、これが普通なのかなー? と思っていました。

 だって一応、退院許可が出たということはなおったと思うじゃないですか?


 家に帰ると、子供達が大フィーバー。長女の愚痴がいつまでも止まりませんでしたし、まだ当時2歳だった長男がくっついて離れませんでした。おまけに飼い猫も離れなかった。

 突然の入院だったので、みんなには迷惑をかけてしまったと反省しました。

 申し訳なかったなぁ、と思いながらも痛みはまだまだ続きます。

 

 ご飯が全然食べられなかったです。

 食べてるうちに、痛みが増してくるんですよね。でも今は退院して点滴のお世話にもなれないから、食べるのが怖くなっちゃったんです。

 痛み止の飲み薬をもらってはいたのですが、飲んでもほとんど効きません。夜中痛みで起きてしまうほどで、その日はなかなか眠れませんでした。途中お薬を三時間おきに飲んで耐えました。

 本当はもっと間隔を空けなくてはいけなかったのですが、痛みがしんどすぎてもう飲んじゃえばいいやって。


 ……これは、おかしいのでは?


 と思うも、胃炎が治れば痛みもとれると聞いていたので、あと一日だけ頑張ろうと横になって痛みに耐えました。炎症がおさまるまでの辛抱しんぼうだと、自分に言い聞かせていましたね。


 ですがその決心は、一日ももちませんでした~。

 だめでした~、痛みに負けました~。

『頑張ろう』という言葉が一瞬で家出していきました~。



 その日の夕方にどうしても耐えられなくなって、旦那にまた病院へと連れていってもらったのです。

 その時にはもう歩くのもしんどくて、車イス移動でMRI検査を受けました。

 その時、造影剤ぞうえいざいを体にいれた検査を初めて行いました。お薬が体の中に入るとカーっと熱くなる、あれです。それで今、私の体のなかで何が起きているのか見るそうです。ちょっと面白かったな。

 検査のために横になったのですが、力を入れると痛みが走って起き上がれなくて、検査技士さんに起こしてもらいました。

 その後私は旦那に車イスを押してもらいながら院内を移動していきました。


 その結果……新たに『胆汁漏たんじゅうろう』という診断が付きました。

 あと胃炎と十二指腸炎じゅうにしちょうえんと……。


 胆管たんかんを止めていたクリップが、何らかの理由でずれてしまい胆汁たんじゅうれてはいけないところにれていた、とのことです。それがかなり貯まってしまって、薬で散らす量ではないらしいです。

 痛いはずですよね。

 だって、消化液しょうかえきが内臓にかかって炎症をおこしてるんですもの。



 まあ原因はそれだけじゃ、無かったんですけどね。



 結局その日、また同じ病室に再入院しました。

 同室のたんのうえん仲間の方が驚いて私のベッドの所まで来てくださいました。

 またすぐに会えたことに、もう二人して笑ってしまいます。


 その日は一日、点滴で痛みをとって過ごしました。

 痛みがないって、ものすごく天国……!




 次の日の朝からまった胆汁たんじゅうを体の外に出す処置が始まりました。ちょうどみぞおちの辺りからぶっとい針をさして、細いチューブを体の中に通すんです。

 皮膚ひふのための麻酔を打たれたあと針を射されたのですが、そのあと針よりも太いチューブが腹膜ふくまくを通った時がめちゃくちゃ痛かったです。


「あ、痛いよーってもう通ったあとだけどー。はははー」


 って主治医さんに言われた時は、こんにゃろうって怒りました。

 でも痛みに耐えようと力を入れると余計痛くなるから、声をかけなかったそうです。


 そのチューブが貫通かんつうすると、でるわでるわ。

 約250mlのまっていた胆汁たんじゅうが。


 本来個人差がありますが、一日500~800mlの胆汁たんじゅうが人のからだのなかで作られます。そして太いチューブを外した日からたった2日で250mlまったことに。

 そもそも夜中の痛みマックスの日にはもう溜まっていたのかもしれません。


 でも出た瞬間から、体がものすごく楽になりました。

 普通に息が深く吸えるんです。

 とりあえずこれで痛みからは解放されましたが、新たな治療が始まりました。



 こうして、ここから約1ヶ月、私はその病室のぬしへと成長していきました。






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