第5話
「ところでサヤカ、女王ってどんな奴だ?」
「はあ、あなたって人はですね……、女王様はですね、気高く、そして何よりも神を信仰しているお方です」
「なるほど……ところで、なぜ俺が神の使いだとわかった?」
「私には、神聖が見えるのだよ」
「は?」
「だから、神とか神と同等の者の気が見えるんだよ‼」
「それで、何の得があるんだ?」
「いや、特に何もないのだが……」
こいつ、俺を神の使いだと思っているのか。
「なあ、一ついいか?」
「質問が多いな、何だ?」
「俺のこと、本当に神からの使いだと思っているのか?」
「だとしたら、何だというのだ?」
「いや、それなら何も心配ないな……」
「何を言っているのだ、貴様は」
「いや、こっちの話だ。気にするな」
「ならよいのだが……」
なんでだ?
下界に降りると、神は神気が低くなるとは聞いていたが、どうやら、本当らしいな。
「暁さん、何か、期待していましたね?」
「なんだよ、悪いのか?」
「そんなに女の子にモテたいんですか?ふんっ‼」
「えぇ……」
なぜか、桜もこんな調子である。
「ついたぞ、ここが王城だ」
「これが、王城なのか?」
「何が言いたい?」
「襤褸くないか?」
「なんだと貴様っ‼今は状況が状況だから、こんな貧相な城かもしれないが、絶対復興させて、ぎゃふんと言わせてやるからなっ‼」
「まあいいや、とりあえず、入っていいの……」
「これはこれはアイザワ様、お帰りになられていたのですね‼」
「ああ、帰っていたよ、シルク。ところで、ソフィア様は?」
「いつもの場所にいらっしゃいますよ、それと、こちらは?」
「俺は暁、神界から来た。」
「私は、桜。こちらの暁さんの付き添いです」
「では、貴方が神の使いというわけですね……。その割には貧相な格好ですね」
「この格好のほうが楽なんだ、許してくれないか?」
「いやいや、女王様に会って頂くのですから、もっと身だしなみというモノをですねぇ……」
「シルク、そこまでですよ‼」
「はい、申し訳ありません女王様、ですが、このものの身だしなみがあまりにもひどいのですから、少しは直すように……」
「あのですね、彼は神なのですから、身だしなみのどうとかこうとかはどうでもいいのですよ」
「は⁉このものが神だというのですか‼」
「はい、この方は、刀神 暁さまですよ?」
「まさか、この者があなたが信仰していた神だというの、ソフィア‼」
「あなたも、神気が見えていて、神気を身にまとうことができるのに、見えていないのですね、サヤカ」
「じゃ、じゃあ、し、証拠はあるの?」
「これでいいか? 来い、桜花‼」
「はいっ」
俺は、神器 神太刀桜花を召喚した。
「これが神器」
「特に変哲もない刀のような気がしますが……」
「変身魔法ですね、これは」
「でも、今のこいつには、桜の魂が宿っていて、桜とは、お前ら会話できねぇよな?」
「まあ、確かに」
「そうですが」
「まあ、そういうことだ」
「どういうことよ」
「なるほど、秘密ということですか」
「ま、そういうことだ。あとは、神器は下界での使用は禁止されているが、変身させるくらいなら、許してくれるだろう 戻れ、桜‼」
「はあ、うまくいきましたね」
「ああ、そうだな」
「でも、神気が」
「まあ、まとってないからな」
「どうして、ですか?」
「そういう決まりだとしか言えない」
「なら、なぜそのような格好を?」
「これは、最後の相棒の姿に最大限寄せられた姿なんだよ」
「最後の相棒とは?」
「それも残念ながら、秘密だ」
「なるほど、では、本題に入るため、玉座の間に向かいましょうか」
「わかった」
こうして、俺は、神だということがあっさりとばれてしまった。
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