準備開始
「……えっと、オーディン、何でこうなった?」
「知らないよ!!こんな事、僕にとっても初めてなんだよ!!なんでよりにもよって美少女なんだよ!!僕が霞むだろうが!!」
え!?問題はそこなの?
と思ったのは、俺だけじゃないはず……
そんな事を考えていたら、何故か俺の服を引っ張る感覚がした。
振り向くと、桜が何か言いたげな顔をしていた。
「暁さんは、私の容姿をどう思いますか?」
「どうと言われても……、可愛らしいべっぴんさんだと思うが?」
そう呟くと、彼岸花のように顔を赤くし、
「そ、そうですか……」
と言って顔を手で隠した。
何か失礼な事でも俺は言っただろうか?
これだから、女心は分からないとよく俺の所持者達は言っていたな……
なるほど、こういうことなのか。
「まあ、話を戻すが暁、お前には色々な世界を見てきてもらう。」
「じゃあ、今からでも!!」
「ダメだ」
「なんで!?」
「お前は武器も持たないで戦うのか?」
「いや、桜もいるし……」
「神は基本的に、地上で神器を使用することは認められていない」
「なんだって!?」
「だから……」
「でも、地上では神器を使うことは出来ないだろ、俺はどうやって戦えばいいんだ?なあ、桜は魔法か何か使えるか?」
「強化の妖術なら、使用可能です。でも、一気に強くなるものでは無いので、使用は控えた方がいいと思います」
「じゃあ、どうすれば……」
「あ、あの……」
「その辺の木の棒とかでどうですか?神界の物ですし、ある程度は強いかと……」
「それもそうだな!!」
「おい、神の話は……、最後まで聞けぇぇぇぇぇぇえ!!」
「すまない、オーディン……」
「申し訳ありません、オーディンさま……」
「本当に、人の話を最後まで聞くのは基本だろ?特に神の場合はもっとちゃんと聞くだろ!!」
「それで、なんだよ話って」
「はあ、反省の色が見えないね、君達は……、まあいいや、ここには鍛治の神がいるんだぞ、その理由がわからないのか?」
「でも神が創った武器は持ち出せないんじゃ……」
「神器は、1神1つまでだ。だから、別の武器を新しく作ればいいだろ?」
「なるほど、ありがとうオーディン、じゃあ、ヘファイストさん、お願い出来ますか?」
「構わないけど、アンタ、自分で刀、打ってみなよ。鍛造のやり方は教えてあげるから!!」
え!?それ、本気で言ってるの、この神?
「本当にいいんですか?俺、今日からあんたの事は師匠って呼ぶわ!!」
「全く、調子がいいな、暁は……」
そう師匠は言いながら笑った。
「じゃあ、よろしくな師匠!!」
「ああ、しっかり着いてこいよ、暁!!」
俺達は固い握手をした。
「ではヘファイストさま、暁さんをお願いします。私は癒しの神にでも回復魔法を教えて貰ってきます」
「あ、ああ。頑張れよ、桜!!」
こうして俺たちは、それぞれ修行を行うことになったのだった。
修行を始めて何年経っただろうか……、それすらも朧気になってきている、今日、ついに俺の刀作りが終わりを迎えた。
「出来た……、俺の生みの親よりは出来は悪いが、過去一の作品が出来た!!」
「おめでとう暁、今日でお前も私から卒業だな!!嬉しいような寂しいような……、だが忘れてはダメだぞ、お前の本命は、ここからだということを!!」
「ああ、今から桜を迎えに行って、行ってくるよ。じゃあ、師匠も元気でな!!」
俺は、出来上がった刀を鞘にしまい、肩に掛けた。
「せいぜい、楽しんでくるといいよ、きっとお前の成長に繋がる旅になるさ!!」
「ああ、行ってきます!!」
こうして俺は、桜を迎えに行った。
「さて、今日はどうしたのかな暁くん。私に会いに来たの?私だよね?私以外ありえないよね!!」
「冗談キツイぜ、アリア……
今日は桜を迎えに来た、いるか?」
「ちぇ〜、私じゃないんだ……」
コイツはアリア、俺と同い年の神だが、コイツの回復魔法は、次元が違う。どんな怪我を綺麗さっぱりだ。
人の頃から、聖女だったり、女神と崇められてたらしいからな。
「じゃあ、迎えに来たってことは、ついに行くんだね、暁くん」
「ああ、やっと最高の物が出来上がったからな、アリアはどうする?」
「私は、もう神の偉業を果たしてるから、そういうのないの!!でも、死ぬ以外の傷なら、私の所に来たら治してあげるから、帰ってきたら、まず来てね!!」
「ああ、分かってる。それと、俺がいなくなって寂しくなるからって、ウチの工房とかに入るなよ、結構危ないからな」
「だ、誰が寂しさを感じるものですか!!でも、桜ちゃんがいなくなるのは、寂しいわ。あの子、とてもいい子だから、大切にしなよ」
「ああ、なんせ俺の神器だからな!!」
「それもそうね、じゃあ、私は桜ちゃんを呼ん で くるわね、その間、お茶でも飲んでなさい」
「おう、ありがとな」
さて、桜のやつ物理的にも、能力的にも成長してるかな?
超気になる。
「全く、いつからそんな下劣なこと考えるようになったんですか、暁さん」
「全く、いつから俺の心が読めるようになったんだよ、さく……ら?」
そこにはなんと、数年前に初めてあった日と同じ姿の桜がいた。
「なんですか?能力の成長とともに発育するとでも考えたのですか?全く、なんでこんな変態に成長したんでしょうか……」
「いやいや、そんなこと1寸も思ってない。俺は、健全だ!!」
「変態はみんなそう言うのです。はあ、これでは、旅の最中に襲われても、仕方ないですね……」
「……わかったよっ!!俺は、お前を襲わないことを約束するよ!!」
「その約束、絶対守ってくださいね?」
「ああ、
「わかりました。では、行きましょうか暁さん」
「そうだな。今日からよろしくな、桜!!」
「私は貴方の刀です。貴方に切れないものは無いことを約束します、刀神《
あかつきさん》」
こうして俺たちは下界の旅が始まりを迎えることになった。
_________________________
(あとがき)
皆さんこんにちは、汐風波沙です。
今週は忙殺の付喪神を更新です。
来週は、雨コンか過去喫茶のどちらかになります。
良かったら読んでみての感想やレビュー、応援、星をいただけると今後のモチベーションになるので、よろしくお願いします!!
以上、汐風波沙でしたー!!
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