第33話 さっさと嬲り殺しさせろや
宜野湾市での爆発事故により、重態だったクラスメイト六名のうち三名、宇津井友美、枝野幸恵、豊田愛梨が死亡した。あの日、内木同様に運悪くバスの右前方に席を振り当てられた生徒たちだった。
後で知ったことだが「あ行の苗字」つまり出席番号が一桁の有働が、右前方の席に座らずに済んだのは、担任の尾中が車酔いの激しい豊田愛梨と有働の席を交換したためだった。
そのため本来、男女で左右に座るべきところ、有働は戸倉の隣に男同士で座り、事故の難を逃れた。豊田愛梨の葬儀の席で涙声の尾中から真相を聞かされたとき、彼女に申し訳ないという気持ちが有働に生まれた。
「合計、五人が死んだ」
有働は呟く。
暗い部屋で一人、内木と運転手の男性、そして追加三名の死者の名を大判のコピー用紙に、ガリガリと書き綴る。
そして、壁を見た。
貼られているのは、死亡時の内木を詳細に描いたスケッチだった。
「誰がお前を殺したんだろうな、内木よ」
美術の成績もそこそこ良い有働は、憎しみを風化させぬよう、内木の破損した右側頭部と、溢れ出した脳漿を写実的に描いた。
「宇津井、枝野、豊田…」
有働は数回しか言葉を交わしたことのない女子生徒たちの名を呟く。
この中でも豊田愛梨の会話は印象深かった。あれは二年に上がって数日も経たない頃「毒饅頭事件の話を聞かせて。刺された場所はもう痛くないの」と豊田愛梨は目を輝かせて訊ねてきた。馴れ合いを好まない有働は当たり障り無く返答したが、その後も教室で目が合うたび、彼女は微笑みかけてくることがあった。
「あれは事故じゃなかった」
そう呟く有働の視線の先、机の上には古今東西の拷問について書かれた書籍が積み重なっている。
頭皮を切開し、剥き出しの頭蓋を切断する方法。また、その露出した脳を切り刻む場合、脳には痛覚がないため、鏡越しにやらなければいけないということ。
その他、眼球の上手な抉り方、鼻の削ぎ落とし方、鼓膜の破り方。四肢の切断方法。
いかにショック死させず、永続的に苦痛を与え殺すかが重要だと学んだ。
「調子に乗ってるやつは、ぶちのめさないと気がすまない。徹底的に嬲り殺しだ」
有働は呟く。
仇を拷問し殺害するにあたって、外科手術の道具がいくつか必要となるが、遠柴にでも頼めばいい、と思った。
スマホが振動する。
エミからの着信は一日に百件を超えた。だが、有働はそれを無視し続けた。
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「いくら残虐な殺し方を学んでも、相手が特定できないことには意味がない」
有働は、内木を死に至らしめた爆発の原因について推理した。
米兵の若者、アーロンとジェフの会話を思い出す。
「アーロン!アダムが先だ!元に戻るかもしれない!」
「アダム!再生したのか!」
ジェフの言葉。
「アダムは、コリン大尉やマシュー、ネイサンと共に、ほとんど粉々になってしまった。起爆装置が、アダムの体内に埋められていたんだろう…任務(ミッション)は失敗に終わってしまったんだ」
アーロンの言葉。
「俺たちは、あの中国人のように危害は加えない…安全な場所へ行くだけだ…俺たち友達だろ?艦内で二十四時間以上も共に過ごして、ポーカーをしたじゃないか…はは」
ジェフが、アダムに対して放った言葉。
「ミスター・キム。貴方は、俺が失ってしまったものをまだ持っている。だから…逃げ切るんだ…、我々からも…他国からも…」
アーロンが、アダムに対して放った言葉。
「アーロンてめぇ、なんのつもりだ!シールズの恥さらしが!」
その他の情報。
シールズとは米軍ネイビーシールズの事だろう。
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総括―。
脅威の「再生能力」をもつ男、ミスター・キムは「アダム」と呼ばれている。
アダムは「ある中国人」に何らかの危害を加えられていた。
アーロン、ジェフたちはアダムと「艦内で二十四時間以上」を過ごした。
アダムの体内に「起爆装置」が埋め込まれていて、コリン大尉やマシュー、ネイサンらと共に、爆発。アーロンらシールズの「任務は失敗」に終わった。
「シールズは、とある中国人から、再生能力をもつ男、アダムを奪い、艦内で二十四時間以上を過ごし、沖縄に上陸。起爆装置が作動して、任務に失敗」
有働は顎に手を当て思案する。
「その中国人とやらが、起爆装置を押したのか」
瞼が小刻みに痙攣している。ストレスの元凶である「中国人」が、どこにいる何者なのか突き止めなければならない。
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続いて、有働の脳裏に「艦内」「二十四時間以上」という言葉が蘇った。
ジェフは間違いなく「船内」ではなく「艦内」と言った。「艦」といってもイージス艦ではないだろう。隠密性に優れた「任務遂行型」の「艦」
「潜水艦か…原子力潜水艦とか」
有働は呟く。
次に「二十四時間以上」という表現について考察してみた。
有働は目を閉じて、あの場面を思い出す。
あの時ジェフは、逃亡を目論むアダムによって銃を突きつけられていた。ジェフは「任務」のためにアダムを取り逃がしたくはなかった事だろう。
「俺たち友達だろ?艦内で二十四時間以上も共に過ごして、ポーカーをしたじゃないか…はは」
その上でのこのセリフ。
これは明らかに親密さをアピールして、アダムに逃亡を思いとどまらせようという目論見だ。「俺たち、これだけ長い時間を過ごしたんだぜ?」という風に。
「時間を、多目に言った可能性も無きにしも非ずってところか」有働は思った。
相手に、より濃密な印象を与えるには「二十四時間」よりも「三十時間」「四十時間」と言いたくなるのが人間心理と言うものではないか。以前、とあるヤンキーが「俺は権堂さんと十年来の付き合いだ」と言っていたが、それを聞いた権堂は「いや、小学校高学年からだから六年くらいだろう」と訂正していたのを思い出した。ヤンキーが権堂の威光を借りるため、年数を水増しした感は否めない。
だが、一方で本来の時間よりも、明らかに多目の数字を出せば、言葉にウソが含まれてしまうという難点もある。
「俺たちは、あの中国人のように危害は加えない…安全な場所へ行くだけだ…」
これが事実かどうかは別として、ジェフは、この発言をアダムに信用させる為に、慎重に言葉を選んだのではないか、と有働は推測した。
お互いが共有している「情報」「事実」に関しては真実を述べ、その後に自分の主張を乗せれば、言葉に現実性が出てくる。「九十九の真実に、一のウソを混ぜて騙すのが、上級詐欺師の手口だ」と以前、父が言っていたのを思い出した。
「そう考えれば、あからさまに多目に時間を言うのは憚られる」
あの時ジェフは「三十時間」「三十時間以上」ではなく「二十四時間以上」という表現をした。
「シールズの隊員が時計を気にせず任務に当たるようなことはないだろうし、この場合は言葉通り、ほぼ二十四時間…もしくは二十九時間未満を、アダムと一緒に原子力潜水艦で過ごしたと見ていいだろう」
有働は頷く。
「原子力潜水艦の進行速度。そしてとりあえずは、二十四時間かかる場所を調べよう」
本棚から、世界史の授業で資料に使っている世界地図を引っ張り出した。
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原子力潜水艦は、時速五十キロほどで進行するということが分かった。
「時速五十キロを二十四時間以上…つまり、沖縄から千二百キロメートル以上離れた場所か」
有働は、世界地図を広げた。
その地図では、三センチが、四百キロメートルの縮図となっていた。
千二百キロ―、つまり地図上で三センチ×三…九センチの位置にある場所が千二百キロメートル離れた位置、という計算になる。
海の距離にして、沖縄から、千二百キロメートル離れた場所は数箇所あった。
静岡県―。
梅島―。
韓国のソウル市―。
中華人民共和国の青島―。
広州―。
「定規一本で、つきとめてやったぜ」
もちろん多少の誤差はあれど、この五箇所周辺であることは間違いない。
「さて、どこぞの陸地からアダムを攫ったのか」
有働は唸った。
さすがに北京で攫って、かなり離れた青島から原子力潜水艦に乗り込むということはないだろう。それならば天津付近で乗り込むはずで、走行距離も千二百キロメートルじゃ利かなくなってくるからな、と有働は考えた。
原子力潜水艦を待機させるべき場所が、何らかの事情で限定されている可能性についても考えたが、ここは素直に「アダムを攫った場所と原子力潜水艦の発進場所はさほど遠くない」という考えで有働は、思考を集中させた。
静岡県―。
梅島―。
韓国のソウル市―。
中華人民共和国の青島―。
広州―。
「静岡は関係ないだろ」
梅島―。
韓国のソウル市―。
中華人民共和国の青島―。
広州―。
「韓国が二箇所で、中国も二箇所か…」
梅島―。
韓国のソウル市―。
中華人民共和国の青島―。
広州―。
「梅島…」
日本がいくつか抱える領土問題の中でも、ここ最近やたらと話題になっている島だった。
あれは去年の春先、梅島に隣国が研究所か何かを立てたとかで、日本政府は抗議申し立てをしていた。あの島に地下資源もなく漁業水域としての価値しかないにも関わらず、隣国は何を始めたのだろうとネットで話題になったことがある。
「遠い親戚が官僚なんだけど、今年の1月に落下した隕石が原因で、あの島には、永遠の命の源がうまれたらしいよ。それを奪い合って第三次世界大戦が起きるかもね」
こんなアホな書き込みを見かけたこともあった。
有働が目の当たりにした、アダムの脅威の再生能力…。
「火のないところには煙は立たない…」
有働は韓国が占領しているという「梅島」についてネットで調べ始めた。
「どうやら、あそこにはとんでもないものが眠っているらしいな」
有働の唇が歪む。
「韓国は中華人民共和国に擦り寄ったというわけか」
さらに歪む。
「そこに出入りした中国人は誰か…」
有働は卓上のペンスタンドに入れてあったカッターナイフを取り出す。
「…殺す際に、そいつを絶望させなければいけない…簡単な中国語を学ばなければ…北京語とか広東語とか、いろいろあるんだろ…めんどくせぇな」
そう言いながらも「死に至るまで、どんな言葉を聞かせてやろうか」と思案しながら嗤った。
カッターナイフの刃先がカーテンから漏れた太陽光を反射し、鈍く光った。
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7月11日(土)
12時00分―。
有働は、往訪のファミレス「パリス」に徳園勝を呼び出した。
「内木さんの件は残念です…こんなときに俺を呼んでもらえて…すげぇ嬉しいです」
「お前の顔が見たくなってな。ここは奢るから好きなもの食ってくれ」
「有働さん…」
「お前には何も年上らしいこと、してやってなかったからな」
勝は目を潤ませていた。
憧憬の念を抱いていた有働に呼び出され、必要とされていることに感動しているのだ。
「そういえばよ、今回の事故、政府の陰謀説なんかも流れてるよな」
「ネットじゃ恐怖の爆弾男…人体実験だの、いろいろ言われてますね」
勝は有働と同じく、メロンソーダをストローで吸い上げる。
「お前の親父さんに頼んで、真相を解明してもらえないか」
「ムリですよ…うちのオヤジは偽善者なんで。恥ずかしいですが…自分の利益にならないことなんてやらないです」
手を振りながら勝は眉尻を下げた。濃い顔が市議会議員の徳園仁に瓜二つだった。
「そうか」
「手段は選ばない最悪なオヤジです。俺、たまに、エロDVDが目当てでオヤジの書斎をあさってるんですけどね…そこの電子金庫の暗証番号が、結婚記念日なんすけど…明けてみてビックリ」
「変態DVDでもあったのか?」
有働の誘い水。
「違いますよ!それよりもっとヤバイものがありました」
「ヤバイもの?」
「政府重鎮の盗聴記録USBや、彼らの取引先の不正帳簿のコピー、不正現場の写真…我ながら恥ずかしいオヤジです。国政進出した際のカードにするつもりなんでしょうね…腹黒いというか…有働さんを見習ってほしいくらいですよ」
勝は父親を恥じているように見えた。有働は俯く勝をよそに、舌なめずりをした。
「その中身…見たいな。なんて言ったらおかしいかな」
優しい声色で有働は問いかけ、肩に手を置いた。
「ミーハーだな~。でも…有働さんの気分転換になるなら…見せてあげます。明日うちに遊びにきませんか?」
勝は言った。有働は笑った。
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有働は、徳園邸に通された。庭付きの簡素な一戸建てだった。
元・総理の外孫にありながらも周囲に庶民派市議会議員を喧伝する徳園家には、家政婦などもなく、夫人も不在のため、息子の勝しかいない。
「有働さん~見たら戻してくださいよ?あと…そこに入ってる内容は他言無用ですからね?」
勝がキッチンで飲み物の準備をしながら叫ぶ。
「ああ」
有働は、電子金庫の暗証番号を押し、中身をそっくりそのまま鞄に詰め込む。そして空になった金庫の暗証番号を変えてやった。多少の時間稼ぎになるかもしれない。
新しい暗証番号は内木らの命日にした。
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その夜。
小型機械に収録された、総理官邸からの膨大な録音の中から最近のものをおこした。
「…オブライアン大統領が七月十八日に極秘来日する…」
琴啼総理の声だった。
「…安保法案改正後の我が国の方針について話し合う…」
「…銀座の高級寿司屋…ぎんざばし衛門に予約をとっておけ…」
「…ああ、時間は18時ごろでいい…」
「…あそこの寿司は、オブライアン大統領お気に入りだ。毎回、来日するたびSPにも振る舞っている…」
録音はそこで終わった。
「これはこれは、いい事を聞いた」
有働は舌なめずりをした。
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7月12日(日)
13時00分―。
有働は「梅島問題」と、その陰謀について調べるべく、沢山の書籍を購入した。その中でも中国情勢、中国問題に関する著書を出版している、今市大学の國分勇教授を訪ねた。
「いらっしゃい、何度もメールのやり取りはしてきたが、こうして訪ねてくるとは…勉強熱心な高校生は大歓迎だよ」
世田谷の一軒家で、妻を亡くし一人暮らしだという國分教授は五十代後半の華奢な男だった。
「このたびはお招きいただき感謝します。たくさん質問させてください」
柔らかなソファに腰をかけると、コーヒーが運ばれてきた。
「しかし、君がもしも不勉強なお子様ならば帰ってもらうかもしれないぞ」
砂糖の壷を開けながら、國分教授は歯を剥いた。
「そんな、そんな…お手柔らかにお願いします」
有働は目尻を下げた。
「そう言えば、もうじき太平洋戦争終結七十年だ。それに合わせて中華人民共和国の人民解放軍が、抗日七十周年式典を開くね。君はどう思う?」
國分教授はさっそく鼻くそをほじりつつ、有働に訊ねた。
「七十年以上前、大東亜戦争で日本と戦ったのは蒋介石率いる国民党であり、人民解放軍ではありません。一党独裁国家による歴史の歪曲、捏造ですね」
有働は國分教授のトラップを見抜き、真実を告げた。誘い水に乗れば早々に帰らされたかもしれない。食えないオッサンだな、と有働は國分教授を苦々しく見た。
「君を気に入ったよ。有働くんと言ったか。二箇所きちんと正解している。ある程度は勉強したようだね」
鼻くそが奥に詰まっているのだろうか、國分教授は身体を反らしつつ、鼻くその在り処を丹念に探っていた。
「これくらいスマホに夢中な高校生でも勉強してますよ。日本には某独裁国家のようにネット規制などありませんし、自由に知りたい事を調べられる環境にありますから」
有働は爽やかに笑い、言った。
「ははは。言うじゃないか。そう、君の言うとおり、人民解放軍などあの時代に存在せず、ましてや日本軍と戦ってなどはいないのだよ。抗日戦争をしていたのは国民党だ。共産党軍は非戦闘地帯で勢力を拡大し、日本軍と国民党軍を戦わせたのだ。それと…君は、戦後GHQに強要された太平洋戦争という名称ではなく、大東亜戦争と言った。これも正解だ。大東亜戦争という言葉は、紛れもなく戦前の日本において閣議決定された正式名称であるにも関わらず報道規制でマスコミは太平洋戦争という言葉を米軍に強要されたのだ。私は戦後の日本の自虐史観が大嫌いでね…ついでにアメリカを含む、日本に涎を垂らしながら寄生虫のように湧いてくる気持ちの悪い国家たちが大嫌いなんだ。皿の上に思い切りクソをひり出し、奴らの晩メシに混ぜて喰わせてやりたくなる」
國分教授は鼻くそほじりに熱心になるあまり、右の唇の端から涎を垂らし始めていた。本人にその自覚はないらしく、涎は糸を引いて蜂蜜のように落下した。
有働は、できるだけ笑顔をつくり、國分教授が満足するような発言を頭の中で練った。
「なるほど、そうでしたか、先生。とはいえ、日本が嫌いな国々との外交を断絶し鎖国状態へ戻るのは不可能です。日本は米国に魂を売り渡し属国に成り下がったわけですから、主権国家としての独立は今さら難しいかと。それにアメリカやその他の国々に限らず、僕が知る限り日本とつながりの深い国家のいくつかは、自国の利益を優先して、都合よく歴史を改ざんし、国民を小さな時から洗脳していますよね。政府の立場が弱くなると、日本を仮想敵として糾弾し、国民の不満を逸らし爆発の軌道を変える国もいます…まぁ、国家のメンツを守るというのはそういうことだと言ってしまえば、それまでですが、日本にその矛先が向かうたび僕は怒りでいっぱいになります。そんな話は置いておいて、とりあえず僕の質問にいろいろ答えてもらえますか、先生」
有働は笑顔を保つ。だが、國分教授は上の空で別のことを考えてるようだった。
「あ~、君はいい若者だな。高校を出たらうちの大学に進学なさい。あと、そうそう、私の嫌いな国は●●と●●と●●と●●……なんだ」
國分教授は、嫌いなクラスメイトの名を内緒で告げる生徒のように、順に嫌いな国名を告げていった。
「ほとんどじゃないですか」
クラスのほぼ全員が、嫌いな人リストにはいっていた。
「我が国もスイスのように軍隊をもって個別的自衛権を行使できればいいのだが。最大の安保は国軍を持ち、核を保有することである、というテーマは次の本で書こうと思っている」
國分教授は鼻くそをようやく鼻から引きずり出し、真剣な表情で言った。とても大きな岩の塊のような立派な鼻くそだった。
有働はその鼻くその大きさに、多少なりとも感動する自分を恥じた。
「ところで有働くん、君はどこの国が一番好きだね」
ティッシュを手に取り、几帳面に大型鼻くそをなすりつけ、國分教授は眼を光らせ有働に問いただす。
「日本人として生まれたからには日本に頑張ってほしいですね。僕はこの国が大好きです。悪いところもあるけど、素敵なところもある。なにせ通貨は安定してるし、まぁまぁ社会保障もある。経済大国一位のアメリカでは病気をしても医療費が高くてどうしようもないという気の毒な国民が多い中、日本人は呆けてもクソを垂らしても長生きできる、人に優しい国家だと思います。総じて言えば、この国に生まれてきたのは当たりかハズレかで言えば、当たりだと思ってます」
これは本音だった。有働は毎朝バスで一緒になる老婆を思い出す。生活のためだけではなく「誰かに必要とされたいから」という理由を第一に、しわくちゃになっても働き続ける彼女は、日本と言う国の豊かさの象徴ではないか。
「君はいいことを言うじゃないか。だが哀しいかな、今の日本人は日本と言う国を恥じている。戦後の自虐史観に洗脳され、少しでも愛国心を出せば、右だ、右翼だと指をさされる。まるで自衛隊は国民から尊敬されておらん…普通、どこの国においても、軍人と言えば国民から尊敬される立場なのだよ。なのに日本人は自衛隊を汚いもののように見て、自衛隊は違憲であり、武力を放棄するこそが平和につながると妄言を吐く始末。敗戦から七十年が経過してもGHQの呪縛から解き放たれておらず、売国奴であるA新聞社の記事に洗脳され、憲法九条こそが平和に繋がるなど寝言をぬかしておる。自衛隊、いや日本国軍なくして、憲法九条の廃止なくして、平和などなかろうが!脳みその茹で上がったバカどもが!いつ隣国が攻めてくるかも分からない状態で、安保法案改正で戦争が起こるだと?どれだけ、あの不気味な隣国どもを手放しに信頼してるというのだ。彼らは尖閣の次には沖縄…琉球をとりにくるとまで言っておるのだぞ。米軍が即座に動く保障などないのに、犯罪者が隣に住むアパートで鍵をかけないのが人と人の信頼なのだとズレタたことを抜かしおる。それだけじゃない、奴ら三国人どもが捏造したあれやこれやにも意義を申し立てたい!やつらこそ自分を棚に上げて、別国の少数他民族を蹂躙し、強姦しまくった鬼畜どもなのだ!中国人はウィグル自治区で男を殺し女を孕ませ自国の領土を拡大し、コリアンに関してはベトナム戦争後での多数に及ぶ混血児ライダイハンがそれを証明しておる!また中国のクライシスアクターたちによる南京大虐殺の捏造!奴らは南京大虐殺が三十万人と喧伝しているが、南京の人口は二十万人なのだ!有り得ない言いがかりだ。騒動に紛れて中国人を強姦したのは中国兵であるという情報もある!天安門事件もそうだが、中国人を一番殺してるのは彼ら自身なのだ。それに従軍慰安婦の強制連行などという言いがかり!彼女たちは自国の女衒に騙されてやってきただけであり、日本軍は破格の給金を慰安婦に払っていたのだぞ!そのカネをピンハネしたのは彼女らを連れてきた女衒や家族たちなんだ!くそったれが!それをタダで強制されただと?ふざけた言いがかりも甚だしい。日韓基本条約で日本政府が払った経済協力金があの国のインフラ整備にどれだけ役立ったと思う!計八億ドルの経済協力金で物流、エネルギー、水力ダムなどの設備、製鉄…感謝こそされるべきで、言いがかりつけられる謂れはないのだ!これはカネになると考え、すでに調印し解決した問題を蒸し返し、後出しであれやこれやと言いがかりをつけ、ズカズカと日本の島を占領する始末!根性の汚さにも程がある!国交断絶すべきだ!日本の政治家が口ごもってるのをいい事に嘘に嘘に重ね、国際社会は嘘を真実として認識する始末だぞ!さっさと日本は国軍を持ち、国際社会を黙らせ核開発を進め、梅島を取り戻すべきだ!日本は軍隊を持たぬから、あのような失態を犯したのだ!売国奴や内側に潜む外国人が扇動する自虐史観プロパガンダが日本を萎縮させ、近隣諸国にいいように蹂躙される原因となっているのだ!」
國分教授は激昂した。血圧は最高値、二百を越えるだろう。
一月の総理暗殺事件を期に、自衛隊を志願する若者は増加し「憲法九条廃止」を叫ぶものは増えていたものの、それでも「自衛隊は違憲だ」「安保法案改正に反対」と声高に言う者も少なくはない。國分教授によると、この保守派を装う民間団体の正体こそ、日本を弱いままにしておきたい近隣諸国の手先だというわけだ。
「安保改正を飛び越え、今こそ憲法九条廃止をするべく、国民の総意が必要なのだ!」
國分教授は苛立ち紛れに、再び鼻に指をつっこみ、鼻の中に居座るであろうラスボスを討伐しはじめた。鼻毛に覆われた狭きダンジョン。鼻くそクエスト2の開始だった。
「分かりました。とりあえず、世界中が疑心暗鬼ということですね。それを考えれば、いっそのこと薄汚い人類全体が絶滅した方がいいのかもしれません。でも僕は、家族や友人を含む七十億が絶滅するなどぜったいにイヤですけどね。そういった先生の意見はあとでたっぷり聞くとして、まずは僕の質問に先に答えてもらえませんか」
有働は、たった一秒間だけ、言葉にならない感情として、高速スピードで以下のことを思った。
おれはバスを爆破させた犯人を嬲り殺しにしたいだけなんだ。面倒な論争に巻き込まれて時間を無駄にしたらそいつをぶち殺すチャンスを失ってしまうかもしれない。愛国者はどこにでもいる。向こうの国にも、こちらの国にも、立場を変えた國分教授のような人物はいるだろう。それは違う意味での国防上必要であり決して悪いことではないだろうが、そういった問題を考え始めれば、まず自分はどこに立っているかが大きなポイントとなる。つまり、この俺は日本人であるが故に、そういう話を聞かされれば日本側の視点で感情移入するだろうから、色々と知れば日本人として外国に腹が立つし、糾弾したくなるのが人情かもしれない。ぶち殺してやれという気持ちも分からないでもない。だが、それは外側のやつらも同じだろう。幼稚園から毎日のように反日を教育されていれば呼吸をするように日本人を憎むだろう。当然の話だ。真実はどこにあるかは置いておいて、人間とは目の前に出された皿の上のものを黙って食うしかない憐れな生物なのだ。立場や角度、生まれてきた場所が少しズレるだけで、憎むべき場所は生を受けた瞬間に定められると言っても過言ではない。そう考えれば、どこの国に生まれたから、ではなく事実を公正な立場で検証し、どちらが間違っているか確認するのが文明人として最も正しい姿ではないかな。とはいえ俺は膨大な資料を何十年も研究し、自国の正しさを追及する執念を持っていないので、なんともいえないが。日本には正しくあってほしいという思いはあれど、それを証明する研究者ではないので、面倒な論争に巻き込まれたくないのだ。日本を糾弾する外側の奴らは、もちろんそれを補強するだけの論理と知識を持ってるのだろうか?それは少し気になるが、面倒なのでどうでもいい。何も勉強せず一方的に日本が悪いと言いつづける外側の奴らは相手にしてられないからだ。とはいえ、かくいう俺も何万ページに及ぶ記録の一字一句を執念を持っておいかけるほどの熱量がある男ではない。今の時点では、であるが。まさに軽薄な日本の若者と揶揄されも仕方がない男なのだ、俺は。とはいえ客観的に考えればあくまで日本人は原爆投下を肯定すべきではないし、他国からの捏造プロパガンダがあれば否定し続けるべきだろう。決着が目的ではなく、自国の主張を曲げず揉め続けるのが外交だからだ。だが、やっぱりこの際、俺にとって歴史の話はどうでもいいんだ。どこの国がどこの国を侵略し、蹂躙し、強姦して、惨殺したのかなど論争していてはキリがない。俺はそんなことより殺したいやつがいるんだ。殺したくて殺したくて殺したくてしょうがない。だっていちいち話し合ってもしょうがないではないか、俺たちも奴らも加害者であり被害者なのだ。命を奪い合ってきたお互いが薄汚い人類の一部であるにも関わらず、立場や違う角度でああだこうだと言い合いながらも、実のところ犯し合い、殺し合ってきた人類全体がいわゆる薄汚いゴミクズなのであって、それが動物としての人間の原理であると言えるのではないか。排泄と同じ行為であって、糞をひり出した責任追及をしても、次から次に糞は垂れ流される。アホ面してスマホをいじる日本の若者たちを他所に、中東では幼い子供たちが殺人兵器として育てられ、神の名のもとで彼らは敵の処刑を命じられる。殺人に幼い時から慣れさせるためだ。独裁国家誕生や内戦の原因は先進国の介入が原因としてある。正義の味方の数十年前の姿は、未来のテロリストたちに銃を与え続けた悪役だったりする。絶望的な結論だが、人類は、呼吸するように他人を羨み、欲しがり、憎み殺しあってきた歴史と共にある。心に抱えた一番の病が憎悪なのだろう。人類の誕生こそが世界の罪だ。言い換えれば、昨今当たり前のように叫ばれている平和と言う概念こそ、本能に逆行した不自然な論理ということになる。文明によって人は失うことを恐れ、生存率を上げるべく、殺意を隠し平和を掲げ、摩擦を回避すべく偽善に満ちた外交を行うようになったがそんなものは絵に描いた餅に過ぎず、握手しながらも各国、怖れ、憎み、蔑みあい、相手をいつでも攻撃できる位置に大量殺戮兵器を向けてるではないか。平和の歴史よりも虐殺の歴史の方が長いことから人類は殺し合いが好きな生き物といえるし、また人類の殺し合いの歴史をリストアップするならば、有史以前の残虐な歴史から断罪すべきだろう。罪を追求し続ければ潔白な人種、民族、国家など一つたりともなく、言い出せばとんでもなく面倒な論争になってしまう。俺たち七十億の人類は全員人殺しの遺伝子を受け継いでいるのだ。俺もお前も、あいつもあの人も人類全てが汚物の塊であり、それは下水道の糞が誰の糞かを追及するのに等しい。すべての人類が殺人者であり、冷酷な生き物なのだ。殺し合いたい動物なのだ。いい加減それに気づくべきで、各国の首脳が考える大量虐殺アイディアトーナメントを年に一度開催すべきだろう。優勝国には核爆弾の一斉攻撃を加え、死の灰で人類がすべて絶滅するブーメランシナリオだって面白いかもしれない。だが、自分が傷つくとなれば他人を攻撃するのを我慢する知性を持つのが人間。根本的にいえば人は自分が傷つかない範囲でいい想いをするために他人を知的な方法で傷つけて利益を得て、平気で夜を眠れる動物だ。悪魔は伝説のみに存在するのではなく、我々人類を指すのではないか。誰しも憎むべき人間が身近に一人以上はいて、この数ヶ月間で数回、あるいは数百回、他人の不幸を願ったことがあるはずだ。クラスメイト、上司、同僚、近所のママに殺意を抱いただろう。誰がそれを否定できる?自分の中の悪魔を認めようとしない、自分はできるだけ潔白であると信じたい、だが嫌いな人間の破滅を願う。それが俺たち人間だ。おぞましいがそれが人類だ。それが膨れ上がった形が国家だ。面倒くさい話に戻るがアメリカ人は原爆投下を悪として認めないだろうし、日本人は真珠湾攻撃において民間人への攻撃の事実はなかったと言い張るだろう。人を殺したことは認めても、どう殺したかの責任を追及しこだわるような、思考のズレた奇妙な生き物が人間なのだ。命は等しく価値のあるものであってどんな大義があろうと殺せばそれは罪ではないのか。一人の死は悲劇で、大勢の死は数字に過ぎないと平気で言い張れるそんな人間同士が国家と言う概念に囚われ、ある事象について話し合おうとも平行線を辿る一方に過ぎない。とりあえず今はそんなことよりも、自分の大事な友人やクラスメイトを死に追いやった人間を探し出し、追い詰めて、気がすむまで残忍な方法で嬲り殺しにしてやりたいので、さっさとそいつを懲らしめるべく色んな質問をこの俺がするから、お前はそれに答えて情報を渡せクソジジィが…。そう、この俺も殺人を求める冷酷な人類のひとりに過ぎないのかもしれないな。ぶっ殺したくてしょうがねぇんだよ、クソが。という本音を、有働は笑顔で呑み込んだ。
「ああ、すまない、すまない。ところで君は虫も殺さないような、優しい顔をしているね。そういった若者がこの国に増えたらそれはそれで心配ではあるが、君には好印象を抱いているよ」と、國分教授は有働に言った。
「よく言われます。僕は他人の痛みが分かる人間でいたいんです。戦争反対です」
「そうか、私だって戦争には反対だし、他国の姿勢を憎んでいるのであって他国を嫌っているわけではない。私の愛読書は三国志だからね。虫も殺さぬような優しい男子高校生。有働努くん。そんな君の勉強を手伝ってあげたい。なんでも聞いてくれたまえ」
國分教授は、先程と多少、矛盾した発言をしたあと「痛てて」と言いながら指を引き抜く。血が糸のように流れ出ていた。おそらくラスボスなどいなかったのだろう。鼻の軟骨を鼻くそと勘違いしていたのだ。鼻くそクエスト2は幻に消えた。
「では、その欲深い中国共産党が関与しているかもしれないと一部で噂されている梅島での研究と、宜野湾の爆発事件に対する先生の見解をお聞かせください」
有働は言った。
「いいだろう。決して都市伝説などではなく、この私があらゆるコネクションで仕入れた、本にもできないような、全世界の政府が絡む恐ろしい陰謀について教えてあげよう」
國分教授は鼻血を拭きながら、真面目な表情になった。
「これは人類の危機だ。チェルシースマイルという男が絡んでいる。彼は究極の反日家であり、日本人絶滅計画を立てている」
長い話が始まった。
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その夜。
國分教授にあれやこれや質問して、疲れてバスから下車する有働に、いつもの香りを漂わせ、エミが立ちふさがった。
「来てたのか。親父さんに約束したんだ。もう…来ないでくれ」
有働はエミを押しのけ、自宅へまっすぐ歩き始める。
「つとむ…もし別れるなら…エミ、誰とも結婚せずにいるつもりだから」
だいぶ後ろから声が追いかけてきた。
「すまない…」
立ち止まる有働に、エミが追いつく。
「どうしても別れるなら…」
エミは泣き出した。
「どうしても、別れるっていうなら…お願いがあるの…」
「なんだ」
有働の声も震えていた。
「別れるなら…せめて…つとむの右手中指がほしい。腐らないように加工して…寂しい夜はそれで自分を慰めるから」
「今はムリだ」
有働は叫んだ。
「なんで?」
「俺には殺さなくちゃならないヤツがいる。いま指を失うわけにはいかない。そいつを殺した後なら、指だろうが、腕だろうが…首だろうが、勝手に切り落とせばいい」
「気持ちは分かるよ…でも、エミとの未来より…大事なの?」
エミは背中から抱きついた。豊満な胸の膨らみが押し付けられる。ブラジャーはされておらず、左右の突起が有働の背中に当たった。
「そういうわけじゃない…だが…そいつを生かしたまま…幸せになることなんて…できない」
「つとむ」
エミは泣き出した。
「すまない」
有働もなぜか泣いていた。
「愛してる」
「人として大事な機能を、忘れて生まれてきたらしい…止まらないんだ」
「泣かないで」
「死なない限り、止まらないんだ…」
エミは有働の前に回りこみ、唇を唇で塞いだ。
「いつか止めてあげる。殺してでも」
塩辛い舌が有働の口の中に入り込んだ。
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7月18日(土)
15時00分―。
有働は、銀座の高級寿司屋ぎんざばし衛門の暖簾をくぐった。
客は誰ひとりとしていない。
「いいお店ですね」
「今日は貸切で、すいやせん」
店の主人が愛想よく頭をさげた。有働を高校生とは思わず、一般客と思っているらしい。
「ご主人、ちょっとだけお話させてください」
有働はこの店の主人とその家族について、エミの父、遠柴を使って調査済みだった。
「息子さんがギャンブル依存症だそうですね。高級寿司屋といえど、不景気の煽りで銀行もこのご時勢、お金を貸してくれない」
有働はカウンターに、遊び呆けて酔いつぶれ路上で寝転がる、店主の一人息子の写真を放り投げた。だらしなく口を開けたアップの写真。年は三十半ばほどに見えた。
水槽の中でイキのいい鯛がこちらを覗いていた。
「あんたは」
店の主人の顔色が変わる。
「歴史あるお店だし、数千万くらい貸してくれたらいいのにね」
「帰ってくれ」
「今夜ここにお忍びで来る男が二人いますね。琴啼総理と、米合衆国大統領エイブラハム・オブライアン」
「なぜそれを…」
有働は怪しい小瓶をカウンターに置く。
「これを彼らが今夜食べる寿司飯(シャリ)に混ぜてもらうだけでいいんです。オブライアン大統領はSPに与える土産を買っていくでしょうが、それにもきちんと混ぜてくださいね。…安心してください、毒薬ではありません」
小瓶はエメラルドグリーンの液体で満たされている。
「僕の言うとおりにやってくだされば、あなたの息子さんの借金は肩代わりします」
「どうやって」
「僕の知り合いにお金持ちの社長がいます。まずは百万」
はったりだった。遠柴に金を出してもらうつもりなど毛頭なかった。有働は、いつぞや不破勇太に刺された際に、不破の父親から受け取った慰謝料のうちの百万を口座から引き出し、用意したのだ。
「さぁ、受け取ってください」
主人は封筒の百万をつき返すことはしなかった。
有働は実際にこの主人に数千万を貸すことはできない。だが、この百万はくれてやるつもりだった。
「それは…なんのクスリで?」
店の主人の心が揺らいだ瞬間だった。
有働が小瓶の中身を告げると、数秒考えたのち「分かりやした」と首を縦に振った。
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数時間後。
有働は、ホテルコクラ東京の黒塗りベンツを双眼鏡で眺めていた。米国大使館のすぐそばの距離にあるため、オブライアン大統領がここに宿泊するのは調査済みだった。
「今ごろクスリが利いてる頃だろう。SPの奴らが銃を抜く暇がないほど迅速に、ぶちのめしてやるぜ」
醜く顔を歪めながら、有働は用意した「凶器」をチェックした。
「これから米合衆国大統領エイブラハム・オブライアンを襲撃してやる…てめぇも内木を殺した共犯者だ、オブライアン」
今夜、たかが日本の田舎の高校生が米合衆国大統領を打ち負かす。世界がひっくり返る瞬間が迫っていた。
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