夢蝕

海が破裂して 星々が降り注いだ

こどく ひとつひとつ 包んだ核がつがいになっていった

球体の住処は 蒼く腫れ上がり天壌をつつく


白く 冷たく 黒く やわらかに揺らぎながら 

形を変え 被われるやさしさに抱かれ

何処か誘われ

さざなみを漂いながら

触れたものを自然に呑み込んでいく


そして 底にたどり着いた頃には

地に足をつけることを余儀なくされる

ひととして


それは乗り込むことも降りることも適わない

箱庭を回遊する下賎の舟

囚われたものたちが 不意に気づきあげた心

違和感を零したものがつくりあげた、らくえんゆきの切符が


弧匙ひとすくい もたらし

様子をうかがっては 

すきに、溺れていくのか


つぎつぎ 嵩を増す想いのゆくすえに


私たちは日々なにかを喪い、どこか遺していく

それがすべてが「みち」となるのかどうか、定かではない


失われていくは、新たな門出であり しきは繰り返される

けれどそれは大海に辿るべき肥溜めの余剰でもあり、

運命は微笑むことも必然

憐れな眼球が、みさだめる 小さな花の奥に

道半ばで倒れ 行方がしれないまま 己だけをだきとめている

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