殴りウィザード VS 知的生命体

「我もかつては、ギヤマン・フォザーギルを殺すために開発された対魔族用戦闘マシーンでしたなあ。しかし、サピロスお嬢の優しさに触れて、彼女専用のバトルマシンとして命を使おうと決めたのですぞ」


 サピィに命を助けてもらい、シーデーは魔族を殺すマシンとして生きるのをやめたという。


「我、この身はお嬢に捧げましたぞ。よって、インテリジェンスウェポンの入り込む余地なし」


「……なんとも」


 ウェイジスエッジが、鼻で笑う。


「私の思想を理解するのは、ロボットにはちょいとばかり難しかったかな? 技術が進歩しても、頭でっかちな魔族から誕生したのなら仕方ないのかもしれない。いいだろう。まとめて始末してやろう」


 フォート族が、ウェイジスエッジを振り回す。


「やってみろ! おらああ!」


 俺は、黒曜顎コクヨウガクを抜いた。いきなり、ディメンション・クローを見舞う。


秘宝殺しレア・ブレイク……なにぃ!?」


 俺のクローを、フォート族もクローを展開して弾き返した。


「貴様の秘宝殺しなど、対策済みだ! 当たらなければ問題はない!」


「では、当てて差し上げよう!」


 シーデーが、指からマシンガンを乱射する。


「ランバート殿!」


「おう。ディメンション・セイバーッ!」


 至近距離を狙うクローがダメなら、遠距離からのセイバーで。


「秘宝殺しなど対策済みだと言った!」


 だが、セイバーも衝撃波を放って受け流す。


「ランバート、セイバーをこちらへ!」


「こっちにも!」


 サピィとジェンマが、同時に俺へと声をかけた。


「わかった!」


 ディメンション・セイバーを、二人に向けて放つ。


「ファイア・ウォール!」


 サピィが、セイバーを炎の壁に反射させた。


「せい!」


 ジェンマが、居合斬りでセイバーを拡散させる。


「くっ、このお!」


 ウェジスエッジも、かろうじて防ぎきった。


「剣の方がダメでも」


「フォート族を狙えば!」


 トウコとフェリシアが、同時にフォート族を攻撃する。


「そう来ると思ったよ!」


 だが、動きは完全に読まれていた。おまけに、二人のダメージは大きい。攻撃は防がれ、反撃をもらう。


「お前たちの攻撃など、膨大なデータ収集によって織り込み済みだ」


「なら、ワタシの攻撃は防げまい!」


 最後の力を振り絞って、ゾーイが羽根型自立兵器を拡げる。


「なんどやっても同じこと」


 フォート族は、すべての自立兵器を叩き落とす。


「もらった!」


 トウコが、自立兵器にキックを入れた。


「ちい!」


 飛んでいった羽根の一つが、フォート族の目である首をはねる。


「おのれえ!」


「ディメンション・クローッ!」


 俺は、クローを地面に叩きつけた。羽根兵器の破片を飛び散らせる。


 各々が、羽根のかけらを攻撃してフォート族にぶつけた。


「くっ!」


 腕を切り落として、ウェイジス・エッジがフォート族を捨てる。


 フォート族は、バラバラに。


「腕一本になったとしても、殺してやる!」


 腕から思念体を作り上げ、ウェイジス・エッジは新たな身体を作り上げた。


 その姿は、まさに怨念を練り上げた身体のようである。

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