◆フィーンド・ジュエル 早見表 その2◆

 デッカーのドローンが、【龍の背骨】付近でクリムの人影を発見したという。


「ハンターの奴ら、そこへ向かっている」


 ルダニムからそう遠く離れていない。


「リック、この情報は、コナツとも共有していいか?」


「オレが頼みたいくらいだ。ちょうど銃の修理を頼むついでに、コナツにも話しておこうと思ってな。クリムの情報を」 


 俺たちはひとまず、コナツの工房へ帰る。


「懐かしい顔じゃねえか、コナツ」


「よく来たぜリック!」


 リックとコナツが、抱き合う。


 俺を追放した、因縁なんてない。

 クリムのことで駆けつけてくれたと、俺もコナツもわかっているから。


「落ち込んでいたと聞いたが、元気そうでよかったぜ」


「おうよ」


「ところで、あれは何だ?」


 コナツの店の壁に貼られた紙を、リックが指差す。


 フィーンドジュエルの、早見表だ。どんな性能があるか、書かれていた。


「更新されているな」


 俺は貼り紙を見て、項目が新しくなっていることに気づく。


「ルダニムにも店を出すだろ? そこでな、フィーンド・ジュエルの早見表を更新したんだ。これな」


 

 ◇ * ◇ * ◇ * ◇ * ◇


 

◆フィーンド・ジュエル 早見表 更新版


 武器に装着すると、属性を付与。

 防具だと、属性攻撃ダメージの軽減。


○赤:【ルビー】 炎の精霊の力が宿る。炎属性

 防具にセット:情熱。腕力アップ

 武器にセット:噴火。クリティカル率がアップ


○青:【サファイア】 氷の精霊の力が宿る。氷属性

 防具:魔素。魔力最大値アップ

 武器:氷結。相手の動きを止める。


○黄色:【トパーズ】 雷の精霊が宿る 雷属性

 防具:反射。攻撃を数%跳ね返す。

 武器:追跡。相手が放つ微量の電気を察知。


○緑:【エメラルド】 風の精霊が宿る。風属性

 防具:疾風。すばやさアップ

 武器:乱気流。周囲の敵も巻き込む。


○紫:【アメジスト】 虎と融合した魔女の力を宿す。少しずつ成長する宝石。

 防具:活性。体力最大値アップ

 武器:補強。物理攻撃力アップ


○ピンク:【パール】 海を守る巫女の力を宿す。状態異常特性

 防具:障壁。状態異常耐性アップ。

 武器:疫病。相手にランダムで状態異常のデバフ

 

○白:【ダイヤ】 聖なる王の力が宿る

 防具:再生。少しずつ体力と魔力回復

 武器:節約。技・魔法コスト大幅減少


○黒金:【オニキス】 果てしない暗黒の力を宿す。

 防具:吸収。倒した敵の体力や魔力を奪う。

 武器:貫通。相手の属性・耐性を無視できる。ただし威力半減。


 

〈ランバート・ペイジ、及び仲間のみ、活用可能〉

 

 

●藍色:【黒曜石オブシダン】 龍の骨からできた刀で、相手も自分も傷つける。

 武器:諸刃。使い手の魔力を、武装の攻撃・防御力に変換する。

 ただし、使い手の生命力を大幅に奪う。

 武器でのみ活用できる。

 

●オレンジ:【琥珀アンバー】 虎の聖獣の力が宿った目で、相手の弱点をつく。

 防具:分析。相手の弱点を見つけ出す。

 防具でのみ、活用できる。


〈欠番〉

 

●虹色:【トルマリン】

 防具:修復。アイテムを再生させる。

 死んだ人間にも有効だが、そのまま復活できるわけではない。


●透明:【ジルコン】

 効果:貯蔵。魔力を貯蔵できる。

 アイテムとして以外、使用不可。


◆フィーンド・ジュエルのグレード

 

 シード:種状 二ミリ以下

 チップ:破片 五ミリ以下

 デルタ:三角:一センチ以下

 スクエア:標準 三センチ以下

 スフィア:球体 五センチ以下

 オーブ:宝珠 一〇センチ以下

 マガタマ:勾玉 オーブとサイズは同じ

 ピラー:柱型。二〇センチ以上。動力炉や建材のため、アイテムとしては使用しない。


[光るジュエル]

 まれに、中心が光るジュエルあり。

 シードサイズでさえ、オーブの二倍の威力がある。

 が、要求する使用レベルも高い。ランバート以外、運用不可。


 

 ◇ * ◇ * ◇ * ◇ * ◇


 これまで、エルトリ、ヒューコ、サドラーと、コナツは自分の店を出していた。次はルダニムに、支店を置くつもりだ。龍の背骨の鉱山資源を活用した装備やアイテムなら、かなり売れるだろう。


「オニキスとダイヤは、流すんだな?」


 ラインナップを見ると、希少だったオニキスとダイヤが、店売り扱いになっていた。


「安定供給ができるようになったからな」


 その代わりに、希少なジュエルや光るタイプは流さない。どっちも数が少ないか、扱いがリスキーだからだ。


「あと、オブシダンのジュエルな、【災厄の塔】でドラゴンを倒したときに、同じタイプのジュエルも吸収していたようだ」


「そうらしい。おかげで、魔力が削られすぎる現象も抑えられた」


 黒曜顎コクヨウガクは、一回り大きくなっていた。強度も上がり、より刀として性能も増している。


【龍の背骨】の攻略に、貢献してくれるだろう。


「そうだ。龍の背骨についてだ。クリムの情報を、話してもいいか?」


「ああ。続けてくれ。リック」


「クリムには、協力者がいる。女の魔道士だ」


 ドローンが撮影した写真を見せた。


「これは!?」


 サピィが反応を示す。


「あんたなら、知っているんだよな。この魔族の女」


「はい。この子は、ジェンマです。魔王グスターヴォの娘、ジェンマ・ダミアーニ……」

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