4-2 復興中の街を襲ってきた敵は、殴ります
最難関危険領域 龍の背骨
「ここが、【龍の背骨】か」
真っ白な山脈が、一面に広がっている。
これらの山すべてが、かつて世界を荒らし回っていた超兵器【ドラゴン】の化石だという。採取しても取り尽くせないほどの資源が、この地に眠っている。ウロコだけ剥がされて、内部の機械がむき出しになったドラゴンの死骸も多かった。
「ランバート! 井戸を掘っていたら、温泉を掘り当てたわ!」
ロングシールドを傘のように構えて、フェリシアが頭に降ってくる温水を防ぐ。
水問題は、解決だな。
今は荒野と言えど、かつて街があったのである。
もちろん井戸や水も、あると予想はしていたが。
「ここからどうしましょう、ランバート?」
サピィが、今後について思案していた。
この辺りは山が険しく、手作業での開拓は危険すぎる。資材集めは難航を極めるだろう。
「まずはサドラーの技術者を呼ぼう。その後は、ペールディネで職にあぶれている奴らがいるはずだ。建築などは、そいつらに」
「クリムの捜索は?」
俺は、言葉をつまらせる。
「キンバリーさんたちは、ボランティアで来ているわけでも、我々に味方してくれているわけでもありません」
「わかっている。サピィ……」
アイレーナのハンターギルドの目的は、あくまでもクリムの逮捕だ。事情を聞くためにも、拘束するのがもっとも効果的だと考えているだろう。
「クリムは俺たちが探す。キンバリー、あんたらは街を立て直してくれ。そこを、クリム捜索の拠点にするといい」
「わかりましたランバートさん。そういたします」
重機は無人機として利用して、遠隔操作させればどうかと提案する。
「ではランバートさんは、サドラーへお願いします。二〇〇名ほど、デッカーを集めてください。我々は、ペールディネへ。他の職員たちは、エルトリ、ヒューコへそれぞれ向かってください」
職員たちが、キンバリーの指示で動いた。
街の復興には、サドラーを頼る。多くのデッカーを抱え、街を復興させた経験も豊富だ。
転送ポータルを使って、サドラーの街へ。
サドラーに入ると、見違えるほどきれいな街になっていた。
俺たちが【災厄の塔】に入っている間に、かなりの作業が進んだと見える。
「まあ、お久しぶりですわね。なにかあったのですか?」
城へ向かうと、ヒルデ王女が。さっそく、フェリシアに膝枕してもらう。
フェリシアも、嫌がったりはしない。
「またデッカーを都合してもらいたい。相手方は、二〇〇人ほど欲しいと言っている」
お茶をもらいながら、事情を説明する。
「【龍の背骨】を攻略する際の拠点とするために、ルダニムの街を再建しているんだ。あなたはボロボロだったサドラーを、ここまで大きくした。その手腕を見込んで頼む」
「かしこまりました。なんなりとお申し付けくださいな」
リラックスした状態で、ヒルデ王女は承諾してくれた。
「ポータルで、デッカーをあちらへ転送いたしました。どのようなお仕事をさせるおつもりで?」
「重機の操縦をさせる」
エルトリとヒューコで使われている重機を、デッカーに操ってもらうそうだ。
「お供します。状況を把握し、必要な物資があれば都合いたしますよ」
「いいのか?」
「ルダニムの再興は、サドラーにとっても有益です。貴重なレアメタルなどが採れるでしょうし。デッカーにとっても、重要なことなのですよ」
ヒルデ王女とルダニムへ戻って、様子を確認する。
重機による建造の指示役は、シーデーが担当している。
しかし、妨害も多かった。
「ランバート、また魔物が来たぞ! 北西の方角!」
「フェリシアは、王女と一緒に街で待機していてくれ! おらああ!」
ヒルデ王女をフェリシアに守ってもらい、俺たちは出撃する。
次から次と、魔物たちは妨害してきた。
「
「違いますね。この付近に土着するモンスターのようです」
サピィが魔物に向けて、手から破壊光線を発射する。
「やはり、ドラゴンの化石が目当てか!」
ドラゴンとは、古代からの有機生体兵器である。
内蔵された豊富な資源を巡って、人類はドラゴンを目覚めさせた。それによって、大戦が勃発する。
ドラゴン自体が世界を壊したことによって、戦争は終結したが。
付近のモンスターの強さも、地上とは比較にならない。ドラゴンの化石から資源を取り込んで、自身の装甲を改造しているのだ。
フォート族によく似たマシンも、大量に見かけた。この資源を守っているガーディアンなのだろう。機械仕掛けのクモやサソリも、同じ型番だ。
俺たちだけでの防衛も、限界が近い。
帰ってきて、フェリシアと王女に状況を話す。
ヒルデ王女はしばらく考えた後、言葉を発した。
「ポータルを増やしましょう」
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