魔銃改造
ギルドの職員たちが、ハンターどもの武装を解いて連行していく。
「これから、彼らを尋問するようです」
「ちゃんと無力化できているのか?」
「おそらく、大丈夫かと。夜までには、彼らが誰に雇われたのかわかるかと」
俺たちはギルドへ戻り、トウコらとともにクラスチェンジの申請を済ませる。
「アイレーナへ向かう。明日、また邪魔をする」
大規模戦闘の前に、フェリシアの魔銃を手入れしないと。
これ以上いると、夕食もサドラーの世話になりかねないし。
ヒルデ王女の従者が、城から迎えに来た。
「わたくしは無事の報告をするため、お城へ戻ります。お気をつけて」
「あんたも気をつけてな」
俺たちはポータルで、アイレーナの工房へ。
「おう、戻ったか。こっちに大した動きはないぜ」
コナツは弟子たちと話し合い、ペールディネに数名の部下を販売員として配置したそうだ。
「きれいどころも一人、ペールディネ出店のメンバーに入れておいた」
女性のドワーフを、接客としてよこしたという。
「すまないが、コナツに大至急頼みたい仕事があるんだ」
フェリシアの銃を、コナツに渡す。
これは、コナツにしか頼めない仕事だ。
「おお、こいつは……」
フェリシアの銃を見て、コナツは目の色が変わる。
「工房へ来な」
俺たちは、コナツに連れられて工房へ。
「すげえぞ。『薬室作ったら出来上がり』と見せかけて、その実体はイミテーションだ」
テーブルに、コナツが銃を置く。
「本当か?」
「ああ。実際に撃ったら持ち手がドカンだぜ?」
大げさに、コナツは両手をあげた。
「金の装飾で、マジモンの銃だとごまかしてやがる。大抵のやつは、薬室だけつくっちまうんだ」
仲間を集めて情報を集めろと手紙にあったのは、このことだったのか。
「魔女も人が悪い。フェリシアの安全を考慮しなかったんだろうか?」
「フェリシアを信頼してのことでしょう。彼女なら、徹底的に調べると考えたのでは?」
そうかもしれない。事実、彼女は生きてここにたどり着いている。
「じゃあ、なんの役にも立たない?」
「いんや。この銃身そのものを溶かして最初から作り直せ、って意味だ」
なるほど。この銃は素材だったのか。銃の形に作っただけだと。
「ホルスターごとよこしな。とっておきの銃を作ってやるよ!」
「作ってくれるの?」
「こんなの、オレにしか作れねえよ!」
コナツの笑い声は、狂気じみていた。
「フヘヘ。ホントはよぉ、メシも酒もほっぽりだして、早くコイツにとりかかえりてえ! それだとカカァに殺されるからやらねえけどな! ギャハハハハ!」
テンションがやたら高い。
「やはり、特殊金属だとわかりましたか」
「あたりき!」
サピィからの質問に、コナツは親指を立てた。
「こいつはドワーフが追い求めた、最高ランクの希少金属でよぉ。まさか、錬金術で作るもんだったとは。どうりで掘れねえわけだぜ」
腕を回しながら、コナツがうなる。
「
コナツはフェリシアに、大型の拳銃を渡す。
「簡易版ハンドキャノン、【アイアンボルト】だ。間に合わせで作ったんだが、性能は保証する」
フェリシアが、銃を手にする。
福音ほどではないが、かなり大きい。
鈍色の短い銃身で、握りは木製だ。
二連装の弾丸を放つようである。
いわゆるレバーアクションライフルだ。
ライフルにしては短いが。
「ソードオフ、つまり銃身をノコギリで短く切ってあるのね?」
「そのとおり。ついてきな」
コナツに連れられ、店の隣まで移動した。
「ここは?」
「射撃訓練場だ」
銃のトレーニングルームまで、できている。
ギルドにも訓練場はあるが、そこよりは狭い。
「射撃場なんて、いつの間に作ったんだ?」
「アイレーナは寂れているんだ。出ていくやつもいるさ」
この街の立て直しを、本格的に考えないと。
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