魔族専用のジョブ
フェエリシアの豊満なボディを、ヘビはゆっくりと締め上げていく。
「んなあああああ!」
言葉にならない声を、フェリシアが発した。
「脱出できないか? フェリシア!」
俺の指示通りに、フェリシアが脱出を試みる。しかし、ヘビはなおも絡みつくばかりだ。
「ダメ。抜けない。ていうか力が出ない!」
もがけばもがくほど、締め上がっていく。
「いやあ、ダメダメダメ!」
なんと、ヘビはフェリシアの装備まで剥がし始めた。
「うわ、なんだかエロいぞ!」
フェリシアは胸が大きいため、ヘビによってより強調されている。
「見とれている場合か! 来るぞ!」
ヘビのシッポが、今度は俺たちの方にも現れる。
「なんだ? いたるところからシッポが出てきたぞ!」
気配を読むことができるトウコは、なんとか回避できるようだ。
武器のシャフトで、シッポを殴り飛ばす。
シーデーも、出現と同時にシッポを撃ち落としていた。
機械の反射神経の鋭さ故か。
俺も、セイバーで周囲からの攻撃を切り刻んだ。
しかし、フェリシア救出には至らない。
「わたしに、考えがあります。見えない敵を見つけ出せるかも知れません」
サピィのメインクラスは、【
詳しい説明は聞けなかったが、とにかく魔法によって認識を阻害する相手を見つけ出せるとか。
「ただ、集中しなければなりません。ランバートは、セイバーでシッポを切り続けてください!」
「よしわかった! オラオラオラァ」
衝撃波を撃ちまくりながら、俺はサピィをヘビの攻撃から守る。
攻撃をしている間、サピィは目を閉じた。
手を胸の前にかざし、何らかの気配を探っているようである。
「見えました。祭壇です!」
サピィの動きが、祭壇の方角で止まった。
「祭壇から、見えないヘビが湧き出てきています! 壊してください!」
「わかった!」
俺は、ソード・レイから光の刃を発動させた。
いつもとは違う、粘り気のある魔力を流し込む。
「【
蒼く光る剣を、祭壇に向かって振り下ろす。
ヘビのムチが、黒い炎を放出しながら炭となった。
フェリシアを締め付けていたヘビも、だんだんと消えていく。
「よくもやってくれたわねええええ!」
真下に降下しながら、フェリシアがロングソードで司祭に襲いかかった。
「くらいなさい。【サンダークラップ】!」
音よりも速く、フェリシアは雷撃となる。
稲光は、司祭を一刀のもとに斬り伏せた。
防御すらできず、ヴァイパーの司祭はフィーンドジュエルと化す。
「はあ、はあ」
肩で息をしながら、フェリシアが剣をしまう。
「ありがとうサピィ、助かったわ」
「まさか、祭壇自体がオミナスだったとは、わたしも思っていませんでした」
フェリシアが、サピィ握手を交わす。
「あの、フェリシア。すまんが」
俺が指摘すると、フェリシアがしゃがみこんだ。
「うひゃああ!」
「スマン。見てないから。これでひとまず隠せ」
俺はアイテムボックスから、適当にマントを投げつける。
「ところでサピィ、マギ・マンサーというのは?」
魔術職である俺でも、知らない職業だ。
「平たく言えば、学者ですね」
詳しい説明も受けてみたが、よくわからない。
「知っているわ。マギ・マンサー。魔族がなれるジョブのひとつでしょ? 魔族専用だから、ハンターギルドでは登録されないけれど」
フェリシアは、知っていたようである。
とにかく、その力のおかげで助かったのだ。
「これで、終わったのか?」
「いえ。このアイテムを発動させた黒幕がいるはずです。それを突き止めましょう」
「わかった。あとは……フェリシアの装備だな」
まさか、王族の特注レアアイテムさえ壊すとは。
その後は、特に新たな情報もない。俺たちは、淡々と依頼をこなしていった。
思っていたより早く、王都から新店舗の報告があった。
一週間の約束だったが、わずか三日で手続きは完了したという。
ところが……。
「これじゃ、露店だな」
店は一階建て、居住スペースもない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます