ヴァイパー族の、呪われた秘宝

 今日は、ヴァイパー族が集まっているという廃墟へ向かった。


 ヴァイパー族とは人間大のヘビ族で、長い爪を持つ手足が付いている。 

 いわゆるヘビ人間だ。ヘビの魔王に仕えている。


 生い茂った森の中へ入っていく。


 大型のサソリが、ハサミをバチバチといわせながら近づいてきた。


「二、三メートルはあるわね?」

「来るぞ!」


 巨体からは想像もつかないほどのスピードで、サソリは突進してくる。


「これは、【スマイト】ね?」


 モンスターも、俺たちと同じようなスキルを使う。


「いくわよ、【ジャストガード】!」


 ギリギリまで相手を引きつけて、フェリシアは相手のハサミを盾で弾いた。


 大サソリが、腹が見えるほどにのけぞる。


「お返しよ!」


 最もやわらかい部分に向けて、フェリシアが剣を突き刺す。


 大サソリは倒れながら、五ミリほどのジュエルを吐き出した。



「遺跡が見えてきたわね」


 木々の隙間から、廃墟と化した遺跡が見えてくる。


 蛇の頭をもした宮殿は、壁一面がツタで覆われていた。絡みついたヘビを連想させる。


 見張りをしていたヘビ人間たちが、俺たちを発見して襲いかかってきた。あれが、ヴァイパー族だろう。


「おらああ!」


 ディメンション・セイバーで、ヘビ人間共を一掃する。


「あなた、魔法使いなのに前衛を任されているのね?」

「エンチャント魔法があるおかげで、どうにかやれている」

「頼もしいわね。でも、私がいるから心配はないわ」


 俺に顔を向けたまま、フェリシアは襲ってきたナーガ族を盾で殴る。

 

 そっちの方が頼もしいんだが?


「ここまで来た感想は?」

「敵は弱いのですが、数が多いですね」


 サピィも、久々の戦闘に加わる。それだけ、数が多いのだ。


 ヴァイパー族は、先日倒した大サソリまでも引き連れている。

 サソリの亜種を作り出していたのは、どうもコイツたちらしい。


「チェストォ!」


 回し蹴りを群れに食らわせながら、トウコも奮闘する。


「とてつもない数です! アリの這い出る隙間さえありません!」


 指マシンガンを乱射しながら、シーデーもウンザリ気味に答えた。


 この過密状態を打開しないと、先に進めない。


「おらあ!」


 俺は、ソード・レイでヴァイパー族を切り裂く。


「すごいわね。ここまで高い威力の【ディメンション・セイバー】は初めて見たわ」

「これしか、芸がないだけさ」


 ようやく、先が見えてきた。


 遺跡の奥に、祭壇がある。


 蛇頭の司祭が、豪勢な衣装を来て祭壇に祈りを捧げていた。


 祭壇にあった二股のムチが、ヴァイパー族を呼び寄せていたらしい。


「あれが【オミナス】。いわゆる呪いのアイテムなのね?」

「動いている。近づくんじゃない」


 アイテムは生き物のように、カマ首を持ち上げる。

 ひとりでに這いずり回り、ヴァイパー司祭の手に収まった。


「わが神聖なる祭壇に、土足で足を踏み入れる愚か者共よ。我らが魔王ヴァスキーの贄となるがいい!」


 祭壇の両脇にある炎が、勢いを増す。


 ヴァスキーとは、ヴァイパー族の魔王だという。


「滅びるのは、お前たちの方だおらああ!」


 ディメンション・セイバーで、威嚇する。

 光の刃から、衝撃波が飛んだ。


「フン!」


 二股のムチが、衝撃波を撃ち落とす。


 しかし、ムチに黒く焦げたあとが残った。


「ぬう、これがレア・ブレイクか。ならば」


 頭の一つが、矢のように襲いかかってくる。直接攻撃する気だ。


 俺たちは跳躍して回避した。


 ムチの頭部が、床に穴をあける。


「私が道を作るわ!」


 バッシュのスキルを用いて、フェリシアが突撃した。


 なにか、嫌な予感がよぎる。


「よせ、深追いするな!」

「そうです! 何かいます!」


 サピィも異変に気づいたようだが、もう遅い。


 どこからともなく現れたヘビのシッポにより、フェリシアは拘束されてしまった。



「きゃあああ!」

 

 四方八方からの尾撃により、宙吊りの状態に。

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