ソード・レイ
柄の中心に、オーブサイズのダイヤと、スフィアオニキスが付いている。魔力を節約するダイヤと、威力向上のオニキスが。
ダイヤの周りを、円状の金具が囲んでんでいた。ダイヤを回る衛星のように、色とりどりのスフィアジュエルが取り囲む。
「方法は?」
「好みの属性を。念じればいい」
試しに、炎を思い描く。
光の色が、オレンジに変わった。わずかに、フレアを帯びている気がする。振ると、陽炎が揺らめいた。
「もうちょっと試してみろ」
「ああ。では氷を」
氷を思い浮かべれば、細氷が舞う刀身に。雷も風も、属性を想起させる武器へ変貌を遂げた。
「すごい。なんでも切れそうだな」
「お前さんのファイトスタイルを聞いて、分析してみた。ブンブン振り回すには、こっちだろうと思ってな。言っておくが、武器同士での打ち合いだけはするなよ! そんな風に作ってねえんだよ」
打ち合うならイクリプスの方がいいだろう、とのことである。
「これならどんな相手でも……」
続いて俺は、アーマーのジュエルを見直す。大きさを変えられる部分は、オーブにしてもらう。魔力最大値が上がるサファイアと魔力を回復できるダイヤを最優先した。
「あとは、スキル振りなんだよなぁ」
「スキル? どうせ【エンチャント】極振りなんだろ?」
冗談めかして、コナツが言う。
「サブクラス【シャドウブレイド】を、セットしようかと」
ハンター用端末をチェックするオレの目に写っているのは、【サムライ】の文字だ。
父と同じ、上位の魔法剣士系クラスである。
【シャドウブレイド】と【ウィザード】で、選択が可能だ。
【魔法騎士】だと重い装備も扱える。が、どうせ付け焼き刃だ。
ならば、素早い攻撃が売りで軽装備のサムライがいいかと。
「とうとうお前さんも、物理職に興味が湧いたと」
「そうじゃない。あのデーニッツが相手なら、万全で整えたい」
「わかるぜ。まあ、お前さん次第だ。こだわるもよし、ポリシーを捨てるもよし」
やけにシリアスな顔で、コナツもうなずいている。
なぜか、サピィも。
「どうした、サピィ?」
「いえ……あ、私の装備チェックでしたね」
サピィにも、マジックシールドが手渡される。
俺のシールドより、防御面は強化してあるらしい。その他のプロテクターも一新した。
「攻撃面は、平気か?」
「杖から自動発生する物理攻撃で、相手に触れさせませんので」
「そうか。ん? 杖が浮いているな」
「ファミリアか? 違うな」
使い魔は、攻撃ができない。それにサピィのスライムはファミリアではなく、自身の分身だ。
杖の先端から、自動的に【マジック・ミサイル】が飛ぶという。
「ザコ掃除は、杖に一任します。ボス格の相手なら、大魔法で焼き尽くしましょう」
グレーター・デーモンとの戦いで得た杖が、自動で浮遊している。自動回復のダイヤの力で動いているという。サピィの力がなくても、無詠唱魔法を連発できるそうだ。
「書物?」
「全財産を使い切ってしまいました。とある書物を手に入れたかったので」
「そうか……それは!?」
サピィが手にしていたのは、クリムが手に入れたという書物だった。
装飾も覚えている。サピィとペールディネで買い物をしたときに見つけた、マジックアイテムだ。
「あ、それだ! その小さな本を見つけてから、赤いローブの女が襲ってきたんだぞ!」
トウコの言葉で、俺は愕然とする。まさか、この本のせいでクリムが襲われたとは。
「これは、クリムが手にしたレジェンダリだったな?」
「はい。ですが、ペールディネで見つかったわけではないそうです」
サピィは、クリムらしき人物がこの本をギルドに渡して、ペールディネのあの店に移送されたらしい。
「あなたになんの相談もなく、勝手なことをして、ごめんなさい。でも、どうしてもこの本は必要だと思ったのです。あなたのためにも」
「いや、責めているわけではない」
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