第25夜 寄生 (約1050字)

変な夢を見た。


  私は、突然、男に呼び止められた。

 「こっちに来い」と言われる。

  相手の緊迫した態度に気圧けおされて、しかたなく、男についていく。

  男と私は、路地裏に入ると、男は周囲を確認する。

  誰もいないことを確認すると、ニッと笑って、話し始める。


 ・・・・


  悪かったね。こんなところに連れ込んじまって。

  あんたの体、今、ヤバいことになってる・・・。

  急を要するんだ!


  おっと・・・そうそう。俺は、怪しいものじゃない、俺はこういう者だ。


 (そう言って、男は、私に身分証のようなものを見せる。

  それには、『外宇宙生物駆除係 〇〇』とあった。

  もちろん、私は、露骨に、怪訝そうな顔をした。)


  まあ、聞いたこともないだろうし、いかにも怪しい感じなのは・・・認めるさ。

  だが、論より証拠ってね・・・悪いが、ちょっと・・・痛いぜ!


 (そういうなり、彼は、私の耳の中に、あっという間に、何かを差し込む。

  そして、それをグルグルとかき回す。

  ああ・・・。なんか、脳みそがとろけそうな感じがする。)


  クソッ! 思ったよりも浸食していやがったか?

  ああ、大丈夫・・・あんた、運がよかったな。

  あと、もう少しで、完全に寄生されるところだったぜ・・・。


 (男が、私の耳から何かを引き抜き、それを私に見せる。

  それは、針金のようなもので、その先には、何か変な物体がうごめいている。

  男は、それを地面に放り出すと、靴で踏みつぶす。

  一瞬、嫌な臭いが立ち込めた。)


  見たろッ! あいつが、あんたの頭の中に入り込んで、あんたのこと・・・

 としてたんだぜ・・・。


  あんたには、信じられんだろうが、あんなが、今、いっぱい地球にはび

 こっているのさ・・・。政府は内密にしてるがな・・・。

  俺たち、駆除屋が、極秘に結成されて、駆除してるってわけさ。


  えっ? なんでわかったかって・・・。

  やつらに寄生された人間は、特殊な匂いを発するんだ。

  そいつを・・・センサーで感知するのさ。


  まあ、よかったよ・・・。

  これで・・・。


 (突然、男の顔つきが変わった。

  今までの人の良さそうな感じが、妙に殺気立った感じになった。)


  お前の中に、安心して潜り込める・・・。

  別の奴が潜んでると、一緒に死んじまうからな。

  この体・・・あと、ちょっとしか・・・持たないからよ・・・。

  

  新しい体が欲しかったのさ!

  

 ・・・・


  男の口から、何かが飛び出てきた。

  だが、早すぎて、何がなんだかわからなかった。

  いったい、なにが起こったのだろう?


  いや・・・そもそも・・・なぜ・・・私は、こんなところにいるのだ?

  

  私は・・・。

  わ・・・。

  ・・・。

  ・・。

  ・。


そこで目が覚めた。

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