第11夜 人間合格 (約700字)

変な夢を見た。


  私は、どこかの部屋にいた。

  異様に広く、真っ白い部屋。目が痛くなるくらい白い。

  私は、そんな部屋の中に、ひとり、ぽつんと座っている。


  私は、この部屋の中で、あるテストを受けていた。

  地球に関するテスト。地球の知識に関するものと社会に関するもの。

  要は、地球の社会に適合し、問題なく生活できるかどうかのテストだ。

 

  そのテストが終了し、私は、結果を待っているところだった。

 

  突然、部屋の中に声が響き渡った。


 「同志。キミは・・・合格だ。人間合格だ。」

  

 「ありがとうございます。」

 

 「知識に関しては、やや不備があるが、このくらいなら、問題ないだろう。」

 

 「はあ・・・。」

  私は、ちょっと、不満そうに返事をする。


 「だが、同志。特筆すべきは、君の社会適合能力。

  素晴らしい。今まで、何人もの同志が、このテストを受けてきたが、君には遠く 

 及ばず。君は、最高得点を取得した・・・。」


 「ありがとうございます。」

  私は、顔をほころばせ、喜びに満ちた声で言った。

 

 「同志。早速だが、君に任務を与える・・・。


  今から、○時間後、地球に降下せよ。われらの地球侵略の先鋒となるのだ。

  すでに、多くの同志を送り込んでいる。

  彼らと連絡を取り、行動を共にしたまえ!

  

  そして、地球の中枢部に浸透するのだ。

  われらが、容易たやすく地球を侵略・支配できるように・・・。」

 

 ・・・・


  私は、今、地球に降下するカプセルの中にいる。

 「降下完了まで・・・残り10秒・・・9・・・8・・・」

  制御装置の無機質な声が響く。


  私は、ずっと、あることで頭の中がいっぱいだった。

 

  私の精神構造は、確かに地球人と同じかもしれない。

  だが、体は・・・体の構造は、まったく異なるのだ。

  とても・・・地球人の社会に浸透できるとは、思えないのだが・・・。


そこで目が覚めた。

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