1話 バカと天才は紙一重じゃない

授業中、俺はよく寝ている。寝ていたら、授業についていけないのではないかと心配するかもしれないが、聴覚細胞を休ませずに寝れば万事解決である。

教師が俺に満点をとらせまいと俺が寝ているときに、テストに出る大事なところを言うんだが、丸聞こえなのが滑稽である。

それにしても今日は本当に眠たい。

昨日の夜から徹夜して作った「目の色を赤くする薬」のせいだろう。

これのすごいところがもとの目の色に戻せるところである。でも前髪が長すぎて父さん以外俺の目見たことあるやついないんじゃないか。だからこれは自己満足なのだ。

ちなみに効果時間はまちまちだがだいたい一ヶ月くらいだ。


てかさっきから俺の近くがうるさい。

意識が覚醒しそうだ。

仕方なく起きると、



「神木ぃぃぃぃぃ」



体育教師の大貝が俺に怒鳴っていた。

そんなに怒鳴ると喉を痛めるんじゃないか、などという思考ができるほど相手にするべき相手ではないと俺の脳が判断していた。


「お前後で職員室に来い!」


面倒くさい。だるい。

そんなことを考えていると、

前の席の名前は知らない女子が立ち上がり、


「私が指導しておきます。」


と先生に言った。

その子は先生からの信頼も厚いのだろう。先生がそれだけで了承した。さすが陽キャ、苦手だぜ。


そして授業が終わり、その子に散々怒られた。しかし名前が出てこない。

友人の斎田友季に聞いた。それが間違いだった。


「あの人、学級委員長の宮城香織っていう人だよ。覚えとけよ。優しいからだいたいのいうことは聞いてくれるぞ。」


「私に何か用?」


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