第7話
「つまり、御神木の根本まで、もってこいと言われたんだな」
「うんそう。おばあさんはそう言っていたよ」
二人の少女がそう話しながら、町の中心へと急ぐ。かおり先輩によると私たちがいるのは、西区の町はずれ。町の中心から数キロ離れた住宅地らしい。
ほのかは気になっていたことを聞いた。
「かおりちゃんは何で私を助けてくれるの?魔法使いなんでしょ?」
「魔法使いがみんなあんな感じってわけじゃねーよ。…いや、ばあちゃんがさ。」
「うん?」
「ばあちゃんっつってもじいちゃんのお姉ちゃんになるんだけど。その人がさ。凄腕の魔法使いだったんだよ」
きらきらとした目で続ける。
「『赤髪の魔女』『赤鷲家の暴君』『一のトラブルを百にする女』とかいろいろと異名がつくほどのな。教科書にも載っているんだぜ。様々なトラブルを豪快に笑いながら解決する。最強の魔法少女。この町ができたときにばあちゃんは魔法使いの生活の向上のため秘密の任務に出たらしいんだ。魔法少女時代の知名度を生かして交渉するって。」
「へぇ」
異名がほとんど危なっかしい。でもかおり先輩がそのおばあさんのことを尊敬する気持ちが伝わってくる。
「でよ、ばあちゃんがいつも持ち歩いていたぬいぐるみがそのぬいぐるみだったんだ。町の平和のために置いていったらしくて。まぁぬいぐるみだから、実際はそんな力なんてないだろうけど。町はずれの竜宮神社から、御神木の下の破魔神社に奉還する儀式を数年に一度やっていて、それがたまたま今日だったんだ。だから一目見ようって、神社にいったんだ。普段は厳戒態勢で、一般人は見れないんだが、今年は私魔法少女として、活動していたから、その、特権があってよ。隠れてみてたんだよ。」
おそらく、先ほどの氷の魔法で隠れていたんだろう。
「だけど、それを何の冗談か持ち出してしまった人がいてな」
あ、私のせいか。だって、軒下においてあるんだもの。
「せっかくだからそのままもらおうかなと」
「ご、ごめん」
「いいって、いいって。私たち家族なのに、ばあちゃんのものが、返還されないのに腹が立っていたし。まさか師匠がでてくるとは、思わなかったんだが、意外と逃げ切れるもんだな。とりあえず、その待ち合わせのおばあさんとこいって、この手にくっついちまった状況を何とかしないとな。」
「じゃあこのぬいぐるみはおばあさんのものじゃないのかな。わたしはおばあさんの思い出の品ってきいたからもってきたのに」
「いや。もしかして…」
「そのおばあさん、うちのばあちゃんだったりしてな。しっしっし」
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