【創神/雑談】古代遺物周回しながらまったり雑談【アルフォンソチャンネル】
「うおおおおおおおおおおお、またハズレ遺物かよぉおおおおおおおおお!!!!」
姫宮さんとの買い物を終えた俺は、その日の夜に配信を行っていた。
今日は、去年にリリースされたオープンワールドゲームの実況だ。
「創神」――既存のソシャゲーとは比較にならない制作費とスタッフを投入した作品で、アニメ調のレンダリングと壮大な世界観とフィールド、そして魅力的なキャラクターとストーリーが特徴の大作だ。
「もうダメだ……このゲーム、なんも出ん。う○ちだう○ち……」
【コメント】
:汚い
:今日もう○ち沼にハマってて草
:あまりいい声でう○ち連呼しないでもろて
さて、このゲームには一つ、尋常でない沼要素がある。
それが、古代遺物と呼ばれる、装備アイテムだ。
この古代遺物は五種類あり、それぞれにメインステータスと、サブステータスが設定されている。
攻撃力、防御力、HP、会心率、物理ダメージバフ、治癒効果アップなどなど、様々なステータスがそれらに割り振られる。
では、これの何が沼なのか。
一つ目は、メインステータス一枠、サブステータス四枠が上記から完全にランダムで選出されるということだ。
そして二つ目は、レベルアップする毎に、このサブステータス四つの内、一つがランダムで強化されるということだ。
これらは、クエストを周回することでドロップするのだが、欲しい装備を手に入れるには、五種類の古代遺物の中から目的のものかつ、目当てのメイン効果を持つものを引き当て、さらに四つのサブステ抽選に勝ち抜き、古代遺物を強化した時のランダムステータス強化で理想の上昇を引き当てなければならないのだ。
つまり、まとめると一回ドロップする毎に、ガチャガチャガチャ、そしてガチャ&ガチャと、無限のガチャに勝たねばならないのだ。
当然、並の周回では理想の個体は手に入らない、気の遠くなるほどの周回を重ねなければならないのだ。
「ガチャガチャガチャガチャ……くそっ……試行回数が足らなすぎる……ガチャ○ン!! ルーレット回してくれ!!」
俺は、あまりの沼っぷりに救世主の名を叫ぶ。
もはや、この状況を打破するにはあのお方を呼ぶしかない。
【コメント】
:ガチャ恐竜は草。怒られるぞ
:他社ゲーの話はNG
:じゃんけんも頼む
:某社の株主にでもなってもろて
:自分一発で理想個体引けました
「おい、最後のコメントぶっとばすぞ?」
この界隈、沼ってる人間に追い打ちを掛けるように、ドロップ自慢ガチャ自慢する人間多すぎる。まじで。
【コメント】
:怒らないで……
:許して
:ごめんなさい
:殴らないで殴らないで…… ¥3,000
「いや、キレてるわけじゃないからな!! というかスパチャ、グラッチェ!!」
【コメント】
:古代遺物周回は修行
:というか、最近少し声変わった?
「うん? 声? そんな変わってる?」
言われてみれば、以前よりも高めの声を出しているような気がする。
間違いなく、原因は姫宮さんだ。
彼女が配信を見てるかと思うと、どうしても声を変えてしまうのだ。
【コメント】
:でも、今の声の方が好き
:前も今もめっちゃいい声
:前派
:これからも今みたいな声で頼む
声に関しては色々と意見が分かれているようだ。
とはいえ、身バレは絶対避けたいし……
そうして悩んでいると、投げ銭が飛んできた。
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ゆず猫
¥500
私は断然前の、いやむしろもっと低めの声の方がいいで
すね~
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姫宮ァ!?
低めがいいって、前以上に声低くしたら俺の地声に近くなるだろうが……
まったく、こっちは姫宮さんの夢を壊さないようにって……あれ?
それって姫宮さん、俺の地声の方がいいってことに……
ブンブンブン。
とっさに湧いた考えをすぐに振り払う。
くそー、どうも姫宮さんに見られてると思うと、配信も妙にやりづらいというか……
「まあまあ、声の話はいいだろう。俺はあんま声変えた気もしないしな。というかそろそろ眠くなってきたかもしれん」
【コメント】
:珍しい。夜はまだまだこれからなのに
:まだ0時ですよ????
:生活リズム勝手に直さんでもろて
「なんだお前ら!! 俺のことなんだと思ってるんだ。まったく……今日は遠出したから、疲れてるんだよ」
【コメント】
:え……?
:え……?
:え……?
:アルフォンソが出掛けた……?
「おい、息ぴったりだなぁ!!! 俺だって出掛けるぐらいするからな」
【コメント】
:引きこもりだと思ってた
:ニートだと思ってた
:不登校だと思ってた
「マフィアだよ!!」
もう、だーれも俺の設定覚えておらん。
というか、最後のコメントあたってるんだけど、思考盗聴してるの??? もっとアルミホイル巻かなきゃ。
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ゆず猫
¥1,200
自分もお出かけでした。ずっと会いたかった人と遊べた
ので楽しかったです(*^_^*)
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!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?
ひ、姫宮ァ!!
お前急になに言い出すんだ!?
突然のスパチャに、俺は完全に動揺してしまう。
ずっと会いたかった人……? 俺が……?
なんだよそれ……
まずい。
なんとか言い訳を探して誤魔化そうとしたが、もう無理だ。
だって、スパチャはさすがに誤魔化せない……
姫宮さん、俺のことアルフォンソだって知らねえもん!!!!
今までずっと、俺の自意識過剰だと思ってた。
そう思おうとしていた。しかし、スパチャでこんなことを言われてしまえば、さすがの俺も否定出来ない。
くそ……これから、どんな顔して会えばいいんだ。
その好意、正直言って舞い上がるほど嬉しいが、だからといってどうすればいいか分からなかった。
恋愛クソザコすぎだろ俺……どこかの錬金術師かよ……
その後、ゆず猫さん、いや姫宮さんの言葉が頭の中で無限ループし続けるなか、俺は配信を閉じるのであった。
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