取り敢えず、彼は貴方達の呼ぶ『ごりマス』という名前ではないです。

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 規模は異なるが、全ての街や村にギルドが存在する。

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 ここギルドに辿り着くまでに色々あったが今日もギルドの依頼掲示板クエストボードには様々な依頼クエストが張り出されている。それを見に行くアリア達パーティーメンバー。そして、ギルドでも壁や床に埋まっている冒険者プレイヤー達。そんな彼ら曰「重すぎ」だとか「処理落ち」がどうだとかなんとか、かんとか。相変わらず彼らの使う言葉の意味がよく分からない。


「他のヤツらから聞いたぜ?おめぇさん、他の冒険者相手にやらかして憲兵の世話になったんだって?」


 そして、その景色を眺めている私に話し掛けてくる髭の生えた筋肉の壁ギルドマスター


「………加減はした」


 うん。既視感デジャヴ


「あのなぁ…加減ってぇのは、殺しやっちまわなけりゃ良いってぇ話じゃあねぇんだぞ?理解わかるよなぁ?な?な?!なぁ!!」


 笑顔でこちらに顔を近づけてくる。圧迫感が凄い。そして、非常に顔が近い。なんなら髭が当たってる。さらに目が笑ってない。あぁ…これは逃げられない。


「……そっちの件はアリアローゼです」


 私は、勝てなかアリアを売った。

 傍から見たらギルドマスターに詰められている私は、肉食の魔物に睨まれた草食の魔物の様だっただろう。なんだろう?目に汗でも入ったのかな?視界が悪いな。


「そうかい。取り敢えず…………あぁ、アイツは後回しだな」


 ギルドマスターは冒険者プレイヤー達の波に埋もれる彼女を確認発見すると視線を私の方へと戻した。私は彼から視線を反らし「こっち向け?」


「きゅぴぃっ?!」


 彼のごつごつとした大きな掌が私の両頬を掴んで離さない。


 あぁ、可哀想に……でも、残念!!魔王ギルドマスターからは逃げられない!!


 尻尾を腕に抱き嵐が通り過ぎるのを耐えるしか道は残されていないのだ。……アリアお姉ちゃん早く来て。そして私を助けて。あと、今日は同じ部屋で寝ます。絶対です。


「まぁ、諦めて説教受けろや」


きっとその返事は震えていた。


「…………はぃ」


 それから、現在進行形で冒険者プレイヤー達の人波に飲み込まれているアリア以外のパーティーメンバーが来るまで私への説教は続いた。


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 世界最強が唯一、恐れ怯えるものは魔物などではなく、髭の生えた筋肉の壁ギルドマスターらしく、彼に詰められている時の彼女は震えながら尻尾を腕に抱きかかえ、目元に涙を浮かべているらしい。

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