第35話 異世界カレー


 時間がないので教会へは明日にし、自宅に戻ると女性陣は忙しなく仕事準備に帰宅していった。


 そんなギリギリまで潜らなくてもと思いつつ、冷蔵庫を開けると大量の異世界産野菜が目に入る。そうだ。カレーを作らねば。


 冷たいお茶を飲みながら段取りを考える。


 米を研ぎ、水を飲ませている間に野菜類の下拵え。玉ねぎ、にんじん、トマトっぽい野菜が結構な量ある。全部ぶち込んで余ったら冷凍すればいいか。カレールーは近くのコンビニで買おう。肉も何の肉か分からないが異世界産肉がある。冷凍前提なのでイモはいれない。


「よし」


 米を研ぎ始める。先日の仕上がりは最高だった。今日はカレーなので少し柔らかめにしようと思う。カレーは飲み物という格言もあるくらいだ。


 米粒と米粒を満遍なく擦り合わせ、米糠を丁寧にそして手早く削いでいく。のんびりやってしまうと水を吸ってしまい水加減を見誤ってしまう。


 換えた水が透明になり完了だ。俺の無駄なこだわりとして研ぎ不要の無洗米は使わない。炊き立てご飯は精米レベルの米を研いだ方が美味くて長持ちする。無洗米は置いておくと味が落ちるのが早い気がするのだ。


 玉ねぎを大雑把にみじん切り、にんじんは冷凍するとすっかすかになるのですりおろす。トマトは熱湯をかけて皮をむき、ざく切り。


 明らかに家にある24cmの片手鍋に入る量を超えているが気にしない。謎肉の脂身を落とし中火にかけると脂が染み出してくる。弱火にしてそこにどんどん切ったものを投入だ。トマトは後でいいか。


 炊飯器のタイマーをセットし、よくトイレのお世話になっている近くのコンビニへ。しかし単身向けの小さめのカレールーしか売っていない。まぁ数種類混ぜればいいか。


 トマトっぽいやつが割と酸味高めであったので辛口のを3種類チョイス。


 家に戻るといい具合に玉ねぎがかさを減らし水分を出していた。中火にし、入りきらなかった野菜を再度投入し、肉を薄めに切り投入。


 沸騰した所で軽くアクを取り、トマト投入。無水でいけそうだ。


 軽く煮たあとに火を止め、ルーを投入していく。2つは何も考えずに全投入。3つ目は味を見ながら少しずつ入れた。ちょっと物足りないくらいで軽く中濃ソースも回し入れておく。


 再度、弱火で火を入れている間にイモの皮をむき、切ったあとに流水にさらし、濡れたままラップに包み電子レンジで蒸す。


 ここで炊飯器が完了のアラームを上げる。ジャストタイムだ。


 カレーに仕上げのガラムマサラをぶっかけて一煮立ち。中々、刺激的な香りじゃないですか異世界カレー。


 炊飯器が湯気と共に開け放たれ、ピン立ちの米粒達が出迎えてくれる。今日の白米もいい感じじゃないですか。


 皿に装い合体!おお、異文化交流いいじゃないですか。ルーカレーは最早日本文化。日本が誇る入れればなんでも美味しく食べられるカレールー。ここで異世界食材と出会ったのだ。



「うまっ、辛っ」


 最後に入れたジャワ島みたいな名前のカレー、ちょっと辛すぎなんじゃないかとも思ったがトマトの酸味と玉ねぎの甘みが三位一体してて美味い。肉は火を入れると硬めだが赤身のしっかりとした主張。臭みがあるのかもしれないがカレーなら全く問題ない。


 額や鼻の頭にかいた汗を拭い、ぐいと水を飲み干し、おかわりだ。


「異世界食材、いいな」



 次は何の料理にしてみよう。


 食費が浮きそうな予感に気分が良かった。汗をかいたせいかもしれないが。


 5合炊いたけど半分近く食べた。


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