第29話 火属性魔法矢


 勝田さんにはこれから用事がありますとメッセージで告げ、再度迷宮へ潜る。


 まずはレベル上げだ。異世界の連中よりなるべくレベルは上にしておきたい。



火属性魔法矢ファイヤーボルト


 6層の猫ちゃんで属性付きの魔法矢を試す。消費MPはただの魔法矢と変化なし。破壊力ももちろん問題なし。


「シッ」


 短刀も素早い敵には向いている。勝手に向かってくる敵を体裁きのついでに撫で斬ればいいだけだ。逆手に装備した2本の短刀を試すように振り回し敵を殲滅していく。




「魂強度が上昇しました」


 計200体やったか。短刀二刀流だが職業解放はなかった。



 7層を最短で通り抜け8層。


「……さて、トンボに通用するかどうか」


 前回と違うのは火属性魔法矢ファイヤーボルトと迅動だ。火属性魔法矢ファイヤーボルトが弾かれずに決まるのであれば楽勝。複数ミイラとトンボが出る都合のいいここでも200体狩りができる。



 曲がり角を曲がるとのそりと影が動き出し、爆音の羽音が響き渡る。


火属性魔法矢ファイヤーボルト


 動き出した影に着弾。ミイラの頭が弾け、燃え上がった。隣にももう1体いる。上にはトンボだ。


火属性魔法矢ファイヤーボルト


 すかさずもう1体のミイラを屠る。次は……。あれ?


「逃げた?」


 ドップラー効果で波長が長くなる羽音だけを残してトンボは消えていた。


「逃げる敵も初めてだな」


 残された魔石を拾い次の敵を探す。



 何パターンか試してみたがミイラを火属性魔法矢ファイヤーボルトで倒すとトンボは逃げを打つようだ。ミイラを魔法矢ボルトで倒せば逃げない。

 当然というか弱点であるようでトンボも火属性魔法矢ファイヤーボルト一撃だった。


「そして魔石がでかくてかさばる」


 もうリュックに入りきらない。


 もったいないが猫ちゃんの魔石を投棄し、トンボの魔石に入れ替えた。




「魂強度が上昇しました」


 MP消費に注意しながら狩り進め、本日5回目のレベルアップ。ミイラも計200体やってやった。


 時計は午前2時を回っていたが下への階段は見つかっていない。換金所で見せてもらえたマップは8層までだったので、ここら辺のレベルが迷宮街の上位レベル層だと思っている。


「また、寝るの遅くなっちゃったな」


 あとはスライム200体とトンボ200体か。その先もあるにはあるだろうが、とりあえずは合格ラインといったところか。あの2人もとっととレベル上げてしまおう。


 そして、もっと下層へと潜るのだ。


 現地の人にも負けない階層に。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る