13話「ほのぼのクッキング」

「お疲れ様です、アルラスさん。」


「ああ、お前こそ......って、なんでそんなにケロッとしてんだよ」


仰向けに寝そべっている俺の元に来たラトは、戦いが始まる前と何ら変わらないように見えた


「獣人は人間と獣のハーフなので、回復が早いんです。」


なるほど、それで元気そうなのか


「......あっ、そろそろ晩ごはんの時間ですね。」


「もうそんな時間か......この魔物って食えるのか?」


「はい。ダークウルフの肉は栄養・魔力共に良質なうえ味もいいので、この辺りでは人気ですよ。」


「なるほどな。んじゃ、焼いて食うか」


「あっでも......私、ナイフを持ってません。」


「それなら心配はいらねぇよ。俺のスキルで解体できるはずだ。」


「アルラスさんのスキル......ですか?」


「ああ。見てろよ......『デタッチ』『モータス』」


「えっ!?そんな一瞬で!?というかこの板はどこから出てきたんですか!?」


『デタッチ』で部位ごとに分離、そして『モータス』で皮と骨を残して肉だけを移動させる。

すると簡単に解体できるってわけだ。

地面に直接置くと汚いので、『モータス』で肉を分離させると同時に地下から岩盤を少し取り出した。


「俺が持ってる『再構成』っていうスキルだ。結構万能だぜ」


「そ、そうなんですね......あっ、火は私の魔法でできます!」


「ああ、頼む。魔法はまだ使えないんだ。」


「そんなすごいスキルを使えるのに、初級魔法はできないんですか?」


「まぁこのスキルもまだ燃費悪くて使いづらいんだけどな。今の解体でもうほとんど魔力が残ってない......」


「それはかなり燃費悪いですね......」


まぁ、魔力が残っていないのはさっきの魔力大放出も関係ありそうだが。

それは置いておいて、とりあえず今は肉だ。

ラトがつけてくれた火の上で、解体した肉が焼けていく。

解体するときにわざとマンガ肉になるようにしてみたのだが、これはうまそうだ。


............


「アルラスさん、焼けましたよ?起きてください。」


「お、おぉ。いつのまにか寝てたのか」


どうやら火を眺めていたら眠ってしまっていたようだ。

なんかこれ、数か月一緒に暮らして仲が良くなったパーティメンバーみたいだな。

実際はまだ一日しかたっていないが。

俺とラトは相性がいいのだろうか。


「んじゃ、食うか。」


「もう食べてますよ。アルラスさんも早く食べないと冷めちゃいますよ?」


「早いな。そうだな、俺もさっさと食うか。」


突発のダンジョン制圧で昼飯を食べていなかったせいで、2人とも夢中で肉にくらいついていた。

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