2話「異世界にダイブ!!!!」

風だ。

さっきまでいた場所にはなかった強い風を感じる。

ついに異世界に来たのだ、と

本当なら感動していた。

.......そう、その風が、横から吹いてくれていれば、感動できていたのだ。

しかしその風は、


『下から』吹き付けていた。


「ふざけんな! なんで大空に転送されるんだよおおおおおおお!!!!」


やばい。このままだと出オチだ。

なにか打開策は......

そうだ。

『超魔力』を使って大量の魔力を地面にぶつければ、爆風で落下速度が緩むかもしれない。

そう思いつくとすぐに『ストレージ』を開ける。

すると内容が脳内に流れこんできた。


・『超魔力』習得スクロール

・『再構成』習得スクロール

・『ステータス』習得スクロール

・聖鎧ノエル

・聖剣シリウス

・メモ


『ストレージ』によって出現した空間の穴に腕を突っ込み、『超魔力』を取り出そうと念じながら何かをつかみ、引き出す。

(こういう時は念じればなんとかなるだろうという安直な考え)

...オーケー。ちゃんと狙ったものだ。

今いる所から地面まではまだかなりある。

よし。


《我らが世界の理を統べる女神ノエル、我が声に応え、力をさずけ給え。『エニム・バス』》


スクロールに書いてあった内容を読み上げると、体の中に力が湧き上がる感覚がした。

その湧き上がってきた力を下に向けた手のひらに集中させる。

地面まで残り約20メートル。

15、10、8 、5....


「喰らえ!!!!」


地面に向けて、溜めた力を解放し、ぶつける。

すると、圧縮された魔力が膨張し、魔力爆発で俺の体が浮......かなかった。

それどころか、魔力爆発すら起こらない。

てか、緑色の草が生えたような地面が光った。


「...え?」


地面まで僅か数メートル。

まさか、異世界に来てから秒で死ぬとは思わなかった。

欲張ったのがいけなかったのだろうか。

ああ、ノリのいい創世神様、願わくば、こんな俺を助けてくれ......


そんな俺の願いが届いたのか、

俺を迎えた感触は硬い地面ではなかった

......が。


ぽよん


それはとても軟らかく、それでいて張りがある少し冷たくて表面がヌルヌルした......

ス ラ イ ム の 感 触 だ っ た 。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る