138話

エミリアの告白が無事に終わり女性達はお茶会に向かったので、アスランとベルトラン王はやっと本題に入った。


「アスラン、尻に敷かれるなよ」


「御意」


「まあ、いい。では褒賞の件を話そう」


そう言うとベルトラン王はベルを鳴らし執事を呼んだ。


執事は用意していたのか、台座をすぐに運び込んだ。


「お主が望んだ精霊の装備は貴重で珍しい。宝物庫など全てを探してもこの二つだけだった」


アスランは二つあるだけでも大層喜んだ。


「喜んでもらえるのは嬉しいが、精霊の装備は性能だけみるとレジェンド級の装備にかなり見劣りするがいいのか?」


「もちろんです。一つは褒賞として、もう一つはSランク冒険者の装備としていただいてもいいですか?」


「ああ。珍しいが誰もSランク冒険者は持っていかないからな、欲しがるのは見た目が綺麗だから飾りたいと言う貴族くらいしかおらん」


アスランが心底欲しいと思った精霊の装備は3つ。


精霊の剣、精霊の鎧、そして精霊の指輪(アクアマリン)


精霊の指輪は宝石の数だけあると言われている。その中でアクアマリンを当てるのはかなり難しいとアスランは考えていた。


しかし、目の前にある精霊の装備は、精霊のマントと精霊の指輪(アクアマリン)だった。


凄い確率を引き当てた気分で舞い上がりそうになってしまう。


「お主がそこまで感情を露わにして喜ぶとは…」


「あいつと同じ色の指輪だったのでつい」


「精霊様もそんなに想われていれば満足してくれるだろう」


「ならいいのですが、有り難うございます」


「あと一つSランクとして装備は宝物庫から探して持っていけ、お主なら鑑定で自分のあったものを見つけれるだろう」


「有り難うございます」


こうしてアスランは宝物庫へと案内され装備を鑑定させていく。


「流石は宝物庫といったところだね。炎の剣に、鉄壁の鎧ね~。」


炎の剣:剣から魔力を消費して炎を放つ


鉄壁の鎧:軽減ダメージ20%・振動負荷・貫通耐性


様々な効果を発揮する装備が数多くある。


もちろん貴族のためのただの飾りではと思う装備などもあるが、アスランはお宝探しをしている気分で凄く楽しそうだ。


そして今後の戦いを考えた結果二つの装備まで絞った。


一つは魔力の腕輪


魔力の腕輪:魔力を高め魔法ダメージを20%上昇させる


もう一つは


魔力吸収の剣:扱う者の魔力、力量、スキルに応じて微弱だが魔力を吸収し回復させる


アスランは今後の自分の戦いを描きながら考えている。


「魔法主体なら魔力の腕輪だし、魔法剣士のスタイルなら魔力吸収の剣だけど…そうしよう。」


アスランは独り言を発しながら考えている。


ようやく決まったのか一本の剣を手にとった。


そう魔力吸収の剣を選んだのだ。


決めては簡単だった…、魔法の腕輪はいつか手に入りそうだったから。


しかし、後で気づいたのだが蓋を開ければとんでもない利益を得ていた。


なんと鞘にも特殊効果があったのだ。


魔力吸収の鞘:吸収した魔力で自動修復可能。吸収した魔力にて強化可能。属性魔法を吸収した場合同じ属性の付与可能。


そう吸収した魔力で剣の強化が出来るのであった。


「この剣、何気に凄いかも…剣の強化に自身の魔力を微弱だが回復」


アスランは選んだ剣を見つめ今後の展開を考えるのであった。



ちなみに精霊の装備効果はこちら


精霊のマント:斬撃ダメージ軽減・汚れ防止・修復機能


精霊の指輪(アクアマリン):青く透き通った綺麗な指輪・精神安定


精霊の装備単体で見ると大したことはない。


しかし、アスランはディーネから精霊の装備の秘密を聞いていた。


そう、精霊の装備は精霊の宝珠と組み合わさって初めて本領を発揮する装備なのだ。


ちなみに精霊の宝珠と組み合わさった追加の特殊効果はこちら。


精霊のマント:浮遊することができる


精霊の指輪(アクアマリン):精霊の宝珠と同じ属性の色の指輪の場合、状態異常無効。鑑定をも弾く。


見たままの結果でおわかりだろう。とんでもない装備なのだ。


アスランはこの世界で初めて無効と言う二文字の装備を始めて見ることとなった。


それもその筈、この世界では精霊と契約出来るものは極わずか。さらには精霊の宝珠が手に入る確率は天文台の数値となるだろう。そして、世界に一つしかない同じ色の指輪を揃えられることは奇跡としか言いようがないのだ。

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