132話
アスランはベルトラン王の話を聞いた後考え込みながら家へと帰った。
アスランが帰宅すると仲間達は興味津々で訪ねてきた。
「ご主人様、何だったにゃ?」
アスランは戸惑っている。この話をするかしないかを…。
いち早く気づいたカルラは声を掛ける。
「アスラン様、私達に隠し事は無しですよ。何処までも一緒ですから」
アスランは何処かに行くにしても話さないと皆が納得しないと考えた。
「わかった。正直に話そう。それに当たって皆に契約魔法を
使うことになるがいいかい?」
仲間達は驚きながら頷いた。
「では契約魔法の準備を頼むから明日に話すことにしよう」
こうして翌日、アスランはベルトラン王との内容を話した。
「まさかこの世界がそんなことになっているなんて」
「私は一緒に行くにゃ」
「もちろん私も決まっているわ」
「僕も一緒に行きたいですが、人数が…。」
「私も行きたいですが、フローズン様との約束をどうしよう…。」
アスランは決意した顔で話しだした。
「先程話した通り、過酷な場所だ。強さ精神力全てにおいて優れてないと潰されると言われている。そんな危険な場所に一緒に連れていくことはできないと考えている。一緒に行くのはハクのみと」
全員が驚愕しながら押し黙った。
そんな中バトラーが口を開いた。
「私でも実力不足ですか?」
「いや、バトラーならば大丈夫だろう。しかし君の主はソフィアだろう?」
「先程の話を聞いていると、回復魔法に優れた方も必要かと思いまして」
「そうよ、回復魔法なら絶対に役に立てるわ」
「正直に言おう。武力はバトラーが補うとしても、ソフィアには精神力の方を心配している。それにやっと自由になれたんだ…、人生を楽しみなよ」
ソフィアは唇を噛みしめながら反論する。
「そこらの同じ年の子達と一緒にしないで、貴方なら分かるでしょ?それに、やっと見つけた私の居場所を奪わないで」
「アスラン様、私を助けてくれた時もそうですが、ソフィア様の心の強さは私が保証しますので何卒」
「バトラーは中央大陸に行きたいの?」
「私は御二人にお仕えしたいので。それに中央大陸のことは私は知っておりますのでお役に立てるかと」
「わかった、一ヶ月程猶予があるから前向きに考えるよ」
「有り難うございます」
ソフィアはバトラーの手を持って一緒に喜んでいる。
ふとアスランの頭の中に転生の条件がよぎった。善なる強い魂か…。
「あの、ソフィア様に仕える私はどうしたら?」
「セラフィム、君の実力では難しいと考えている。もちろん他の皆にも同じことだが」
ミケやミヤもなんとか一緒に行こうと頑張っているが己の実力不足を痛感している。
「一つ確認してもいいですか?」
「もちろん」
「中央大陸に行ったあとこちらに戻ってきますか?」
その言葉に全員が注目する。
「戻ってくる予定だが向こうの状況がわからないから絶対とは約束できない」
「分かりました。それでは戻ってきた時に私がアスラン様が思う基準まで強くなっていたら一緒に連れていってもらえますか?」
「ああ、もちろん。ただ人数は6人と言うことは忘れないでほしい」
「御意」
そしてカルラは今まで黙っていた口を開いた。
「ご主人様、今の私の実力では厳しいと思っているのですよね」
アスランは正直に頷いた。
「後程でいいのでお時間をいただけませんか?忠誠心のスキルが発動し、新たにできることが増えましたので、それを一度見てから再考していただけませんか?」
「わかった。納得した形で出発したいからね。」
こうして各々が今後のことを考えながら日が暮れていった。
後日カルラのスキル内容を試した結果、アスランが思っているよりも凄い内容だった。
カルラにはすこし考えさせてくれと伝え、カルラのスキルを今後どう扱うか悩むアスランであった。
アスランは考える日々を送り、気付けばパレード目前となっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます