133話

ついにパレード当日となった。


王都の門の前ではグラス領の騎士団や冒険者達が隊列を組んでソワソワしていた。


配置は騎士団が先頭を歩きその後ろに豪華な馬車が続く。

馬車の上では、ヒイロ、アーク、ローランドが見世物となる。

続いてその後ろを冒険者達が歩く。同じくその後ろに豪華な馬車が続き最後に精鋭騎士団となっている。

2台目の豪華な馬車にはエリーナ、アミリア、クロード、そしてアスランが見世物となる。


この行列が王城までの道をパレードと称して進んでいく。


騎士団達はこれが仕事だと言わんばかりに凛々しい顔をしている。

しかし冒険者達は浮足立っている。


「これからパレードだけどワクワクしてきたな」


「俺達なんてパレードのおまけだよ」


「確かにそうだろうけど、注目を浴びるのって楽しくないか?」


「ええ、そうね。冒険者が注目をされるのなんて高ランク冒険者だけですもんね」


「違いねぇ、でも昨日の宿屋は良かったな。この待遇を受けれるだけで来たかいがあったよ」


こうして冒険者がすこしずつ緊張していくなかパレードは始まった。


門番の開門の号令と共に門が開かれた。


門が開かれた瞬間凄い光景が広がっていた。


王都の兵達が整理しながらも続く一本道の周りには人、人、人が溢れんばかりに集まっている。


終わりの見えない人の群れがパレードを見つめていた。


その周りには屋台が立ち並び、お祭り騒ぎの状況が見てすぐに分かる。


そして騎士団が最初に歩いていくと凄い完成が沸き起こった。


「キャー、かっこいい~」


「僕もいつか騎士団に入りたい」


「へぇ~、一糸乱れぬ行軍とは凄いな~」


憧れで見る子供や尊敬の眼差しで見つめる若者など様々だ。


その状況に騎士団も満更でもない。


そして、その後ろの豪華な馬車が見えると凄い歓声が飛び交った。


「おい、あれが軍師様か?」


「そうだろう。若いのに凄いわよね」


「今回の戦略がなければ街は守れなかったって聞いたぞ」


「私は大規模魔法で川を凍らせたって聞いたわ」


「凄いな。でも俺は騎士団長の言葉に痺れたぜ」


「幾度となく盛り上げ窮地を救ったと聞いたぜ」


「ああ、確かに。愛する者のために…か。かっこいいよな」


「誰もが尊敬する中一人だけ違う声援が聞こえてくる」


「キャ~~、ローランド様カッコイイー。」


「ローランド様結婚して~~~」


「ローランド様一回でいいので抱いて下さい」


もちろん最前線で活躍したローランドの賛辞の声もあるが女性の悲鳴にかき消されているのだ。


その完成を受けてローランドは納得していない。

「何でお前らばかり称賛されてるんだよ。一番危険な場所で頑張った俺にも賛辞をくれよ」


「黄色い声援の方がいいじゃないか」


「そうだぞ。俺なんて何もしてないのにここで賛辞を受けないといけないんだぞ。心が痛むんだぞ」


「ハハ。まあ、王も首領も事実を知っても尚褒賞を受け取れって言ってくれてるんだからいいじゃないですか」


「俺の名声はずっとついてくるんだぞ、胃に穴が空くわ」


「辺境の地に天才軍師有と伝われば、周りもちょっかいをかけてこなくなるのが狙いなので」


「知っているからこそ渋々報酬をいただくんだ。簡単な気持ちで名前だけの参謀なんて役職受けるんじゃなかった。アスランのやつとんでもない知略を考えやがって。俺が考えれるのは1割程度だぞ」


「まあまあ、せっかくなのでこのパレードを楽しみましょうよ」


「そうですよ、一生に一度あるかないかですよ」


「うっ、そうだな」


こうしてヒイロは豪華な場所の上で様々な顔をさせながら参加した結果、偉大なる軍師はパレードの最中も知略を回らせていると評判になっていた。


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