128話

宴が終わり、グラス領では東側の修復や立て直しを急務で行っているころ、王都でも大臣達が忙しなく働いていた。


大臣が国王に報告している。

「グラス領の復旧や魔物の警戒や身辺調査を考慮してパレードの日程を選定しております。しかし、褒賞の方が難航しております。」


「ああ~、どうせアスランの褒章で悩んでいたんだろう?パレードの前に王城に来させて話をするから決めなくていいぞ。それ以外の褒章一覧だけ見せてくれ」


「ハッ。こちらになります」


「問題ない、そのまま進めてくれ。後、パレードはエリーナも参加するから盛大に頼むぞ」


こうして着々とパレードの準備は進み、グラス領の冒険者ギルドでも告知されるようになった。


「おい、王都のパレードは参加するのか?」


「ああ。宿泊費と交通費はタダだからな」


「ならお前も受付に行って札を貰ってこいよ」


「ああ。でも俺達がパレードに参加できるなんて…夢見たいだな」


「死ぬかと思ったけど、今となっては参加したことを誇りに思うよ。報酬も凄く良かったしな」


様々な冒険者達がこの話題で沸騰している。


実は冒険者達を無償でパレードに参加させる理由が王都にはあったのだ。


いつスタンピードが起きてもおかしくない世界だからこそ、冒険者には地位の代わりに脚光を浴びてもらい話題性を作り、命がけの戦いに次回も参加してもらうように企んでいるのだ。経費は惜しいが街の命には替えられないからだ。


いくつもの思考が蠢き合いながらパレードの準備は進んだ。


グラス領ではアスランが街の声を聞いていたら悲しい内容があった。


なんとスタンピードを一致団結して戦っている最中に空き巣や婦女暴行などを起こした者がいたそうだ。なんでもこの街が助からないと思い最後にいい思いをしようとした者や窃盗して他の街に逃げようとした者が多くいたと言う。


アスランは首領(エミリアの父)にグラス領としての褒賞の件で呼ばれていたのでその時に欲しい褒賞を遠慮なく伝えた。そしてあっさりと許可がおりた。それだけでは報酬が足りないと言われ宝石や調味料、そして珍しい武器までもいただいたのだ。


そして頼んでいた褒賞を今は頂いているところだ。


アスランは一人一人目を見て伝えた。

「その腐った性根を叩き直してやる。歯をくいしばれ」


そう言うとアスランは魔力は使わずに全力で顔を殴った。


その後何故かソフィアまで罪人の顔を平手打ちをしだした。


多くの者を殴ったアスランの拳やソフィアの手の平は真っ赤に腫れている。


その結果、効果は絶大で平手打ちをされた犯罪者の一部は泣きながらソフィアを拝んでいる者がいたほどだ。アスランに拝む者はいなかったとだけ伝えておこう。


この一連の褒賞からの出来事を聞いた民衆は神の裁きと聖女の雷として話題となりグラス領での二人の人気が凄いことになっていた。


そんな矢先に王都からパレードの前に一度王城に気て欲しいと言付かったので、アスラン達はそそくさと王都に向かったのである。


もちろんこの時にアスランはスキル吸収を使い一つのスキルを手に入れていた。


スキル名 ・ 「進化」

効果:進化出来るスキルがある場合、上限に達している場合は進化することが出来る


一般の人にとってはスキルは少なく、進化出来るスキルに遭遇する方が珍しいので死にスキルと言われていた。


しかし、アスランのスキルの中に一つだけ進化可能なスキルがあったためこのスキルを選んだのだ。もちろん今後にも期待してとだけ伝えておこう。


ちなみにスキルについて一つだけ謎があった。

それは何故ブラックドラゴンのブレスを吸収できたのか?アスランは仮説としてフローズンがアスランの体の一部として扱われ、ブラックドラゴンのブレスも同様な事変が起こったのではないかと考えいる。ちなみにどんなに試してもそれ以降魔法は吸収出来なかった。もちろん自分でくらった場合も試したが吸収しようとする前に痛みを伴い意識がついていかなかったのだ。


さらにはこのブラックドラゴンのブレスを吸収したことで一つのスキルが手に入っていたのだ。

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