127話

盛り上がっていた宴もついに終わりが近づいてきた。


飲めや歌えとどんちゃん騒ぎだった街も騎士団や冒険者達は酒が進むにつれて寝る者が多くなってきたからである。


考えてみれば一日中戦闘を行っていたのだから疲労はピークに達し、とっくに限界だったはずなのだから。


そしてアスランも仲間達に心配されながらも楽しいひと時を過ごしていた。


そんな矢先にアスランに近づく者がいた。


アスランは近づいてくる者に話だした。


「へぇ~、姿も変えられるんだね?」


アスランの言葉に周りにいる者は緊張させ、一瞬で身構えた。


「おや、判るのですね?そう構えないで下さい」


「ああ。まあ姿を変えれる方がこちらは有り難いからいいさ。それよりもソフィアに用事か?」


「もちろんソフィア様にも用事はありますが、貴方に聞きたいことがありまして」


「そうか。俺はアスラン。まずは魔族の執事服が似合っている貴方の名前を聞いても?」


執事服の魔族と聞いて周りも警戒を解いていた。


「私の名前は…、昔の名前は捨てたので主になられるソフィア様に決めていただければ」


「ちょ、ちょっと待ってよ。なんで私が主になる前提なのよ」


「おや、ダメでしたか?私の能力が足りませんでしたか?」


「いやいや能力って。私はただの一般人よ。それなのに私が主人って可笑しいでしょ」


「魔族のほとんどは強い人に従います。しかし私は貴女様の心の優しさ強さに感服したのです。なので是非とも貴方様の執事として側で役に立ちたいのですが…?」


アスランは黙って聞いている。


「アスランも何か言ってあげてよ」


しょうがなくアスランは口を開いた。

「聞きたいことがあるって言ってたけど先に一つだけ聞いてもいいかい?」


「ええ、もちろん」


「ソフィアに助けられたって言ってたけど、内容を聞いてもいいかい?」


「そうですね~、簡潔に言ってしまえば深い傷を負い命の危機に差し迫った状況で魔族と知った上で回復魔法を使っていただいたのです。その時に会話した内容は生涯忘れないでしょう。」


「その会話も簡潔に聞いてもいいかい?」


「ええ。しょうがないですね。これはソフィア様がまだ小さい時でした。私が同族と争った時に致命傷を負いながら逃げた先にソフィア様が一人でいたのですが、私を見てすぐに回復魔法を放とうとしたので、死にゆく私は《魔族に関わると貴女が大変になるからもう行きなさい》って言ったんです。そしたらソフィア様はなんと…。」


皆は固唾を呑んで聞いている。


「なんと…。」


「気になるから早く教えてにゃ」


「フフ。ソフィア様は人の命に魔族も人間もない。貴方を助けて大変になるなら全て抱えて治してやるって言ったんです」


皆がソフィアを見て瞬きをしている。


ソフィアは照れて何も言わない。


「確かにカッコイイ内容だな。それでソフィアの執事になりたいと?でも何故執事なんだ?」


「主に忠実に従い影から支える執事の本を読みまして、その本の様な執事になって役に立ちたいと思いましたので…」


「本当に魔族?まあいいや、決めるのはソフィアだし」


「ちょっちょっと~、私はアスランの旅について行くんだからアスランにも関係あるでしょ?」


「あぁ~。それは困ったな。でも、今回見たいに一人では対処出来ない場合は助かるしな~、カルラどう思う?」


「アスラン様にも忠誠を誓えるなら有だと思います。飛翔族は空も飛べるので戦力以外にも有能ですので」


「って言ってるけどどうする?」


「私の質問は元よりソフィア様とアスラン様が一緒に行動するのか聞きたかったのです。ドラゴンと戦うアスラン様を見て強き者として惚れこんだのですから。ただ第一の主はソフィア様だったので、二番目としての忠誠で良ければ喜んで」


アスランは呆気にとられている。


皆も呆気にとられていたが、一人だけ凄い勢いで喋りだした。


「アスラン様の第一の忠実なしもべは私ですからね。どんなに有能でも譲りませんからね。それに…。」


「もちろんです。共に支えていければと考えております」


「君魔族っぽくないね。名前がないと不便だから早くソフィア決めて」


「え~~~。結局話が最初に戻ったし。もうバトラーでいいわ」


こうして執事服の魔族の名前はバトラーに決まりアスラン達の仲間となった。

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