124話

アスランがやっと笑みを浮かべクラリッサと話しているとクラスメイト達が駆け寄ってきた。


「ねぇ、アスラン?本当に心配したんだからね」


「心配させてゴメンねエリーナ」


「アスランのことだから絶対に大事件が起こると思って、元Sクラス全員に声を掛けて急いできたんだからね」


「来てくれてることは途中で聞いてたから知ってたけど本当に助かったよ」


「アスラン様、この度は私の街を守っていただき有り難うございます」


「いきなり改まってどうしたのエミリア?」


「感謝の気持ちはしっかりと伝えときたかったので」


「そう。どういたしまして。でも貴族のみんなが最前線まで駆けつけるとは思っていなかったからビックリしたよ」


クロードが誇らしげに話してくる。

「クラスメイト全員無理言って親から選りすぐりの私兵を準備させて応援に駆け付けたからね」


「よく貴族の私兵を出すことが許されたよね?」


「バカ、かなり無茶したんだぞ。魔物の群れが集まっているって状況だけでスタンピードが確実かも判らない中、他の街に私兵をだしてもらうのにどんなけ苦労したことか…。」


「フフ。クロードったら。絶対アスランのために死んでも説得するって言ってたもんね」


「バカ、その話を本人の前でするな、恥ずかしいだろう」


アスランは仲間の存在に感謝している。

「でもそのおかげで街は救われた。本当に感謝してるよ」


クロードは照れ隠しでなにも喋らない。

「私はお父様に頼み込んだら、行ってこいって簡単に言われたわよ」


「本当に変わってるね、この国の王様は…。王女を簡単にスタンピードが起こるかもしれない街にいかせるんだから」


「自慢の父よ。そのおかげでみんなと一緒に助けにこれたもの。これでSクラスの伝説の一歩が始まったわよ」


「大袈裟だな~、伝説って…。」


「あら知らないの?一番に駆けつけた第1兵団は皆Sクラスだった者の私兵よ。その後からは王女が戦場に向かったと聞いて体裁を考えて派遣する貴族って感じよ」


アスランはこの事実は知らなかったのか驚いている。


「やっとアスラン様の驚いた顔が見れましたわ。それにエリーナは今や王国で噂が絶えない程の知名度があるもんね」


「え、噂?それ聞きたいな」


エリーナはアタフタしている。

「エミリアそれは言わないで」


エミリアは黙ったが、面白そうにクロードが語りだした。


「他国から政略結婚の話がでて、王様は全てエリーナ自身に任せているから本人を納得させるか惚れさせれば了承すると言ったらしい。それを知った他の国達は王子達を一斉に派遣したんだよ」


「ク、クロード、その話はもういいのよ。今は宴でしょ」


「ほら、やっとアスランが元気になって目を輝かせてるんだ、このまま話は終わらせられないだろう。」


「もう、知らない」


クロードはニヤリとし、エリーナは照れながらソッポを向いた。


「それで、それで?」


「王子達は自慢のお土産と共にいかに自分が凄いかを饒舌に話ながらエリーナを口説いたそうだ。」


「あ~、エリーナの逆鱗に触れたんだ」


「正解。貴方達は自分のことしか考えていないの?私を納得させるなら自分の国の良さや街の政策を話しなさいよって。民あっての国だって貴方達は解っているのって激怒したそうだ」


「エリーナらしいね」


「だろ。そのことが住人に知れ渡り、エリーナの知名度と人気は凄いことになってるそうだ」


「そうね、学校の外に顔を見せただけで「キャー、エリーナ様」って言われてるもんね」


「ねぇ、みんなそのへんにしない?」


エリーナは照れながらモジモジしている。アスランの様子が気になるのかチラチラ見ている。


「流石はエリーナ。いつまでも君が変わってなくて嬉しいよ」


アスランの言葉を聞いてエリーナは顔を真っ赤にさせ喜びながらも照れている。


こうして友と語らうことでアスランは前向きな気持ちになっていった。


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