119話

魔族SIDE


魔族の男がイライラしながら話している。

「おい、ベリス。街の陥落の報告はまだこないのか?」


「まだスタンピードが始まって1時間よ。そんなにすぐには陥落しないわよボルフライ」


そう飛翔族の男女二人が今回の首謀者なのだ。


「お前のスキルでちゃんとスタンピードは目的地に誘導できているのだろうな?」


「心配ならご自慢の羽を使って見てくれば」


「待つのは性に合わん」


「うるさいわね~、黙っててくれない」


そんな話をして待つこと5時間。


「おい、いい加減遅くないか?もう始まって6時間は経つぞ」


「そうね。これは予想外ね。スタンピードは間違いなく街に行っていると報告を受けているから、騎士達がよほど頑張っているのかしら」


「大丈夫なんだろうな?あのお方の指示だから、何かしらの戦果を上げないと後が面倒くさいぞ」


「そうね。まあ15万もの魔物と戦える戦力はあそこにはないから大丈夫よ」


「ふん。あと待っても3時間が限界だ。それまでに陥落の報告が来なかったら俺は行くぞ」


「ええ。なら私もその時は一緒に行こうかしら」


そうして3時間後。


「流石に我慢の限界だ。様子を見にいくぞ」


「そうね。これは異常だわ。報告の者が亡くなっているとかかしら?」


「行けばわかる。早くいくぞ」


「ええ」


そしてベリスとボルフライは戦場へと飛んで向かった。


そして戦場に駆け付けた時には異様な光景を目にした。


「歌が聞こえたと思ったら、次は兵がギリギリで耐えだしたぞ」


「ありえないわ、何時間経っていると思ってるの」


「おい、向こうから増援が来てるぞ…どうする?」


「このままじゃ戦果が望めないわね…、あ、向こうの増援部隊だけ雰囲気が違うわ…あの増援部隊の向かってる先にバレないように近づくわよ」


「おう」


魔族は上空から様子を伺っている。


「貴方の鑑定で何かわからない?」


「お、嘘だろ。第4王女がいるぞ」


「運がいいわね。もう一人標的を決めましょう」


「他にも貴族の子供がいるが、なんだ?鑑定できないやつがいる」


「隠蔽スキルが高いのでしょう。念のためそいつにしましょう」


「おお。周りの兵も他よりレベルが高いし、これ以上ミスできないから、かなり魔力を込めスピード重視にするぞ」


「ええ、そうしましょう。合図は任せるわ」


「分かった。詠唱はすんだな…いくぞ、3,2,1」


二人は同時に魔法を放ち、まもなく戦果を達成できることを確信し高笑いしている。


そして、魔力のこもった魔法がアスランとエリーナへと向かうのであった。






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