就寝

鼓膜騒音

眠る

目を瞑る、頭の上に眩い光が現れる。太陽を見た時のような幾つもの直線が散りばめられたような光で、私の頭上を覆いそれは日々変化する。

昨日はたしか青い光、今日は何色でも良い、そうだ白い光にしよう。



光は私の頭から体内に侵入し、徐々に足先に流れ私は光と一体化する。

陽の光の下で瞼を閉じた時のように私の体は光で透ける。



深呼吸をすると、木々やあらゆる生命から澄んだ気を吸収することができる。



心が落ち着いたら階段を降りる。

目の前には階段しかないのだ。

その階段はとても美しい、周囲が暗いわけでも階段が明るいわけでもない。

ただただ階段しか見えない。

真っ直ぐ下に伸びる階段を私はひたすら降りて行く。そこには苦痛も喜びもない。



降りた先は芝生で、私は素足で少し湿った芝生に降り立つ。

そこはいつも晴れていて、幅の狭い川が流れている。

視線を前に向けると背の低い一本の木が川の横に生えている。

私はいつもその木の下に座り川を眺めたり、寝転んで木の間から覗く空を見る。

ここには私しかいない自分だけの世界。



しばらくすると誰かが私を呼ぶ。

誰かは声ではなく、直接私を呼びかける。

それが心地よく、私は光と共に上の方へ行く。



私の体は地上から離れ何もないどこかに光に纏われ浮遊している。

そして私は自分を見る。

過去の自分だ。



突然耳元で不快な音が流れる。

朝がきた。

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