銀髪美少女との336時間

第1話 クズ人間な主人公

「私......」




 ある日の放課後、俺は彼女の秘密を知ってしまった。






◇◇◇◇




 朝、学校へ着くとクラスメイト達がざわついていた。


チッ...朝っぱらから本当にうるさい、このKUSO猿共が。




 と思っていた矢先、一人の男子生徒が近づいてくる。




 「おはよう!北沢君。」




 「おはよう!田中君。」




 俺に挨拶をしてきたこいつはクラス委員長の田中智一という。


ぱっと見THE田中って感じだ。




 俺は元気よく、笑顔で挨拶する。


けれど心には込めずに、上辺だけの挨拶を。




 単刀直入に言おう。俺はこいつらが嫌いだ。


嫌いで嫌いでたまらない、こいつらの笑顔を見るだけで虫唾が走る。


人の笑顔、幸せが気に食わない。逆に言えば人の泣き崩れた表情、絶望、僕はそれらが大好きだw。




 俺、北沢紘大がどうしてこんな性格になってしまったのかなんて分からない、ごく普通の家庭に生まれ両親からもたくさんの愛情を注がれてきたはずだ。


もちろん両親は俺のこの性格については何も知らない。




 『神は二物を与えず』という言葉を聞いたことがある。


勉学、運動、ある程度整っている容姿、どうやら俺は人の目に映るものばかり神から注がれ、付加価値として、体の内側に潜伏している、極悪な性格までも受け取ってしまったらしい。


だけど俺はこんな自分を気に入っている。


大収穫だ。




 しばらくすると担任の教師が教室に入ってくる。




 「みんなさんおはようございます。席に着いてください」




 「それと本日は転校生を紹介します。」




 クラスメイトたちが騒ぎ出した。


どうやら先程のざわつきは転校生のことについてらしい。




 廊下から一人の女子生徒が入ってくる。


彼女が教室に入ってきたとき、クラス中が異様な空気に包まれた。




 「本日からこの学校に転校してきました、ネウイミナ・新谷・レイラと申します。父がロシア人で母が日本人、この髪色は父親譲りです。最近引っ越してきたばかりなのでまだ分からないことが多いですが、仲良くしてくれると嬉しいです!」




 男子共が万雷の雄叫びをあげている。


女子達に関しては転校生の圧倒的なまでに整った容姿に絶句している。


月と鼈。いや、月とゾウリムシだな。




 確かに...男子達が喜ぶ理由にも頷ける。


人の容姿に全く関心のない俺でも彼女の容姿は優れていると理解できる。


肩まで伸びた銀色の髪にシミ、ニキビが一つもない卵のような白い肌。


堀が深く、二重で大きな蒼色の目、日本人離れした高い鼻。


プルッとしていて程よく赤みがかった唇。




 そしてなんと言っても強調された二つの丘。


大事なことなのでもう一度言おう、なんと言っても強調されたお〇ぱいだ。


*ここテストにでます。




 「それじゃぁネウイミナさんの席は北沢君の隣ということで。ついでに学校の案内、設備などの説明もよろしくね!」




 隣の席が空いていることに少し嫌な予感がしたが、まさか当たるとは思わなかった。


まぁ普段からこんな性格だからな、雑務が回ってきても仕方がない。




「わかりました、任せてください。」




 それに男子たちの視線が痛い。


まるで親の仇のような目でこちらを睨んでくる。


まぁいい、今日は何も予定がなかったからな、放課後にでも案内を済ませて直ぐに帰ろう。




 「よろしくお願いしますね。北沢君!」




 「あぁ、よろしく。」




◇◇




 6限までの退屈な授業を乗り越え放課後になる。




 「ネウイミナさん、これから学校の案内をするけど大丈夫かな?」




 「はい、大丈夫ですよ! よろしくお願いしますね。」




 天使のような笑顔で答える。


と、その瞬間誰かが倒れた。


どうやら男子達には致命傷らしい。


立ち眩みでバランスを崩す生徒、白目をむき出にしコ〇インでも服用しているかのような生徒、中にはトイレへ駆け込む生徒までいる。


これ以上深堀するのはやめておこう。




 女子生徒達に関してはあまりにもだらしない男子の姿に嫉妬さえできない。


あまりにもの惨めさに自然と口角が上がってしまう。




 滑稽だなW




 そんなことよりも早く案内を終わらせよう。


俺たちは教室に配置されている瀕死状態の複数のオブジェクトを避けて出口へ向かう。




 「ここが図書室ね、本を借りる時は生徒手帳を提示するように。」




 「ここまでで何か分からいことはある?」




 「少し気がかりなことはありますが大丈夫です。」




 「気がかりなこと?」




 「気にしなくて大丈夫です。」




 よし!やることはやった、とっとと帰ろう。


帰ってから消化しきれていない小説を読まなければいけない!




 「じゃぁ僕の仕事は終わったから帰らせてもらうよ。」




 幸せいっぱいの気持ちで帰れると思ったが、この後の彼女の一言で俺のご機嫌メーターが急降下してしまった。




 「あの!この後って時間ありますか?」




 「もしよかったら案内をしてくれたお礼がしたいんです!」




 思ってもいなかった彼女から言葉に俺の思考が停止する。


一体何を言っているんだ?この女は


僕の貴重な時間を奪うつもりなのか。




 「悪いけど帰らせてもらうよ、家に帰ってやらなきゃいけないことがあるんだ」




 「少しだけでいいんです。待ってください。」




 俺は彼女の言葉を無視して帰路につく。


彼女は帰り際何か言っていたようだが気にしないでおこう。


































 「あなたなら大丈夫だと思ったのに...




  私の秘密を教えても。」

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