線香花火

tvk@fk

(2:2 声劇台本)


【役表】

凛:♀

涼:♂

オーナー:♂

舞:♀





凛「じんぐるべーるじんぐるべーるすずがなるー」


涼「この真夏にクリスマスの歌歌ってるの姉さんだけだよ」


凛「いいじゃないかーせっかくキャンプに来たんだしさー!テンション上げないと損だよ!涼くん!」


涼「キャンプなんてしょっちゅう来てるでしょ、春も夏も秋も冬も…」


凛「まぁね!それはそうとして、ここは変わる気がしないねぇ…ずっとこんな感じ」


涼「そうだね、お客さんも僕ら以外がいるとこ見たことないし」


凛「やぁやぁ、今日も客の入り悪いねー!ってことで受付よろしくっ!」


オーナー「相変わらず失礼なやつだな、客だからってなんでも許すと思うなよ?ほい、ここに名前書きな」


凛「はい!私書く!山井…凛…っと」


涼「ま、そう言っても出禁にしないのはオーナーの優しさかな?」


オーナー「ばか、うちは客が少ないからお前らがこないだけでも致命傷なんだよ」


涼「ついに認めた」


オーナー「仕方ねぇ、事実だ」


凛「…!?嘘…でしょ…こんなことって…どうして!やだよ!こんなことありえない!」


涼「ん…露骨なアピールしてどうしたの姉さん」


凛「だって…ここに…この紙に私たち以外の名前が!!!」


涼「いやいやそんなわけ…マジかよ」


オーナー「はっ!今日はお前ら以外にもちゃんと来てんだよ!いやー俺のキャンプ場も、有名になったってことかぁ!」


凛「いやそれは無い」


オーナー「なっ!」


涼「えっと…こんなキャンプ場に来る酔狂な人、会えるかな…会えるか、狭いし」


凛「そうだね!狭いし」


オーナー「お前ら姉弟揃ってなぁ…」


涼「じゃあ僕らはそろそろテント立ててくるからじゃあねオーナー」


凛「またね!」


オーナー「おう、楽しんでこい」



凛「こらー!サボるなー!ちゃんとテント立てろー!ひとりじゃできないの知ってるよね!」

涼「別にいいだろ?姉さんはキャンプ上級者なんだから」


凛「良くない!男手ないの無理!かもん!」


涼「はいはい…でも面倒だなぁ…」


舞「…あの…お手伝い…しましょうか?」


凛「…天使が来た…」


舞「えっ!天使!?………もしかして…私の事ですか…?私なんか…その…天使だなんて…」

涼「…私なんか…って…何言ってるんですか、あなたは十分綺麗ですよ」


舞「…あ、ありがとう…ございます…」


涼「お名前…聞いてもいいですか?」


舞「はい…えっと…苗字が森で、名前が舞…と言います」


凛「うわでたよ!すーぐ女の子口説こうとする」


涼「姉さんはちょっと黙っててくれる???」

舞「口説こうと…って…えっと…どういう…?」


凛「こいつね!色んな女の子口説き落とそうとするんだけどできないの、笑えるでしょ!」


涼「これ以上余計なこと言うとテント立てないけど?」


凛「あー!ごめんって!でもどうせ成功しないんだし良くない?」


涼「だからそれ以上言うと!」


舞「ふふっ…」


凛「ん?」


舞「いえ…お二人の会話が…楽しくて…ふふっ…仲のいい姉弟…羨ましいです、一人っ子なので…ふふっ」


涼「姉さんのせいで笑われたね」


凛「いや涼くんが口説こうとするからでしょ」


舞「お二人が笑わせるんですよ」


涼、凛「……」


舞「それじゃ!テント立てましょう!」


涼「そ、そうだね!姉さん!早くしよ!」


凛「なんで涼くんが急かすかな!」


舞「いいな…私も、二人で来る予定だったんだけどなぁ…」


凛「ん、舞ちゃん何か言った?」


舞「いえ、なんでもないですよ」


涼「…んー舞さん、テント持ってきた?」


舞「もってきてないですね、私、コテージ予約したので」


凛「やめといた方がいいよ!」


舞「え?」


凛「私たち泊まったことあるけど、狭くて汚くてエアコンついてないんだよ!」


涼「それに!オーナーの趣味の悪い服とかクローゼットに大量にあるし!」


オーナー「おい、ボロクソ言ってくれるじゃねぇか、せっかくお前らが欲しいって言ってたラージメスティン持ってきてやったのによ…3000円だぞ!3000円!それも二個!」


凛「やった!前のやつ踏んで壊しちゃったんだよね!いやーやっぱりオーナーは最高だねー!」


オーナー「お前…いきなり手のひら返しすぎだろ」


舞「ラージ…メス…ティン…ってなんですか?」


涼「メスティンっていうのは、かなり幅広い料理ができるアウトドアグッズだね、一時期話題になったけど…知らないんだね、舞さん」


舞「はい…私、料理とかあんまりしないので…」


涼「へー、意外だなぁ、二人ともメスティンに夢中だから僕だけでテント立てるかぁ…あ、舞さんはあっちの様子見てていいよ」


舞「では…お言葉に甘えて…」


凛「私貝とかご飯持ってくるね!」


オーナー「まずは…火種を作って…と、よし、ついた」


舞「わ!すごい手際いいですね!慣れてるって感じ、かっこいいです!」


オーナー「だろー?やっぱキャンプはみんなで火を囲んだりするのが醍醐味だよな」


凛「持ってきた!パエリアするよ!」


舞「パエリア…!懐かしいなぁ…」


オーナー「お、舞さんはパエリア経験者か、ちなみに俺は食ったことないからな、楽しみだ」


凛「オーナーのことなんて誰も聞いてないよ?」


オーナー「ぐっ…」


涼「ふぅー…終わったぁ…ん、パエリアかぁ」


凛「よし!準備終わり!まだ食べれないからね!…んーでも、この待ち時間暇だなぁ…そうだ!舞ちゃんについて色々聞きたいな!」


舞「えっ!私ですか!?私なんて…つまらない女ですし…」


涼「僕は…舞さんに興味あるけどな…」


オーナー「お、口説いてんなぁ」


涼「うっせ!」


凛「ほら、涼くんもこう言ってるし、無理にとは言わないけど教えてほしいな」


舞「はい…わかりました!名前は森 舞で、20歳になったばかりです!キャンプは初めてなんですけど、オーナーさんが優しそうなここを選びました!」


オーナー「やっぱ、見る人が見れば俺の魅力はわかるんだな!」


涼「うへぇ」


オーナー「おい」


凛「そ!それよりも舞ちゃん、私より年上!?」


舞「はい、ずっと、年下の子にちゃん付けで呼ばれちゃってるって思ってました」


凛「し、失礼いたしました…」


舞「ふふっ…大丈夫ですよ、凛さん」


涼「姉さん、いつの間に名前教えたの?」


凛「あ、そういえば名前教えてなかったよね」


オーナー「すまん、俺が教えた、あとからお前らが来るって話したらどうしても仲良くなりたいって言って聞かなかったんだよ」


舞「ちょ!オーナーさん、言わないって約束でしたよね!」


涼「つまり僕の自己紹介は気づかれないためのカモフラージュのためのものだったのか…!」


凛「まんまと利用されてやんの!」


舞「利用なんてそんな!ちょっと…扱いやすそうだと思ったのは事実ですけど…」


オーナー「ははっ!言われてんじゃねぇか!」


涼「ぐぬぬぬ…」


凛「お、もうそろそろかなーっ…と」


舞「パエリア…美味しそう…!!」


凛「私特製だからね!美味しいよ!」


オーナー「凛の料理はマジでハズレがねぇからすげぇよなぁ」


凛「ふっふーん!もっと褒めたまえ!」


涼「パエリア見てみよっか」


凛「ちょ!無視!?」


オーナー「よっし、食うか!プラスチックスプーン用意!」


涼「はい!」


凛「はい!」


舞「え!?…は、はい!」


オーナー「では!この世の全ての食材に感謝を込めて…いただきます!」


涼「いただきます!」


凛「いただきます!」


舞「い、いただきます!」


オーナー「おー!うめぇ!」


涼「うん…すげぇ美味しい…」


舞「はい…!シーフードの味がなんとも言い難い美味しさを…!!それに…少し懐かしい…?」


オーナー「しっかし既製品とは思えねぇ味だよなぁ、企業努力ここに極まれりって感じだ」


涼「まぁ、姉さんの料理は基本的に楽をして美味しく食べたい願望から生まれてるからね、なになにの素、とかすごい買ってくるんだよ」


凛「ふふっ!舞ちゃんの懐かしさはこの素を使ったパエリアを前にも食べたことあるからかもね!1ヶ月前発売の新商品なんだけど」


舞「そうだったんだ…」


凛「じゃ!夜まで自由行動!舞ちゃんは私と一緒のテントで寝るように!」


舞「でも…それじゃ凛さんのご迷惑に…」


凛「大丈夫だよ!それに汚いコテージか」


オーナー「おい」


凛「チャラい年下男子がいるテントか」


涼「おい」


凛「超絶美少女のいるテント、どれがいい?」


涼「自分だけ良いようにしてる」


オーナー「発想が子供なんだよなぁ」


凛「うるさい!で、どれがいい?」


舞「超絶美少女のいるテント…かな」


涼「誘導してる」


オーナー「こうやってまた一人犠牲者が」


舞「大丈夫です!凛さんのことは信じてます!」


凛「ほら!舞ちゃんもこういってるし!」


涼「舞さん…覚悟しといた方がいいよ…姉さんの寝相…凄まじく悪いから」


凛「涼くん?なぁに余計なこと言ってるのかな?」


オーナー「ま、舞さんがいいならいいけどな、

そんじゃ、俺は事務作業やって釣りするかぁ」


涼「僕は一度山の下まで降りて色々買ってくるよ、何か欲しいものあったら言ってね」


凛「カルピス!マシュマロ!チョコ!いちご!」


オーナー「俺は塩系の菓子だ、なんでもいいぞ」


舞「私は…大丈夫です」


涼「ほんとにいいの?こんな図々しい二人いるのに!?遠慮しなくていいんですよ?」


舞「えっと…では少しお言葉に甘えて…その…キムチ…をください」


涼「お、ピリ辛が好きな子かぁ…いいね!それじゃ行ってくる!」


オーナー「いってらー、じゃ、俺も行ってくるわ」


凛「いってらー、じゃ、私も…どこ行こうかなぁ…舞ちゃんどうする?」


舞「私は…凛さんについていきます!」


凛「そう言われるとなぁ…そだ!泳いでみよっか!オーナーが釣りに行った川、泳げるんだよ!」


舞「いや…でも私、水着持ってないですし…」


凛「大丈夫!私は持ってきたし!涼くんに水着買ってきてもらえば完璧!割とすぐ戻ってくるだろうからね!」


舞「そ…そうですか」


凛「スリーサイズ教えて!」


舞「…え?」


凛「だから、スリーサイズ!水着買う時にさ!」


舞「お、教えません!泳がなくていいですから!お話しながら待ちましょう!」


凛「むぅ、舞ちゃんのいじわる…」


舞「危ないところだった…」



涼「暗くなってきたなぁ…オーナー、預けてたやつ持ってきて」


オーナー「おい使いっ走りさせんな自分で取ってこい」


涼「けっ、やっぱオーナーはこれだからモテねぇよなぁ」


オーナー「余計なこと言わずにとってこい」

涼「うぃーっす」


凛「ここって打ち上げってOK?」


オーナー「ダメに決まってんだろ、森近いんだぞ」


凛「確かにそうだねぇ…線香で我慢しよっか」


舞「もしかして…花火、ですか?」


オーナー「そうだな、涼が降りた時に買ってきたんだよ」


涼「舞さんの喜ぶ顔が見たくってね、きっと笑顔になると思ってたから」


凛「もう諦めなよ、舞ちゃんは涼くんみたいな露骨に狙いに来てるのは少し引いちゃうんだって」


涼「な!?姉さんてきとうな事言うなって」


凛「てきとうじゃないよ?ね、舞ちゃん」


舞「…あ、あはは、大丈夫です!引きましたけど良い人だとは思ってますから!」


涼「ぐはっ…」


オーナー「やられてんじゃねぇか、やっぱ主張しすぎるとダメだな、お前これで何回失敗したよ」


涼「数えたくない…」


オーナー「ま、気を取り直して花火すっかぁ」

凛「いぇーい!きーみーがーいたなつーはー!」


涼「遠い夢の中…」


オーナー「そーらーにきえてった」


舞「……」


凛「舞ちゃんどしたの?歌わないの?」


舞「えっ!あっ、はいなに歌ったらいいですか!」


オーナー「別に強制ってわけじゃないからな」


舞「そ、そうでしたか、すいません」


涼「いいんですよ、それじゃ、花火しよっか!」


凛「改めまして…どどん!線香花火セット!」


オーナー「線香花火な、きっちり石のところでやれよ、それと水バケツ忘れんな」


凛「わかってるって!ということで涼くん水汲み行ってらっしゃい!」


涼「やだよ姉さんがいけよ」


舞「凛さんだとお水の入ったバケツは少し重いのでは…」


凛「そうだそうだ!力があるやつがこういうことはやるんだぞ!」


オーナー「人に押し付けようとしたから自分に返ってきたんだよ、諦めていってこい」


涼「はぁ…それじゃ、行ってくるわ」


舞「それにしても花火懐かしいです、子供の頃以来…」


オーナー「お、そうなのか、久々にする線香花火の感動はすごいぞ?」


涼「ただいま」


凛「はやっ!?」


涼「よし、はじめよっか」


舞「楽しみです…」


オーナー「準備はいいか?いいよな!じゃあロウソクに火付けんぞ!」


凛「おー!」


舞「わっ!思った線香花火と違います!」


涼「すごいド派手だね!どんどん火が噴き出してくるみたいだ」


オーナー「よし、俺もつけるぞ!」


凛「ぱちぱちぱちって!ぱちぱちぱちって!」


涼「姉さん語彙力」


舞「久しぶりの花火…こんな綺麗なんだ…」


凛「お、どんどん色変わってくよ!すごい!」


オーナー「最近の花火は進化してんなぁ」


舞「あ、だんだん小さくなっていきます…」


涼「じゃあ次は…大人しいやつで行こうか」


オーナー「誰が1番長くもつか競うか!」


凛「それはちょっと子供っぽいかなぁ」


涼「いい歳してそんなこと気にして…」


オーナー「おいそこまで言うか!?」


舞「ふふっじゃあつけますよ」


凛「あ、抜けがけダメ!」


涼「落ち着いて線香花火見よ」


舞「落ち着いて…」


オーナー「お、やっぱいいな、このオーソドックスなやつも」


凛「こういう花火見てると…落ち着くね…」


涼「そうだね…」


舞「あ、落ちちゃう落ちちゃう…」


凛「私のも落ちる!」


オーナー「俺のもだ!」


舞「あー落ちちゃいました」


凛「でも楽しかったね…」


オーナー「…涼のだけついてるのなんでだ?」


涼「三人より長くついてる!あー!優越感!」


舞「さっき長さを競うのは子供っぽいって言ってませんでしたっけ…?」


涼「い、イッテナイヨー?」


オーナー「はぁ…」


凛「涼くん…」


涼「そんな目で見ないでくれ…」


舞「あ、落ちた」


オーナー「次は…やっぱ晩飯かぁ?」


凛「そうだね!今日はとっておきのチーズフォンデュだよ!」


舞「おー!楽しみです!」


涼「姉さんの手抜きのくせに美味しい料理が食べれるのもキャンプの醍醐味だな」


凛「一言余計だよ!」


オーナー「よし!始めるか!」


凛「実は!こういうこともあると思って事前に準備してきました!有能美少女ここにあり!」


涼「自分で言う?」


舞「でも凛さん、実際可愛いですし…」


オーナー「甘やかすとすぐ調子に乗るからなこいつ」


凛「わたしぃやっぱかわいいよねー!」


涼「こんなふうにね」


舞「あ!チーズが溶けてきました!とろーんって」


オーナー「よっし、じゃあ食うか!」


涼「いただきまーす」


凛「いただきます!」


舞「いただきます」


オーナー「これは…やばい」


凛「はふっ…お、美味しぃ…」


舞「チーズのとろーんが口の中で…ウィンナーもすごい美味しいです…!」


涼「山椒かけてみる?持ってきたけど」


オーナー「お!たまにはやるな!」


凛「やっぱたまにはそれくらいしないとねぇ」


涼「たまにはってなんだよ!」


舞「それよりはやく山椒かけましょ!味変したいです!」


涼「それよりって舞さん…」


凛「じゃあかけよ!ふりふりー」


オーナー「うおっ!うめぇ!」


舞「んー!この舌がぴりっとする辛さ…絶妙で美味しいです…」


涼「舞さんやっぱり辛いもの好きなんだね」


舞「はい!大っ好きです!」


オーナー「やばい…止まんねぇ…」


凛「私もうおなかいっぱいかも」


涼「もうそろそろ切り上げよっか、夜も更けてきたし」


舞「そうですね、では、美味しかったですありがとうございました!おかげで楽しかったです、おやすみなさい」


オーナー「おう、おやすみ」


涼「おやすみ」


凛「舞ちゃんは私と一緒に寝るんだよね!」


舞「はい、そうしようと思います」


凛「じゃ!おやすみー!」



凛「えへへ…もう食べらんないよぉ…」


舞「王道の寝言だ…」


凛「んふふー…むにゃむにゃ…」


舞「寝れないな…外行こう…」



舞「ん、川…見に行こうかな…でも…迷いそうだし…」


凛「なにしてるの?」


舞「ひゃぁっ!」


凛「にひひー」


舞「いつからそこに…」


凛「ホントについさっきだよ、それよりさ、ちょっと舞ちゃんとお話したいことあるんだよね」


舞「は、はぁ…」


凛「移動しながらお話しよっか」



凛「舞ちゃんってさ、二人でキャンプ来ようとしてたって言ってたじゃん」


舞「え!?き、聞こえてたんですね…」


凛「そりゃね、それと、料理苦手とも言ってたよね」


舞「は、はい…」


凛「あと、パエリア食べたことあるんだよね」


舞「はい…そうですけど…それがなにか…?」


凛「ねぇ、率直に聞くけどさ、彼氏と別れた?」


舞「え…!?なんで知って…」


凛「まぁ、ちょっとした推理かな…?直感とも言うけど、なんで私がわかったかは自分で考えてね」


舞「わ、分かりました…えと、それでですね私…彼と別れちゃって、少し、いやとても寂しかったんです、でも、キャンプは前から楽しみにしてたので一人で来てて…でも…」


凛「でも…?」


舞「ずっと…凛さんたちと笑ってる時もずっと彼のことばかり考えていて…こんなふうに引きずってちゃいけないとは思うんですけど…」


凛「楽しくないわけじゃないんだよね」


舞「そ、それはもちろんです!」


凛「じゃあ、いいんじゃないの、あと、目的地ついたよ」


舞「え…わぁ…綺麗な星空…こんなおっきくてすごい星空見てたら私の悩みなんてすごい小さ」


凛「小さくなんてないよ」


舞「え…?」


凛「まぁ、今日出会ったばかりだけどさ、舞ちゃんは優しくていい子だから、自分のことを大事にしてほしい、自分を卑下しないでほしい」


舞「…凛さんは…すごいですね、年下なのにしっかりしてて…」


凛「歳なんて関係ないよ、それに、そういう悲しいのはは引きずってなんぼって私は考えてるし」


舞「そ、そうなんですか…やっぱり凛さんはしっかりしてます」


凛「ま、私はさ!この綺麗な星を見て、きっちり後悔してほしかっただけ!それじゃ、戻ろっか!」


舞「こう…かい…か」


凛「ほら行くよ!私結構語っちゃって今すごい恥ずかしいんだから!」


舞「ふふっ…はい!戻りましょう!」



舞「あれ、煙が」


オーナー「お、戻ってきたか!」


涼「どこ行ってたの姉さんも舞さんも、テントに声かけても返事なかったから心配したよ」


凛「あ、あはは…どこ行ったかは秘密!」


オーナー「どうせ山の奥の星がよく見えるとこだろ?」


舞「…ふふっそうですね、綺麗でした、星空」


凛「なんで認めちゃうの!」


涼「姉さん、秘密の場所とか言ってるけど、このキャンプ場のホームページに書いてあるからね」


凛「嘘!!」


オーナー「マジだよ」


舞「…おふたりは今なにをしてたんです?」


涼「よく聞いてくれた!チョコフォンデュしてたんだよ!」


凛「ずるい!抜けがけ禁止だよ!」


オーナー「お前が舞さん誘って星空見に行ったのが悪い、もっと夜の方が星綺麗だしな」


舞「私…甘いのも好きなんです!」


涼「舞さんが辛いもの好きなのは意外だったけど甘いもの好きなのはイメージにドンピシャだね」


凛「むぅ…もういいもん!私オーナーと涼と話さないもんね!」


オーナー「じゃ、チョコフォンデュもいらないな」


凛「それはダメー!私も食べるー!」


涼「ははっ、すいませんこんな姉で」


舞「いえ、私、こんなに楽しい気持ちになったの、初めてです!ほんとにありがとうございます!」

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