第3話「復讐の決闘」
外に出てすぐに真輝と昴は生徒会と遭遇する。
「よくも恥を掻かせてくれたなァ…黒姫昴ッッッ!!!」
巨漢だ。昴や真輝と比べると2倍か3倍ぐらい大きい体を持つ。
高校生らしからぬ体格の持ち主だ。昴に因縁を持っている辺り
彼が倒したという元・ボクシング部の部長だろう。名前は確か
片桐十兵衛。
「下がってろ、真輝」
昴は彼女を後ろに下がらせた。二人は向かい合う。
「お前でも生徒会は出来るんだな」
「舐めるなよ?今の俺ならお前なんて敵じゃねえ。だからそれを
証明してやるよ」
片桐十兵衛は骨を鳴らす。昴はそれを引き受けた。ここでは
人も多く、場所も狭いために生徒会直々に用意された闘技場に
二人は入る。透明な壁で囲まれた四角形のリングだ。
壁に触れて真輝は昴の名前を呼んだ。
「大丈夫。勝つから」
そう言ってすぐに彼は真輝から離れた。
「真輝。少し離れたほうが良い」
少し離れた場所で腰を下ろしていたのは朝陽と恭哉だった。
朝陽は自身の隣にある椅子を軽く叩き、ここに座るように
促す。腰を下ろし、試合を見守る。
「生徒会と言っても特別な役割を担っているわけでは無いだろうな」
「何か役割を持ってると強いんですか?」
「あぁ。生徒会の幹部格って事になる」
「あの、お兄ちゃんは…」
「負けるわけが無いだろう。妹の前で無様に負けるような男じゃない」
十兵衛の大きい拳は悉く交わされ続けている。が、未だに速度は衰えていない。
昴も然り。避けてばかりいる彼に向けて十兵衛は挑発する。
「オイオイどうした~?逃げてばっかりだぜェ!」
「そうだな。逃げてばかりでは終わらないらしいし」
昴の目の色が変わる。彼は上半身を前に倒し、地面を蹴る。拳を突き出すも
分厚い筋肉に阻まれる。
「おりゃァァァ!!」
大きな拳を受けて壁に挟まれた昴の呻き声は壁越しに
真輝の耳にも入ってくる。彼女は耳を塞ぎたくなってしまう。
膝を付けば追撃が来るので昴はどうにか立ち続けていた。思いのほか響く
体格差のある相手からのパンチだ。
「ほらほら、来いよ昴ゥ!!!」
高笑いしながら昴の拳や蹴りを受け止める十兵衛。傍から見ても優勢なのは
片桐十兵衛だ。
「シンプルな力を手に入れているらしいな。片桐」
「力?」
「超能力と言っても良い。奴の体格を見れば分かるだろうが筋力がある。
そこに恐らく生徒会に入ってから身体強化の力も手に入れたんだろう」
恭哉がそう説明する。その説明は真輝の脳内をぐるぐる回る。
「とはいっても昴も軟じゃない。体力もタフさも常人を超えている。
力に頼らずともあの片桐と互角に渡り合えるはずだ」
「じゃあ、どうして押されてるんでしょうか?」
彼女の問いかけに朝陽は重い口を開く。
「体格差だろう。単純に」
「だな。昴も予想外だったんだろう。あの時は決められたルールでの戦い。
だが今は基本ルールは無い。戦闘不能になるまで勝負はつかない」
昴の体が宙に舞い壁にぶつかる。そこには丁度真輝がいた。彼女はすぐに
壁に近寄った。
「お兄ちゃん!」
ゴエティア 花道優曇華 @snow1comer
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