5 壊れゆく心


 あれから一年後、泰三は亡くなってしまった。


 人生のリセットボタンともいうべき魔法のカード。いや禁断のソウル・カードの使い方を誤ったのだろうか?


 遥か昔の時代に【錬金術】なる物が存在したそうだ。物質の姿、形を根底から変える等価交換。ある物を得る為に、ある物を失ってしまうのだ。泰三は何を得て、命を失ったのだろうか?  


 当然お金を得て、自らの命を絶ったのだ……。





  一年前にさかのぼる————。


 ゼルのカードを得て、泰三は顧客の弁済を人知れず済ませた。お金を振り込んだ後、泰三は書類の偽造をする為に会社に帰ってきた。


 高層ビルの中にある会社のドアを開けると、いつもと何か雰囲気が違っていた。皆の様子がなぜか慌しく感じる。外から帰ってきた泰三に課長が声をかける。


「おい、金井君、佐藤を知らないか? あいつ昨日から無断欠勤なんだが…何か聞いていないか? 連絡が取れないんだが……」

「いえ、何も? 何かあったんですか? 皆、慌てているみたいですが……」

「ああ、あと二日で監査だろ。準備していたら、佐藤の顧客から電話があって『先物取引の証券を、処分したいから返せ』って言うんだ。何でも、佐藤に『いい時期が来たら必ず儲けさせますから、証券を一任して下さい』って言ってから、二週間が経つそうだ。佐藤のヤツ、昨日から来てないだろ? もしかして顧客の金を持って逃げたんじゃ……」

「止めて下さい、課長。佐藤は、そんなヤツじゃ有りません……」

「——うん、悪かった。……すまん、佐藤に連絡が付けば良いんだが……」


 泰三の反論に、課長はそれ以上何も言えなくなった。佐藤のヤツ、大丈夫だろうか? と心配になってきた。しかし、佐藤の事も心配だが、まず自分の後処理もまだなのだ。人ごとではない。


 泰三は自分の机に向かい、書類の偽造を始めた。面倒だがこれをやっておかなければならない。使い込みと偽造がばれると解雇処分だ。佐藤の次に自分が吊し上げられる。机に向かい書類を作り、パソコンで証券の支払い日時の操作をする。この時代、PCは難解な代物だった。ワープロは普通に有ったが、証書などの作成はPC処理で行っていた。


 出来た……。何とか一時間で偽造操作が出来た。


 ふう~。溜息をつく泰三の顔に安堵の表情が浮かぶ。


「——佐藤のヤツ……」


 自分の事が一件落着すると、余裕が出てくる。途端に、佐藤の事がやけに心配になってくる。会社の電話から佐藤へ電話をかけてみた。


「プルルルー、プルルルー……」


 受話器の向こうで、長い呼び出し音が静かに流れる。留守番電話に切り変わらないまま、いつまでも電子音が耳に響いてくる。ますます不安が募ってくる。電話の受話器を戻しながら、泰三は課長に目線を移した。


「課長、俺いま手が空いてますから、これから佐藤の家に行ってきます」

「ああ、すまんな、頼む……」


 泰三は、勢いよく会社のドアを開けて出て行った。エレベータに乗らず、階段を一騎に駆け下りて行く。ハァハァと息が上がるが走っているからではない。心配が動悸へと替わってくる。嫌な予感がする。


「——頼む、佐藤……。無事でいてくれ」 走りながら泰三は呟いた。



 泰三と佐藤は仲が良かった。一年後輩で佐藤は入社して来た。屈託の無い明るさで、周りを引き付けてしまう。それに妙に人懐っこい。話のレベルも泰三と佐藤は丁度よく、仲のいい兄弟のようだった。


 そんな佐藤が顧客の金を持ち逃げ? 泰三にしてみれば考えられない事だった。何かの間違いであってくれ……。アイツに限って……。いや、俺じゃないんだから大丈夫だ。泰三は祈るような心境で佐藤の家に向かった。


 普段なら電車で行くが、今回はタクシーに乗って佐藤の自宅に向かう。十数分タクシーに揺られ、ようやく佐藤のワンルーム・マンションに着いた。


 何度も飲み会の度に佐藤を送っている見慣れたマンションを見上げる。タクシーに金を払い、泰三はエレベーターに乗り込む。目の前の三階のボタンを押した。静かに四角い鉄の箱は動き、三階で止まった。泰三はエレベーターから出て、廊下を走った。


 いやな胸騒ぎがする。やがて泰三は、あるドアの前で止まった。ドアには三一〇号【佐藤】と書かれてある。ドアの呼び鈴を押してみるが、返事が無い。何度も呼び鈴を押し、ドアを何度も叩いてみた。


「——佐藤、俺だ、金井だ。居ないのか? おい、佐藤……」


 何度もドアを叩いても返事がない。泰三はエレベーターに向かった。エレベーターで一階に下りると、管理人室へと向かう。


 管理人室のドアを乱暴に開けると、管理人が椅子に座っていた。歳は解らないが、七十代後半の様に見える。度の厚い眼鏡を掛けて、神経質の様に見えた。泰三は管理人と一瞬目が合った。そして、慌てた様に叫んだ。


「すみません、三階の三一〇号の様子が変なんです。早く、合い鍵で開けて下さい」

「エエッーそうなんですか? 解りました。すぐに行きます」


 管理人は驚き、合い鍵を持って泰三と一緒に三階へと向かう。エレベーターの中で管理人は泰三に聞いた。


「所で、貴方は身内の方ですか?」

「いえ、会社の同僚です。会社を休んでて、連絡が取れないんです。病気で寝たきりならいいんですが……。何か事件でも巻き込まれて部屋の中で、もし……」

「死んでるって? そりゃ、うちとしても困るからねぇ、急ぎましょう」


 泰三と話をしている管理人は驚き、足早に三一〇号を目指した。

 

 三一〇号に管理人の合い鍵が静かに鍵穴に差し込まれる。カチャ、という金属的な寂しい音がしてドアが開く。ドアを開けて部屋の中に二人は入っていった。


 部屋の中には誰も居なかった。男所帯な為か衣類が散らかっている。一応念の為にトイレや風呂場を覗いてみたが、やはり佐藤の姿はなかった。


「なんだ、誰も居ないじゃないか? ああ良かった。ここでもし、人でも死んでたらこのマンションの部屋が空くし、人が気味悪がって出ていってしまう所だった。おいアンタ、鍵を渡しておくから、帰りに管理人室に持って来てくれ」

「あっ、はい……。どうもスミマセンでした」


 管理人は泰三に鍵を渡すと、不機嫌そうに部屋から出ていった。泰三は暫く佐藤の部屋を物色する事にした。ゴミ箱をひっくり返すと、色々な明細表が出てきた。


「ん、病院の請求書と? ビトンにグッチ? もしかして佐藤のヤツ……」


 泰三は自分の二の舞になっているのではないか? と思った。佐藤に女が出来たとは聞いていなかったからだ。暫く物色しても手がかりを見つけられず、泰三はその佐藤の部屋を後にした。


 此処で病院の請求書をよく見ておけば後々良かったのかも知れない。病院にしては高額な請求書。その意味は自然と分かるはず……。


 管理人室へ寄って鍵を返し、会社へ公衆電話から佐藤の行方不明を告げた。


「——佐藤のヤツ、一体何処へ……」


 泰三は重い足取りのまま会社へ戻って行った。








 佐藤が行方不明になって五日が過ぎた——。


 未だに連絡が取れない状況が続く。会社の監査も泰三は切り抜けた。佐藤の件も会社が一時肩代わりして穏便に済ませた。


 そんな折りに泰三に一通のハガキと手紙が来た。泰三はまずハガキを見た。


「ああ、陶芸教室の先生からか。そう言えば、最近教室へ行ってないなぁ」


 泰三は三年前から興味のあった陶芸教室へ通っていた。土から皿や茶碗を創る。無形の土から形ある物へ変化させる。泰三はいつしか陶芸の虜になっていたが、最近色々とあって疎遠となっていた。勿論、借金の事でいっぱい、いっぱいだったのだ。自殺まで追い込めれていたのだから、それ処では無かった。


 次に泰三はもう一つの手紙を手に取ってみた。


「うん? 誰からだ? 何だ、差出人の名前が無いぞ。誰かのいたずらか?……」


 手紙の封を破って中身を出すと、見慣れた文字がそこにはあった。文字が乱雑に書かれているが、見覚えのある癖文字がある。


「——前略、金井先輩。俺、佐藤です。たぶん今頃は、俺が顧客の金を持ち逃げしたという話で持ちきりでしょうね。そうです、俺がやりました。顧客だけでなく、実は会社の金も少し、頂きました。まぁ、会社の金を持ち逃げしたのは退職金だと思って貰いましたが……。


 先輩は、どうして俺がこんな事をやらかしたと思っているでしょう。実は俺、ガンなんです。二週間ぐらい前に、体調が悪くて、しんどくて病院へ行ったら、いろいろな検査して、後日病院から連絡が有りました。外回りのついでに病院へいくと、先生から【あなたはガンです。余命半年です】って言われちゃいました。その言葉を聞くと目の前が真っ暗になりました。俺、何の為に生まれてきたのか? って思いました。まだやりたい事は山ほど有るのに……。


 後、半年で俺死んじゃうんです。……いやだ、まだ死にたくない。……そう思ったら、残りの余生を好きな事して過ごしたいと思うようになってきて、だから金が有れば好きな事が出来るか? って思ったんですが……。でも、結局、何がしたいのか? 分からなくて、俺は自分の事が分からなくなっちゃって……。俺、何の為に、生まれたのか? そう思ったら、生きて行くのが辛くなって……。ゴメンナサイ、会社の金盗んで、こんな言い訳して……。でも、苦しかったんです。……言ってる事、支離滅裂です。本当にごめんなさい。


 先輩にも迷惑を掛けたと思います。


 先輩に何度も相談しようと思っていたんですが、先輩も何だか疲れた顔色をしてて、声を掛けづらくて……。先輩も、大丈夫か? と思ったら……。


 でも、俺……。死にたくないって思っても、やりたい事、色々考えても、浮かばないって、何だか、辛くて、悲しくって、切ないっていうんですか。……今まで、お世話になり有り難うございました。 

                      

                                 佐藤 誠


 追伸  

  

手紙の消印で捜してもムダです。俺は今頃多分、違う場所にいますから……」




「——う、う、嘘だ。そんな、佐藤……。お前、なんで? どうして……」


 手紙を持っている泰三の手が震えている。泰三は泣いた。知らずに涙が頬を伝って、持っている手紙へ落ちてゆく。ポツリ、ポツリと手紙を雫で染めていった。


 佐藤が余命いくらもない事など気付かなかった。人懐っこい性格で、弟のように思っていたのに。酒を飲みながら、自分達の夢について何度も語り明かした夜が頭をよぎる。


 どうして俺に一言いってくれなかったんだと思ったが、言われても当時、他人に気を掛ける余裕など無かった。それに、佐藤の病気による体調不良を見抜けなかった自分自身の無力を思い知り、声を上げて泣いた。それに確かに、数日前には他人事ではなかった。自分自身への追い込みを掛けられていたから、それどころではなかったのは事実。回収人に怯え、不眠の日々が続いていたのだ。


 家族の様に泰三が心を開いた唯一の人、それが佐藤だった。


「————ウオオッー佐藤——。すまん、お前の事を分かってやれなくて……」


 悲しみを帯びた佐藤からの手紙を握り締め、泰三は泣き叫んだ。


 窓の外には雨が降っている。まるで泰三の悲しみを反映するかのように、シトシトと……。




 佐藤からの手紙を受け取って、早一月経った。あれから佐藤の連絡は途絶えた。会社側は、佐藤を横領罪で刑事告訴するといっている。顧客には会社が弁済し、事なきを得たようだ。しかし、依然として佐藤からの連絡は入って来ない。


 だから、泰三は仕事が手に付かない。佐藤の事も心配だが、自分も少し前まで自殺を考えていたのだから。金の事で怯え、生きる事に疑問すら感じていた。一体、何のために生まれ何のために生きているのか、解らなくなっている自分がそこに居る。泰三は会社を段々とサボるようになり、休みが続いた。狭い自分のアパートのベッドに横たわり、見慣れた天井を眺めている。カーテンを開けず、薄暗い自分の部屋の中でひたすら何かを考えている。








  それから1月後————。


 泰三へ会社と警察から電話が入った。


 双方とも電話の内容は、会社の金を横領した佐藤が自殺した内容だった。


 どこかの地方の廃墟ビルから飛び降りたそうだ。遺書が有ったので『身元確認をして欲しい』との内容だった。


 事の進展に泰三は驚き、一旦会社におもむき課長と共にその地方へ行った。


 うそだ……。人間違いであってほしい。その一念で泰三は重い体を動かし、課長と行動した。


 地方警察の暗く冷たく息苦しい遺体安置所へ通されると、白い布を纏った人であったモノが横たわっている。泰三は横たわっているモノの顔に覆われていた白い布を取った。血の気が無く、生前の佐藤の格好をした肉体がそこに横たわっていた。

 それは決して動かない肉の塊。かつて躍動感を身に纏い、生きていたのか? と、さえ疑ってしまう佐藤の体がそこに有った。


「————佐藤、お前……。お前……」


 泰三は親友佐藤の遺体を目の当たりにして言葉を失った。途端に汗が出た。目から止めどなく汗が出る。……塩辛い汗が、鼻と喉を詰まらせる。嗚咽が止まらない。遺体に縋りながら泣く泰三を横目に、検死官は泰三の上司である課長に聞いた。


「お宅の会社の、佐藤誠さんに間違いは有りませんか?」

「——はい、間違い有りません」

「身内の方は?……」

「はい、何でも佐藤は、学生の時、家族旅行をしている時、車の事故で両親が亡くなったと聞きましたが……。親戚もいないと」

「解りました、遺体はこちら側で処理いたします」

「お願いします……」


 死んだ人間の前で淡々とした話が続いた。


 仲が良かった後輩、佐藤の死を目前とした泰三の心は、音を立てて崩れようとしていた。肉親がいなく、親友であった佐藤が亡くなってしまった事が目の当たりにされた事で、泰三の心が失われてしまった……。


 後で署員が二人に佐藤の残した遺書を持って来てくれた。最後の遺品だ。もはや泰三に遺書を読む気力は無い。課長に読んでもらったその内容は……。


「もう、いやだ。自分の死期が刻一刻と迫って来ている。そんな状態の中で、自分の好きな事をしても、一向に気が紛れない。……迫り来る死の予感。まだ、生きたいのに。ああ、誰も分からないだろう、死への恐怖。体の節々が痛い。……今まで味わった事の無い痛み。倦怠感、疲労感。この恐怖からは逃れられない。……こんな状況が続くなら、俺は、俺は自ら死を選ぶ。……さようなら」


 短い文面だったが、迫る死期の恐怖が伝わってくる。泰三はその文面を聞きながら再び泣き出してしまった。横たわる佐藤の遺体に縋りながら声を上げて泣いた。


「——さ、さ、と、う——。お前~辛かったんだな? 苦しかったんだな?……」


 泰三は思った。迫り来る死の恐怖は誰にも解らない。日に日に体調が悪化し、死へのカウント・ダウンが始まっている。泰三は、そんな佐藤に何も出来なかった事を悔やんだ。


 そんな後悔の念と佐藤への気持ちが、泰三の心の中で交錯していく。不意に泰三は自分自身の借金時代の事も思い出した。思い出したくない回収人とのやり取り。本人にしか解らない恐怖。精神的苦痛。誰に話してみた所で、所詮人は何もしてくれない。人は、やはり独りぼっちなのか? 佐藤、お前も俺と一緒で独りぼっちだったのか? 佐藤?……。


 泰三の泣く姿を見ると、もはや課長は泰三に掛ける言葉も見あたらなかった。泰三は佐藤の遺体に縋っていたが、自らの膝から崩れ落ち床に這いつくばっていた。


 嗚咽が止まらない。泰三のすすり泣く声が遺体安置所に悲しく響いていった。


 やがて遺体安置所から出て、沈黙のまま会社へ向かった。


 帰り道、泰三は一言も口をきかなかった。課長が嫌いでは無い。むしろ面倒見の良い課長は好意、いや尊敬の念を持っている。


 今、泰三の頭の中には【佐藤の死】に対する悲しみと、なにもしてやれなかった後悔と、自分自身を否定する想いだけが溢れている。


 どうして、アイツが死んだんだ? 俺は、アイツの為に何をしてやったんだ? でも、俺も自殺を図ろうとした。俺は一体何の為に生きているんだ? 俺の残された人生、いや俺は一生このまま地味に終わるのだろうか? 嫌だ、嫌だ、俺は違う事がやりたいんだ。……待て、待て、俺がやりたい事って一体何だ? 解らない。俺には解らない? チクショー……。どうすればいいんだ? 誰か答えを教えてくれよ。このままじゃ、とても仕事なんかやってられないじゃないか? 解らない。俺には、解んねぇよ~……。


 泰三の頭の中は混乱している。全てをマイナス方向へ持って行こうとしている。気力というか、精神力というか、ともかく泰三の顔から生気が抜け落ちている。同僚の死で借金時代に背負った恐怖が蘇り、それが鬱病を引き起こし、更にパニック症が合併し未来への希望を自ら閉ざそうとしている。


 本来誰もが抱いている疑問。自分は何故生まれたか? 何の為に生きるのか? 誰もが感じてはいるが、誰も口に出して問う者など居ないのが現実。人は何かに恐れたり悲しみを覚えると、不思議とこの疑問詞が頭を過ぎる。生きる希望を見失ってしまうと、誰もがこの言葉に辿り着くのではないだろうか?


 ただ何も考えず漫然と生きている者達も居るが、やはりこの答えを多くの人々は見出したいと刹那に願っているのではないだろうか? しかし、考えても答えなど簡単に出る筈もない。人は神では無いのだから……。


 帰り道。電車に乗っている時も歩いている時も、泰三はジッと地面を見つめている。そして泰三の答えが出ようとしている時、会社のビルが見えてきた。未だ泰三は迷っている。


 一旦二人とも会社のあるビルの中に入ってゆく。二人揃ってエレベーターの前に立つ。静かにドアが開き、四角い鉄の箱は静かに十階へと誘う。


 やがて鉄の箱の扉がユックリと開くと、泰三は課長に自らの出した答えを告げた。


「——課長、俺、会社辞めます……」

「何、言うんだ金井君。同僚の死で混乱しているのは解るが、何もそこまでする事は無いだろう」

「いえ、いいんです。俺この仕事に向いてないし……。俺、孤児院育ちだから両親も居ないし……。残された人生。自分の好きな様に生きてみたいんです。お世話になりました。短い間ですが、お世話になりました。ありがとうございました……」

「——オイ、金井君、オイ待て、金井……」


 引き留める課長の言葉を後にして、泰三は会社を逃げる様に後にした。










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