手紙
*****
夏至の忌まわしく永き日から守ってくれてありがとう。心より感謝している。
そして必要以上に貴方を味わってしまった事を許してくれ。この1年と数ヶ月、例の感染症のお陰で満足な晩餐が賄えず、自分で思うよりずっと飢えていたらしい。窓にぶつかったのもそのせいだろう(勿論、日の力が最大であり、闇の眷属の力が弱まる時期である為、というのが一番の理由だが)
ところで、ひとつ告げなくてはならない事がある。どうやらわたしは窓にぶつかった際、舌を少し噛んでしまったらしい。
この国には「朱に交われば赤くなる」という言葉があると記憶しているが、それと同じような事が、わたしと貴方の間で起こる可能性がある。
正式な儀式を持って血を混じえた訳では無い故、どのくらいの確率でそれが起こるのかわたしにもわからない。
もし起こってしまった場合、明日の晩起こるはずの「血の渇望」に耐えてくれたまえ。それが過ぎ去れば貴方は今まで通り、儚く短い生を全うできるだろう。
しかし耐えられずに血を求めてしまった時は、わたしの所に来るが良い。貴方の住まいのすぐ上で待って居るから。
Laurent Sarcelle(ロラン・サルセル)
*****
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます