ep.4 Encount
肺が破れそうだ。酸素が最大限の出力値を要求する。私のなかから渇望する。
森の中――――
パン!
再び音がきこえる。
誰かが魔物、に倒されたのだ。
正義をもった途端、彼らは兵器に豹変する。
悪を被った途端、私たちは生贄になる。
いや、なってやるものか。
上空が灰色を帯びてきた。
!
不意に東の木陰から現れた気配を察する。
長いローブをまとった死神、のような猫背の長身の男がウーと呟きながら、苦しそうにどこかへ消えていく。
岩陰に隠れてやり過ごす。聖水をふっておいてよかった・・・
夜は久しぶりに隠れ家へ戻ろう、そう決め、反撃する途中で手に入れたシカの肉をナイフで血抜きする。幸い彼らは、人間以外のにおいには鈍感らしい。皮肉なことだが。つとつとと血が地面を伝っていく。
足場が限られているため、ここでは長居できない。
ナイフを皮で拭い、再び元に戻す。
携帯のセンサーで敵、の位置を探る。
ここは山の中腹、あと少し下りればやつらのアジトだ。
もう一週間が経つ。
爆弾の音がした。振り向かずに走る。
慣れてしまえばこっちのターン。
何度目の夕焼けを見ただろう。
影が少しづつ深く、冷たくなっていく。虫がもうなきだしている。
その涼しい音を横耳にはさみながら
とある廃ボックスカーの前まできた。専用のコンタクトレンズから、そのなかにいるものが生体反応を示さない特異な生物だと感知する。
いる。
魔物、いや、私たちはエラーと呼んでいる。人類を壊滅させるべく他の星から送られてきた死神。
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