なんで?・1

『いっぱい遊びにいかないとねっ』とねっ』とねっ…………』


『いっぱい遊びにいこっ』いこっ』いこっ…………』


『私、ヒロくんといっぱい遊びにいきたーい』きたーい』きたーい…………』





(…………ってことなの?


 あの言い方はそういうことだよな? めっちゃ笑顔だったし。


 いや、落ち着けよ。そんなわけねーって。

 だって、ずっと、全然、しゃべったりとかもしてねーじゃん。


 あ、

 ひさしぶりに話して、盛り上がったからそのノリで? みたいな? 友達的な距離感?


 あー、そーゆーことねー…………。


 ……でも、さっき帰ろうとしたら引き止めたよな?

 やっぱ、そうだよ。


 …………ほんとにそうなのかな?)





 気になって、いまさらのようにまじまじと見たら、


 ミムは、かわいい。


 そう、ヒロハルは思った。





 そりゃあ綺麗とか、

 美人なタイプではないけれど――――。


 サラサラのショートボブ、やわらかそうなほっぺ、すっと通った鼻筋。

 いまいち地味な感じの眼鏡とひとえまぶたさえ、

 ミムらしくて、なんかかわいい。


 それが、ミムだから…………?





(え? あれ?

 なんか…………なんで?)





 ヒロハルの中で、

 ミムのかわいさがどんどん大きくなっていく。


 どんどんどんどんどんどんどんどん、

 見上げるほどに巨大化して、

 ついにはまぶしいほどに輝くかわいさが、

 ヒロハルを――――圧倒!!!!!


(な、なんだ、これはッ??)


 飲み込まれて……いく!!!!!!!!!!


(うわああああああああああああーっ)





 そして、

 光は突然消えた。


(え………………?


なんで?!?!?)




 ミムの目から、

 ひとすじの涙がこぼれていた。

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