かんちがい・4

 ヒロハルが野球部を辞めたのは、練習がキツかったからだ。

 毎年地区大会1回戦敗退の弱小校とはいえ、

 中学までガチでやってきた連中とは、ノリも合わなかった。


 ミムのいったことは当たっていなくもない。

 周りからはそう見えただろうし、ヒロハル自身、周りにそういっていた。

 でも、ヒロハルの中ではちょっとだけ違っていた。


 モテたいというより、励ましてもらいたかったからだ。


『試合に出られるの? じゃあ応援にいくね!』

『レギュラーに選ばれたんだって? がんばった甲斐があったじゃん!』

『ヒロくんが打ったから勝てたんでしょ? おめでとう!』


 ほんのちょっとでいいから、

 見直してもらいたかった。


 ――――――それは、誰に?





 ミムが困った顔をしていたので、ヒロハルはあわててフォローを入れた。


「ごめん。別に気にしてないよ」


 たしかに落ち込んだ時期もあったけれど、

 ヒロハル的には、もう気持ちの整理はついている。

 ミムから直接いわれたので、何と答えていいか急にはわからなかっただけだ。


「てか、一学期のうちに辞めといて正解だったわ。

 夏休み全部練習でつぶれてたら逆に最悪(笑)」


「そ、そっか。そうだよね」

(なら、よかった。

 このままいい感じの流れに戻せそう……)


 ミムはヒロハルを元気づけるつもりで、笑顔でいった。


「じゃあ、夏休みも予定入れられるじゃない!

 これから取り返すためにも、いっぱい遊びにいかないとね!」





(えっ…………、

 それって、どういうこと………………?)

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