すれちがい・2

「そういえば、ヒロくん野球部だよね。

 夏休みなのに、練習とかないの?」


 半笑いで頭をかきながら、ヒロハルはいった。


「あー、うん…………まあ、あるんじゃない」


「ええー(笑) もしかしてサボリ?」


「はは…………いーんだよ」


「ダメだよー、ちゃんと出なきゃ」


「いや、いいんだ。

 辞めたから」


 ヒロハルは目をそらした。





(しまったぁ!

 それは聞いてない!)


 いわれてみれば、坊主にしていた髪の毛も少し伸びている。


「えぇー? どうして?

 朝錬とか、あんなにがんばってたのに」


「がんばってねーよ。

 てか、がんばるの俺には無理」


 半笑いではあるが、声のトーンは落ちている。


(しまった、

 気まずい……………………。


 ここはちょっとでも空気を軽く)


「でも、ヒロくんのことだから、どうせ『モテたい』とかそんな理由で始めたんでしょー?(笑)」


 だからそんなに気にすることないよ、といったつもりだった。


 けれど、ヒロハルは黙ってうつむいた。

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